青空、ひとりきり

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20形兄弟物語

2019年09月24日 17時00分00秒 | 富山地方鉄道

(古豪の常願寺渡り@越中三郷~越中荏原間)

10020形と同様、先日に引退が発表された14720形。今回引退する2系式は下2ケタに「20」を持つ兄弟車両です。何度か説明をしたことがあると思うのですけど、富山地鉄の鉄道線車両はモーター車は5ケタの車番を持っていて、上3つの数字が馬力、下2つの数字が形式を表しています。ですので、14720形は「147馬力の20形」で、10020形は「100馬力の20形」という事になります。「20形」というくくりの中では、10020形のモーター出力を上げてパワーアップさせた車両が14720形。ただ、MM編成の10020とMT編成の14720では、編成単位で考えれば10020の方がハイパワーになるのですけどね。

そんな14720形の最後の生き残りが、モハ14722とクハ172の2連。モーター車の14722に対してクハ172は車体が少し短いのがポイントでしょうか。このクハ車、元はと言えば10020形の中間車だったサハに運転台を付けて改造したもので、そんな由来からも双方の形式が兄弟車とされる由縁かもしれません。10020形が基本的には朝の上滝線運用だけと緩い(?)運用で使われているのに対し、14720については特段運用も限定される事もなく、全線全区間を毎日のように駆け抜けています。確かに昭和37年日本車輛製造と地鉄の電車の中では一番の古株ですが、古豪・・・と言ったらひょっとしたら失礼になってしまうのかも。

ちなみにこの形式、近年まで2編成が残っていたのですが、かぼちゃカラーの14721+171の2連は、冬の立山駅で火災を起こしてしまい廃車となってしまいました。立山に向かっての連続勾配で、雪を押しながらの運転で負荷がかかったモーターが高温となり、周囲の電気系統の配管から出火してしまったのが原因とされています。この事故の顛末については国土交通省の事故調査報告書に詳細が記載されていますが、うーん。何と言うか、言い方は失礼かもしれませんが死者もケガ人も出なかった事故でここまでの詳細な事故調査報告書を作成するんだなあと感心してしまった。役所の作った文書なんでゆっくり読んでいると30分くらいかかるけど、好きな人には結構興味深い内容です。再発防止策として「多雪線区における降雪時の車両運用について、冬期間の立山線(岩峅寺駅~立山駅間)の車両運用は、MM若しくはMMT編成に限定する。」なんて書かれてたりしてね。


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