青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

東濃の朝の花道

2017年03月06日 17時00分00秒 | 中央西線

(二日目・始動@朝5時の名古屋市内)

尾張温泉で温まった後、宿泊地である名港近くのトラックステーションで仮眠。日光川の河口に近い何もない場所にあった。4,000円払ってベッドで寝るだけ。まあ。逆に言えば寝るだけで4,000円も払うならマンガ喫茶でも良かったかもしれないが。設備もカプセルに毛の生えた程度のもんだったし。23時に入って朝5時に出てしまったんで、受付のオッサンも「早いっすな!」なんてビックリしてたけど…ハンドルを握りTSを出る名古屋の早朝。この日はロクヨンを追い掛けて中央西線方面に流します。


まずは朝の6883レを追い掛けて武並のお立ち台へ。宿を5時に出たのに、撮影地に着いたのは7時前。名古屋高速を走るのをケチって下道で春日井ICまで走ったのだが、何気に名古屋市内が信号多くて時間がかかった。田んぼのあぜ道から撮影するんだが、踏み固められたテツの道が出来るほどの名ポイント、朝の低い光線でガッツリとロクヨン重連を抑えられるポイントとあって盛況。この日の東濃地方、朝は氷点下6度まで下がる冷え込みだったのだが、霜の降りた枯野に朝もはよから元気なオトコ達の影が映るのであった。


前走りの211系でデモンストレーションを終え、田んぼの小道に繋がる踏切が鳴り始めたのは7時半少し前。カーブの向こうからロクヨン重連が重々しいブロワ音を響かせながら姿を現しました。この6883レ、引っ張っているタキはついぞ夕べに塩浜でバルブした6286レの荷物。稲沢で一晩明かした後、パートナーをロクヨンに変えて朝の木曽路を信州へ向かいます。


(中央西線6883レ EF641047+EF641022+タキ13B 武並~恵那間)

広角アングルはWBを変えて。冷え込み厳しく澄み渡った東濃の朝の光の中、槇ヶ嶺山のサミットに向けて力行するロクヨン重連。並んだカメラから降り注ぐシャッター音のシャワー。足元までバッチリ光が回る絶妙な角度で、まさに花道とも思えるロケーション。1047+1022のコンビはきちんとエンド揃いなのも嬉しい。お立ち台つーのはまあいい構図でいい光線で撮れるからこそ「お立ち台」と呼ばれるものなんだろうけど、アタクシみたいなのが徒手空拳で撮りに行ってもそこそこ素敵な写真が取れるのだから、そんなお手軽なとこも含めてここ武並のカーブは一級品のお立ち台だと言えるのではないでしょうか。

この辺りはこんな感じで(○の部分がお立ち台ね)複線化の際に上下線を揃えず新設線だけ大きくトンネルを掘ってショートカットした線形になっています。1960~70年代にかけて線形改良のため近代化(複線化)された全国の国鉄幹線筋にありがちなパターンで、関東で身近なところでは中央東線の高尾から塩山辺りにかけてもよく見られますね。上下線が離れた部分は単線的なロケーションで撮れるので名撮影地になりやすく、また線形改良の近代化の結果使われなくなった隧道や橋梁などは山の中に「廃」なものとして残りやすく、それもまた遺構化してはマニア向けの物件になったりもするのであります(笑)。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

尾張名古屋は凸で持つ

2017年03月05日 10時00分00秒 | 関西本線

(追っ掛け後のお楽しみ@尾張温泉東海センター)

一日さんざっぱらDDを追い掛けた後は、温泉でも入って癒されたいもの。名古屋の近くにそんな温泉なんてないでしょ?と思われる方が多いでしょうが、意外にこの名古屋から桑名にかけては地下に湯脈が走っているのかちょこちょこと温泉地がある。そう言えば遊園地ばっかりクローズアップされるけど、木曽川と揖斐川に挟まれた東海地区随一のレジャーランドであるナガシマスパーランドって名前の通り「SPA(温泉)LAND」だもんね。関西本線の日光川橋梁の南にある「尾張温泉東海センター」。もうネオンサインからして昭和のB級健康ランド感が炸裂しているのだが、すっかり冷え切った体を温めにやって参りました。

  

入浴料は大人620円。入口脇には大衆演劇の一座の出し物が掲示されていて、まあ実に昭和レトロっぽい施設ですねえ。昔は宿泊もやってたみたいだけど、今は日帰り利用のみらしい。ロビーでとにかく大量の年寄り向けの洋服を売ってたりするのもこの手の施設にありがち。「あたたかく心地よく 暖Dayパンツ3,000円」の「ダンディ」と「毎日暖かい=暖Day」をかけてるトコロもイカス。誰か買う人いるのだろうか(笑)。大量の洋服の向こうに浴場の入口があり、100人入っても大丈夫なほどの大きな大きな岩風呂には惜しげもなく熱い湯が満たされているのでありました。


四日市到着後構内で入替を行う852+1805のペア。全国津々浦々の非電化路線に投入されたディーゼル機関車であるDD51も、最終ロットの製造から既に40年超。この日一日DD51を追い掛けて、改めて非電化の雄としてのカッコよさに触れさせていただきました。アゴまでどっぷり湯に浸かりながら、これからもDD51定期運用の最後の砦として、愛知機関区の最後のメンバーが中京工業地帯で繰り広げる紫煙の雄叫びに、力強いエールを送らずにいられないのであります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夜のカニフライ

2017年03月04日 10時00分00秒 | 関西本線

(異形ノモノ、降臨ス。5283レ@蟹江駅)

何だか暗号のような表題ですな。塩浜バルブも無事終了し、今日の仕事は終わりだな感もありますが、今回は名古屋で泊まりが決まっているのでオマケでもう一発。もう時間的に走行写真は無理なので、最近愛知機関区のDD界隈で人気のある蟹江バルブに参戦してみようと思います。このバルブ撮影の対象列車は、碧南火力発電所と東藤原の太平洋セメント藤原工場間を往復するフライアッシュ(以下FA)便こと5283レ。ホキ1000という専用貨車で運搬される碧南火力→東藤原行きの中身は発電所で出る石炭の焼却灰ですが、これをセメント材として再利用するために東藤原まで運ばれます。逆に東藤原→碧南火力行きでは、発電所の排煙から有害物を吸着して除去する炭酸カルシウムが運ばれるという鉄道を利用した環境にやさしい循環型ネットワークが形成されています。


平日夜にもかかわらず、蟹江バルブには5~6名の参加者。時間が20時ごろなので会社が早めに引ければ夜の鉄活として参戦しやすいのでしょうか。長いホームの先端部が撮影場所となりますが、そんなに撮影スペースはない感じ。先客の地元鉄の若い2人が率先して「そこそこ(停車している)時間あるんで、皆さん順番に撮りましょう」と一声かけてくれたのがありがたかった。なかなか勝手の分からない遠征組にはそんな捌きは出来ませんのでねえ。まずは中線に進入した5283レ、名古屋行きの346Mと交換。


(関西本線5283レ DD511803+DD51857+ホキ14B 蟹江駅)

普通列車が出て行ってから、若い二人の話通りに皆さん譲り合って粛々とバルブ。この日のFA担当は先頭に1803、スノープロウ付き。スノープロウのありなしで言えば、DD51はもう圧倒的にスノープロウあり機がカッコよいのでありますがね。ただホームの端からナナメ45度的な角度で撮るのはそう何枚撮っても変わるもんじゃないというか…ってここまで来ておいて身もフタもないですが(笑)。うん、他の方の手前もあるのであんまりレンズ前でウロウロすんのもねえ。


と言う訳でバルブの皆様から離れてホキ1000をクローズアップして撮ってみました。ホキ1000のフォルムと言うかディテールは、今の日本のどの貨車にもないような独特のもので、唯一無二の存在ではあります。また車体側面の「フライアッシュ及び炭酸カルシウム専用」の文字がもう思い切り国鉄フォントでそこもいいっすよねえ。このホキ1000に似た形で、昔は小麦粉を運ぶクリーム色のホキ2200型と言う貨車が図鑑に載ってたのを覚えていますが、子供心に「小麦粉って貨車で運ぶんだ!」みたいな純粋な驚きがありました。小麦粉と石炭灰(炭カル)の違いはあるにせよ、いずれにしろ貨車としてはこんな形が粉体物を運ぶのに適した形状であるのは間違いないんでしょうね。


上下何本かの列車をやり過ごし、FA便が蟹江の駅を発車して行きます。時間としては20分くらいの停車時間でしょうか。この列車は富田にて一晩留置され、改めて明日の朝早く三岐鉄道の電気機関車に牽かれて東藤原に向かって行きます。この日のホキは14両あったから、両数多いと三岐線内は確か朝便と昼便に分けて運ぶんじゃなかったかな。員弁の田園風景の中を走るFA&三岐のD級電機というのもなかなか魅力的な被写体ですんで、これは春の田んぼに水が入ったタイミングでやってみたいんだよなあ。って四日市界隈に何回行くつもりなんだ自分…(笑)。

とりあえずこの日の予定はこれで終了。宿に向かうとしましょう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

試してカツテン(塩浜バルブ編)

2017年03月03日 18時00分00秒 | 関西本線

(関西本線6286レ DD511147+DD51889+タキ14B 塩浜駅)

弥富の手前で撮影した75レが重連で塩浜に到着すると、折り返しで季節列車の6286レが今日も元気にカツテン(復活運転)となります。四日市界隈の冬場の名物列車とも言えるこの6286レ。良いところは、塩浜の広い構内で編成を組成した後は踏切から撮影するのにちょうどいい場所で出発を待つためにバルブ(長時間露光)撮影に適しているところですね。75レでは次位を務めた1147号機が先頭に立って、新製配置が岩見沢機関区と寒地向け車種であった名残の旋回窓をバルブ参戦者に見せ付けてくれるのでありました。


思い思いの場所で塩浜バルブに興じるギャラリーの皆様(画像処理アリ)。塩浜バルブのポイントである踏切は並行して走る近鉄名古屋線と遮断桿を共有しているので、当然ながら近鉄が通る際は踏切が閉まります。そんな中で遮断機が上がったと同時に所定の位置へ機敏に動いてシャッターを切る一連の動作に皆さん一部の隙もなくてステキです(笑)。正味バルブ出来る時間は20分くらいありますけど、やってみると思った以上に踏切の開いてる時間がないのがお分かりいただけるかと(近鉄もちょうど夕方のラッシュ時間だし)。三脚を使っている方もいましたが、正直手持ちで何とかせいよと言う感じかな。

 

手持ちなら遮断機が上がった瞬間にちょっとダッシュして逆サイに回り込めばこのようなアングルにもチャレンジ出来ます。が、逆サイは出発信号機が建っちゃったおかげで出発線に入られるときれいには撮れないですから入替の序盤にこなしておかないといけないアングルなのでご注意を。もちろん警報が鳴ったら速やかにダッシュで踏切の外に退去するのは言うまでもありません。


塩浜の構内を跨ぐ大きなアーチ橋と、橋に連なる水銀灯。無数に広がる側線群がきらめく中で、静かに出発を待つ6286レ。DDの後ろに連なるタキも水銀灯の光で艶めいて、これぞ塩浜バルブですよね。6286レが出てしまえば塩浜駅は店じまい。翌朝7時半の2083レの到着まで、残されたタキ車だけが長い眠りに着きます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

誰が呼んだか浮浪雲

2017年03月02日 17時00分00秒 | 関西本線

(関西本線5380レ DD511802+DD51853+タキ14B 白鳥信号場)

午前中は四日市方面行きが中心だった貨物は、午後になると名古屋方面行きの貨物が多くなります。昼の着発便を四日市界隈で眺めた後は、午後の撮りモノを追って白鳥信号場付近に移動して来ました。東名阪道蟹江ICを降りて10分程度、「東海の水郷」と言っても過言ではない水路の張り巡らされた低湿地帯は、とにかく全方向が開けていて日照さえあれば全日ほぼ無敵。悩んだらここという関西本線きっての撮影地でもあります。ここで待つのは朝の5271レで下った国鉄色&更新のペア、重連総括のため返しは国鉄色が次位になってしまうんでサイド気味に狙うならやっぱ白鳥…なんですが、5380レが通過するほんの直前に強い北風に流された雲が太陽を隠してご臨終。おう、がっで~む。


(改めて関西本線5380レ DD511802+DD51853+タキ14B 永和~蟹江間)

5380レはすぐお隣の永和で20分少々の交換待ちを行うので、そういう事もあろうかと次善の策を。車でサクッと先回り、永和から蟹江の間で渡る日光川の鉄橋で。ここも次位の色味を出すためにサイド気味に仕掛けます。うーん、さっきよりはマシだけどまだ光線がカタいかねえ。ちなみにこの辺りは海抜ゼロメートル地帯に大小無数の川が流れていて、結構どこも水面すれすれの味のあるガーター橋がかかっているので割と撮影地になりやすい。朝イチで撮影したのも新川の堤防だし、庄内川の堤防も悪くないアングルが組めたと思うのでご参考までに。


(関西本線72レ DD51857+DD511803+タキ18B 白鳥信号場)

再び座を白鳥の信号場に戻して次は72レ。だーいぶ太陽が西に傾いてきた事もあり、赤く射すはずの斜光を期待したのだが…今度も信号場の向こうにDDの姿が見えたとたんに雲が太陽を覆い隠してしまい連敗。5380レから粘り続けてた連中からの結構な恨み節と、仲間で来てるグループでは早速戦犯探しが行われるのでありました(笑)。18両のタキを牽引する大物だったんだけどねえ…この日は基本的には天気が良かったんだけど、強い北風に乗って鈴鹿・養老・伊吹山地からの雲塊が濃尾平野から四日市方面にかけて流れ込んでたのよね。この辺りは水郷地帯で遮蔽物少ないし、川筋が風の道になって上空も雲が通りやすいんだと思う。個人的にも白鳥は相性悪いよなあ。まともなギラリ撮った事ないもん。戦犯、俺かも(笑)。


(関西本線75レ DD51889+DD511147+タキ14B 白鳥信号場~弥富間)

失意の白鳥を出ると、なぜか夕日がにっこり線路を照らすという皮肉に草も生えます。気を取り直して。白鳥(信)から弥富にかけてのクリーク沿い築堤で75レを。結構このポイント好きなんよね。初めて愛知にDD撮りに来た時、ロケハンしてファーストショットを切ったのがここだったんでね。クリークのゆったりした水面に、水鳥が遊ぶ風景と遠くに名駅のビル群が見えるのがアクセント。かように撮影地には相性というものがありますが、ここは割と相思相愛な場所なんじゃないかと勝手に思っています(笑)。75レは先ほどの72レに続いて14車が見事にリューイーソー、順光でツモって役満でございます。


サブカメの広角側でもう一枚。あんまり引き付けると迫力は出るけど建物が邪魔臭い&サイドが弱くなってしまいますか。DDの造形はややもすると順光でノッペリと太陽を当てて撮るよりも、その複雑な造形美を半逆光くらいで炙り出したほうがいい感じに仕上がったりするので難しい被写体だよね。順光で色味を優先するか、半逆光で造形を優先するか、光の加減でイメージが変わるところも凄く魅力的なイキモノであるので、まあ沼的な素養は色々ある。まだまだ精進が足りていないようです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする