(きららの午後@境松駅)
田舎館の駅から浅瀬石川の長い鉄橋を渡ると、電車は黒石市に入って境松の駅。駅自体が浅瀬石川の堤防上に架かるようにあって、その下を小さな用水路が東へ向かって流れています。弘南線の中でも地味な存在の駅ですが、駅の横に大きく枝を伸ばす桜の木が見事で、春の季節に訪れてみたいものです。浅瀬石川の右岸の境松の集落は黒石市街の東の外れという位置にあって、駅前の道を行くとそのまま黒石の中心街にある「こみせ通り」に続いている。良く晴れて暖かかったこの日の午後、境松の集落の人たちは降り積もった雪の片付けに追われていた。多少気温が高ければ、雪も柔らかくて片付けやすいのだろうか。それとも、昼間に溶けて夜に凍ってを繰り返し、ガッチガチに固まって扱いづらくなる前に・・・ということか。
どうせ夜までウロウロしてしまうだろうから、地元スーパーで晩酌の材料を買い込んで黒石駅前。弘前の駅前と比べてもさらに雪壁が高い。曲がりなりにも、八甲田山の津軽側の入口にあたる街だから、従来でも冬になればそれなりの積雪量がある。黒石から国道102号線で温湯の温泉街を抜け、山に入って城ヶ倉大橋を抜けると酸ヶ湯温泉に至るのだが、八甲田山系の北麓にある酸ヶ湯温泉という場所は、この冬に何度天気予報に出て来たか分からないほどの日本一の超豪雪地域ですよね。ちなみに、酸ヶ湯もいいんだけど黒石からほど近い場所にある温湯温泉ね。共同浴場の鶴の湯を囲むように「客舎」と呼ばれる古風な湯治宿が建っている風趣のある温泉街で、ぜひ行ってみたいところである。後藤温泉客舎とか、ああいう世界観に結構憧れるところあるんですよね。
黒石の駅周り。路地裏に入ると一層雪の量が多い。まだなかなか片付け切れていない様子。あるいは、降っては積もり降っては積もりだから、ある程度通れるだけの道を付けたらそれでいいのかもしれない。青森のラジオで、「あまり雪の積もらない南部の人は、道の白線が出るくらいにやたら丁寧に雪かきをするが、津軽の人はどうせ積もるから・・・とある程度道を付けたら雪かきを終わらせてしまう」という話が流れてきて、「そんなもんなの?(笑)」と思ってしまった。まあ、あながちウソとも言えないのかもしれない。だって、雪かきをやってもやってもすぐ積もるんじゃねえ・・・何回やればいいの、いつまでやればいいのって話ですよ。という声が黒石駅の構内から聞こえたような気がした、キがした、キ104さん。弘南線の冬の守り神であり、そして黒石のヌシ。相棒のED333と。あれ・・・?パン上げてますね。何でや。午後なのに。しかもいつもの定位置の側線じゃなくて、2番線に据え付けられている。点検なのか?いや、点検なら側線でやってればいい訳で。謎が募る。動くのかい?動かないのかい?どっちなんだい!と尋ねてみても、黒石の主はムッツリと押し黙ったままなのであった。
半信半疑で、ラッセルが動く可能性を含みながら田んぼアートの駅に陣取ってみる。駅の踏切の向こう側に大きな雪捨て場があって簡易的な足場に使えそうなので、丁寧に雪踏みをしながら高さを稼いでいく。この冬の積雪で線路際に出来た雪の壁のせいで、アイレベルでは足元が隠れてしまうのだ。折しも、「道の駅いなかだて」に隣接する雪の積もった田んぼにスノーシューを履いて絵を描く「冬の田んぼアート」が開催されていて、多くの観光客が訪れていた。冬の田んぼアート、展望タワー(弥生の里展望所)からナスカの地上絵の如くの雪上のアートを眺めることが出来るのだが、この週末は弘南鉄道も田んぼアート駅に臨時停車をして観光客を輸送しており、日中にもそれなりの利用があった。夜はライトアップされ、展望タワーも20時まで解放されるそうなので、夜に行ってみようと思う。
さて、気になるのは先ほど黒石でパン上げでスタンバっていたキ104+ED333のコンビである。別にレールの上に雪が積もっている訳でもなく、除雪の必要があるとは全く思わないが、それでもパン上げをしていたというのであれば何かのイベントか回雪か、どこかの誰かがチャーターしたフォトランか、ということになる。まあ走ったら走ったで嬉しいし、点検だけで構内で転線して黒石のクラに収まってしまうのであればそれもそれだし・・・という感じでやっぱり半信半疑で待っていると、ものの10分も経たないうちに田舎館の駅の構内踏切の音が遠くから聞こえて来るではないか!時間的に間違いなく定期列車ではない。ということは走って来るのはラッセルで確定の赤ランプである。田舎館の構内を通過する汽笛の音が聞こえて、上擦る気持ちを抑えてファインダーの中で目を凝らせば、国道の高架を潜って真白き舞台に躍り出る弘南の冬の守り神!
雪晴れの津軽の午後の日差しを浴びて、赤と黒のエクスタシー。
前回の津軽の冬に遭遇した大鰐線のED221のラッセルシーンに続き、今回は弘南線のラッセル走行シーンにお目にかかることが出来るとは・・・
弾き飛ばす雪は少なけれど、思いもよらぬ雄姿を拝むことが出来ました。
途中で投稿になってしまいました。
三沢に住んでると、ホントそう感じます。
キレイに雪かきする人は、自宅前の、本来なら除雪車が入る市道まで徹底して。
そうで無い人(家)との差が…
今日の時点での積雪は弘前が104cmで八戸が0cmですから、同じ県内とはい八甲田山の向こうとこっちで差があり過ぎますね。
(コメントのほうは整理させていただきました)