青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

愛を閉じ込めた部屋で。

2021年06月17日 17時00分00秒 | 富山地方鉄道

(見上げれば、昭和のセクシー@愛本駅)

何とも古式ゆかしい昭和的な女性の後ろ姿、ボリュームのある尻と生足がどうにもセクシーな広告看板。ワシントン靴店。銀座に本店のあるあのワシントン靴店?と思ったのですが、富山の総曲輪にも昔っから同じ名前の会社があって、現在でも「Parade」というブランドで北陸の靴販売店として一定のシェアを占めているらしい。黒部川の谷が狭まる愛本の駅で、図らずもこういう地場のローカルチェーンの知見を得て、自分の小ネタの引き出しにまたモノが増えた(笑)。

山小屋風の愛本駅。宇奈月へ向かう県道から細い脇道に逸れた奥にあって、正直場所は気付きにくいかもしれない。そもそも黒部線エリアの駅はどこも集落の細い路地を入った場所にあるので、駅の位置が分かりづらい印象があるな。駅横にある大きな発電所(関西電力新愛本発電所)が目印になるのだけど、そもそもこの駅を利用するのは駅を知っている近隣住民だけなのだろう。以前は交換設備があったのか、森に還り始めたホーム跡が見える。

ホームの待合室の中に、本当だったらホームに掛けられているはずの駅名標が置かれていた。どうしたんだろう。掛け直さないのかな。待合室のベンチに座ってぼんやりと駅名標を眺めていたら、図らずも、この空間が「愛(本駅の駅名標)を閉じ込めた部屋」になっていることに気付く。ふむ、愛を閉じ込めた駅か・・・なんて思えば、無駄にエモーショナルな感情が沸き上がって来る。なら、「(駅名標を掛け)忘れられた愛(本)の駅」なんてのもアリかもしれない。なんだその二時間ドラマ的なタイトル。なんて自分で自分にツッコミを入れながら過ごしてみるのだが、これはそんな相変わらずの全開の妄想を表現したカットです。ちなみに、動かしてみようとしたら、案外愛が重かった。

黒部に愛を閉じ込めて、ひっそりと佇む森の小駅。
その愛の行く末は、誰も知らない。


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