tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

談山神社の福禄寿(大和七福八宝めぐり・其の参)

2011年01月02日 | 大和七福八宝めぐり
昨日アップしたおふさ観音の恵比寿天に続く、大和七福八宝めぐり第3弾では、桜井市多武峰(とうのみね)の談山神社を紹介する。よく「だんざん」と読む人がいるが、「たんざん」神社なのでご注意を。この神社は日光東照宮のモデルとも言われ、重要文化財の華麗な建造物17棟が居並ぶ。木造の十三重塔は日本で唯一(普通は石塔)。Wikipedia「談山神社」によると《祭神は、藤原鎌足(談山大明神・談山権現)。桜と紅葉の名所である。神仏分離以前は、寺院であり、多武峯寺或いは多武峯妙楽寺という名称であった》。




写真はすべて07.11.18の撮影。紅葉真っ盛りだった

《鎌倉時代に成立した寺伝によると、藤原氏の祖である藤原鎌足の死後の天武天皇7年(678年)、長男で僧の定恵が唐からの帰国後に、父の墓を摂津安威の地(参照:阿武山古墳)から大和のこの地に移し、十三重塔を造立したのが発祥である。天武天皇9年(680年)に講堂(現在の拝殿)が創建され、そこを妙楽寺と号した。大宝元年(701年)、十三重塔の東に鎌足の木像を安置する祠堂(現在の本殿)が建立され、聖霊院と号した。談山の名の由来は、藤原鎌足と中大兄皇子が、大化元年(645年)5月に大化の改新の談合をこの多武峰にて行い、後に「談い山(かたらいやま)」「談所ヶ森」と呼んだことによるとされる》。





この神社で有名なのが蹴鞠会(けまりえ)と嘉吉祭(かきつさい)である。同社の公式サイトによると、蹴鞠会とは《藤原鎌足公が飛鳥法興寺の蹴鞠会において中大兄皇子とはじめてまみえ、「大化改新」の発端となった故事にちなんで行われるたいへん雅びな祭です。現在は毎年、4月29日(昭和の日)と11月3日(文化の日)に行われます》。



嘉吉祭とは《古く室町時代にはじまります。南北朝合一ののち永享7年(1435)、南朝の遺臣が多武峰に拠って兵を起こしたため、同10年(1438)8月、足利幕府の大軍がこれを攻め、兵火によって一山が焼失しました。この兵火を避けて御神体を一時、飛鳥の橘寺に遷座しましたが、3年後の嘉吉元年(1441)9月にもとの多武峰に帰座しました。寛正6年には勅使が派遣され、嘉吉元年の御神体奉還の日をもって祭が営まれることになりました。そのために祭の名も嘉吉祭となりました。そして御神体の帰座を喜んだ一山の人々が多武峰の秋の収穫物をととのえて供えた神饌を百味の御食といい、画像はその一部です。現在は毎年、10月第2日曜日に斎行されています》という特殊神事である。


画像は「楽々はがき2009」より

さて、この由緒ある神社の総社拝殿に、木彫の福禄寿(ふくろくじゅ)像が祀られている。このお像は、多武峰に自生するケヤキから彫り出されたものである。大阪芸術大学教授・齋部哲夫氏の制作で、総高は3mと、福禄寿像としては全国屈指の大きさである。『日本書紀』斉明天皇2年(656)には、多武峰に巨大な二本の槻の木(ケヤキ)の神木が立っており、巫女でもあった女帝は、そのほとりに高殿を建てて神を祀ったとあり、その話に基づいてお像が制作されたようである。



では、福禄寿さまとは、どんな神さまなのか。Wikipedia「福禄寿」によると《七福神の一つ。道教で強く希求される3種の願い、すなわち幸福(現代日本語でいう漠然とした幸福全般のことではなく血のつながった実の子に恵まれること)、封禄(財産のこと)、長寿(単なる長生きではなく健康を伴う長寿)の三徳を具現化したものである。宋の道士天南星の化身や、南極星の化身(南極老人)とされ、七福神の寿老人と同体、異名の神とされることもある。 福禄人(ふくろくじん)とも言われる》。

1回で「福・禄・寿」にご利益のある神さまを拝める談山神社に、私は今月上旬にお参りする予定である。どんなお像を拝観できるのか、今から楽しみである。皆さんも初詣に、談山神社をお参りしませんか?
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おふさ観音の恵比寿天(大和七福八宝めぐり・其の弐)

2011年01月01日 | 大和七福八宝めぐり
県下8社寺を巡拝する「大和七福八宝めぐり」、初回は安倍文殊院の弁財天だったが、今日は橿原市のおふさ観音(観音寺)を紹介する。Wikipediaによると《おふさ観音は、奈良県橿原市小房(おうさ)町にある寺院の通称名である。山号は十無量山。正式名称は高野山真言宗別格本山 十無量山 観音寺。イングリッシュローズが境内に所狭しとあふれる寺院として知られている。大和三山の耳成山と畝傍山のほぼ中央に位置する寺院で、本尊は十一面観世音菩薩》《1650年(慶安3年)、この辺りにあった鯉ヶ淵という池の中から白いカメに乗った観音が現れ、それを発見した付近に住む娘おふさが小さな堂を建立して観音を祀ったことが起源とされている》。


こんなにたくさんの秋バラが咲き残っていた(写真はすべて10.12.18撮影)

密教のお寺なので、祈祷も受け付けて下さる。お寺のHPによると《ご本尊さまは十一面観音様で、元々身体の健康を授けて下さると言われておりました。近年はそれ以外にも開運厄除け、子授け、ボケ封じなどさまざまなお願い事をかけられる方が増えております。また当寺はいわゆるご祈祷所で、ご祈祷申し込み希望者には僧侶がお経を読んで観音様にお願いをさせていただきます》。



七福神の恵比寿さまは、境内の「恵比寿尊天社」(=トップ写真)というお社に祀られている。しかし、なぜ密教寺院に恵比寿さまがお祀りされているのか、よく分からなかった。それを調べるために、昨年12/18(土)、お寺を訪ねた。貫主(住職)の密門光範氏にお会いして、疑問が氷解した。恵比寿さまは、当地の地神さん(地主神)だったのである。



地主神(じぬしのかみ)とは《日本の神道などでは、土地ごとにそれぞれの地主神がいる、とされている。その土地を守護する神であるとされているのである》《新しい土地の開発に際し、その土地古来の神に許可を得るためや、封じ込めるために、地主神は祀られた。中世には、神社、寺院の建立の際、その土地古来の神を地主神としたり、鎮守社を新設して地主神とすることもあった》(Wikipedia「地主神」)。



恵比寿さまは、大和七福八宝の会のHPによると《七福神唯一の我が国古来の神さまです。もと漁民の神として、海運守護、大漁の徳をお持ちの他、特に商売繁昌の霊験があらたかで「エビスさん」として知られています》。おふさ観音では、毎年1月の第3日曜日に「恵比寿大祭」(えべっさんさん)が営まれる(今年は1/16)。大阪の今宮戎では、1月10日を十日戎(本戎)、前日を宵戎、翌日を残り戎とし、この3日間を祭礼の日としているが、これは決まったものではないのだ。奈良の南市恵比寿神社では、4~5日がお祭りの日である。



画像は「楽々はがき2009」から拝借



おふさ観音境内の奥には、円空庭という瀟洒なお庭がある。12万体の木彫仏を彫った行脚僧の円空とは関係がない。円は悟り、空は無限を表わし、「見る人に心の安らぎを与えてくれる庭」という意味なのだそうだ。池にはたくさんの亀や大きな鯉がいて、心を和ませてくれる。こういうお庭が無料で楽しめるところが、京都と違う奈良の大らかさである。お庭のつきあたりには、「茶房 おふさ」があり、喫茶・軽食が楽しめる。お庭を見ながら、のんびりくつろげる癒しの空間である。



日本経済も奈良県経済も、相変わらず厳しい状態が続いているが、恵比寿さまに商売繁盛を、十一面観音さまに心身の健康をお祈りに、ぜひおふさ観音をお訪ねいただきたい。
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安倍文殊院の弁財天(大和七福八宝めぐり・その壱)

2010年12月30日 | 大和七福八宝めぐり
今日から年明けにかけて、「大和七福八宝めぐり」の各社寺を紹介させていただく。大和七福八宝めぐりは、奈良県下の七福神と、大和一之宮である大神神社(三輪明神)を回る巡拝コースである。巡拝者には、「お福掛(おふくかけ)」という立派なアルバム(朱印帳)が無料で授与される(朱印料は300円)。
※大和七福八宝めぐりに行こう!(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/b7d8b86484ea023481a223d1b976ec67

初回の今日は、「大和七福八宝の会」事務局が置かれている安倍文殊院(あべもんじゅいん)を紹介する。安倍文殊院(桜井市阿部)とは、Wikipediaによると《華厳宗の寺院である。山号は安倍山。本尊は文殊菩薩。開基(創立者)は安倍倉梯麻呂(あべのくらはしまろ)である。切戸文殊(京都府宮津市)・亀岡文殊(山形県高畠町)とともに日本三文殊に数えられる》。


榊莫山氏の絶筆となった安倍仲麻呂の歌碑(写真はすべて12/18撮影)

《大化の改新の時に左大臣として登用された安倍倉梯麻呂(あべのくらはしまろ)の氏寺として建立されたという。創建当時の寺地は現在の文殊院の西南300メートルほどのところであり、鎌倉時代に現在地に移された。旧寺地(桜井市安倍木材団地1丁目)は「安倍寺跡」として国の史跡に指定され、史跡公園として整備されている。発掘調査の結果、安倍寺は東(右)に金堂、西(左)に塔が建つ法隆寺式伽藍配置をもっていたことがわかり、出土した古瓦の様式年代からも創建が7世紀にさかのぼる寺院跡であると見られる》。「天の原ふりさけ見れば春日なる…」の歌で知られる遣唐使・安倍(阿倍)仲麻呂も、安倍氏である。

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野村萬斎主演の映画「陰陽師(おんみょうじ)」で知られる平安時代の陰陽師・安倍晴明(あべのせいめい)は、ここで生まれたとも、摂津国阿倍野(現・大阪市阿倍野区)で生まれたも言われている。《「東大寺要録」巻6には、東大寺の末寺の1つである「崇敬寺」が安倍倉梯麻呂の建立であることと、「崇敬寺」の別名が「安倍寺」であったことが記載されている。当院では陰陽師・安倍晴明が陰陽道の修行をしたともいわれ、2000年(平成12年)には安倍晴明堂が建立されている》。境内には、安倍氏ゆかりの第90代内閣総理大臣・安倍晋三氏の献灯碑も建っている。


歌碑のすぐ左手に安倍晋三氏の献灯碑が建つ。後ろに見えるのが金閣浮御堂(=トップ写真)

このお寺の金閣浮御堂には、七福神の1つである「弁財天像」がお祀りされている。普段は鍵がかかっているようだが、私は幸い拝ませていただいたことがある。ごく小さなお像である。お寺のHPによると《室町時代 大和七福神本尊 この弁天様のお姿は、八臂弁天(はっぴべんてん)と言い、八本の腕を持ち、十五人の童子を儒者として従える、真言密教に伝わるお姿をしています》とある。
※安倍文殊院の公式ホームページ
http://www.abemonjuin.or.jp/


安倍晋三氏の献灯碑のアップ

七福八宝の会のHPには《七福神の紅一点弁天さまは、インドの水の女神です。美しいお姿で知られていますが、八本の手に多くの武具・法具を持つお姿でも表されるとおり、困難に立ち向かう強い力もお持ちです。平時は穏やかな女神さまで、美しい琴の調べに象徴される技芸の徳の他、愛嬌縁結びの神さまとして親しまれています》とある。
※大和七福八宝の会の公式ホームページ
http://www.taimadera-nakanobo.or.jp/8pou.htm 



画像は「楽々はがき2009」より

このお寺ではちょうど今、8千株のパンジーによる「卯年のジャンボ花絵」が公開中だし、11年1月25日までの間は、「獅子から降りた文殊菩薩像」が特別拝観できる。《鎌倉時代に仏師快慶によって造立されて以来800余年目にして初めて、修理に伴って巨大な獅子から降りられる文殊菩薩(重文)が本堂に安置され、眼前にて特別拝観いただけます》(平城遷都1300年祭のHP)。江戸時代に補作された大きな獅子像の上に載っていて、遠くから拝観していた文殊菩薩像が、獅子から降り、すぐ目の前で拝観できるのである。 「知恵の文殊さん」には、合格祈願の受験生のお参りも多い。なお本堂の拝観料は大人700円、小学生500円(菓子・抹茶付き)、駐車料金は500円である。
http://www.1300.jp/event/detail/yamatoji/yeve100630-39.html

七福八宝めぐりをしながら、「卯年のジャンボ花絵」と快慶の「獅子から降りた文殊菩薩像」を拝観できる、阿倍仲麻呂・安倍晴明・安倍晋三ゆかりのお寺。初詣にも、合格祈願にも、ぜひお参りいただきたい。
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大和七福八宝めぐりに行こう!

2010年12月27日 | 大和七福八宝めぐり
「大和七福八宝めぐり」をご存じだろうか。奈良県下の七福神と、大和一之宮である大神神社(三輪明神)をめぐるという有り難い巡拝コースである。大和七福八宝の会のHPによると《大和の七福神と大和信仰の原点である三輪山を参り、八つの福宝をいただくおめでた詣りです。七福神はインド、中国、日本と三国にわたる福の神です。縁を結べば「七福即生」の御利益があります》。

《また、三輪山は日のいづる山として仰がれる大和の信仰の原点で、参拝すれば七福がさらに倍増し、「八宝円満」の御利益をいただけます。この「七福神+大和一之宮」の八宝巡りは1日で回ることも可能ですので気軽に出かけてみましょう。それぞれ趣の違うお寺、神社があなたを迎えてくれます》。七福神と、それをお祀りする社寺を以下に列挙する(七福神の説明はWikipedia「七福神」から引用した。神さまのお名前のところには当ブログ記事へのリンクを貼っている)。


大和七福八宝めぐりの「お福掛(おふくかけ)」(ご朱印帳)

恵比寿(商売繁盛の福宝:おふさ観音)
古くは「大漁追福」の漁業の神であり時代と共に福の神として「商売繁盛」や「五穀豊穣」をもたらす、商業や農業の神となった。
大黒天財宝の福宝:子嶋寺)
インドのヒンドゥー教のシヴァ神と日本古来の大国主命の習合。大黒柱と現されるように食物・財福を司る神となった。
毘沙門天家門隆昌の福宝:信貴山朝護孫子寺)
元はインドのヒンドゥー教のクベーラ神で、これが仏教の神のヴァイシュラヴァナ(多聞天)になり日本では毘沙門天と呼ばれる。
弁才天 (=弁財天 愛嬌縁結の福宝:安部文殊院)
七福神の中の紅一点で元はインドのヒンドゥー教の女神であるサラスヴァティー神。七福神の一柱としては「弁財天」と表記されることが多い。
福禄寿(開運出世の福宝:談山神社)
道教の宋の道士または、道教の神で南極星の化身の老子である寿老人の別名または同一神とされる。
寿老人(長寿延命の福宝:久米寺)
道教の神で南極星の化身の老子。
布袋(家庭円満・子宝の福宝:当麻寺中之坊)
唐の末期の明州(現在の中国浙江省寧波市)に実在したといわれる仏教の僧。



七福神。画像は「楽々はがき2009」より(トップおよび次の画像も)

四国をバス巡礼で回っているとき、たくさんのお遍路さんとお会いして「奈良県でも、こんな巡拝コースが組めないだろうか」と考えていた。それで思い出したのが、この七福八宝めぐりである。車があれば1日でも回れるが、ゆっくりと周りの観光名所や美味しい店などに立ち寄りながら、日数をかけてお参りするのも良いだろう。

七福神めぐりは全国各地で行われているようで、ネットで検索しただけでも都七福神めぐり(京都定期観光バス)、浅草名所七福神めぐり(はとバス)、札幌七福神初詣日帰りバスの旅(近畿日本ツーリスト)などがたちどころにヒットした。ここはぜひ、奈良交通さんにもバスツアーをご検討いただきたいものだ。



とりわけ近ツーの「札幌七福神初詣日帰りバスの旅」(札幌発着 1/3と1/5実施 )は《2011年の開運祈願!》《札幌近郊の七ヶ所の寺院を巡る、毎年大好評のKNTおすすめお正月日帰りバスツアーです。年の初めに七福神のパワーをもらいに行きませんか?初詣企画:北の都・札幌七福神霊場会》と、初詣として7か所を回るというグッドアイデアである。

確かに福をいただくには、1月が似つかわしい。お正月、枕の下に七福神の乗った「宝船」の絵を入れておくと、良い初夢が見られるといわれるし、「えべっさん」(恵比寿講)も1月だ。私もこれら大和の8社寺は全てお参りしているが、仏さまはともかく、神さまを拝んだことはあまりない。「大和七福八宝めぐり」では、仏師渡邊載方さんが描かれたおめでたい「七福八宝お福掛」がいただける(お福掛は無料だが、朱印料は1社寺あたり300円:300円×8社寺=計2,400円 拝観料は別)。

私も新年はぜひ、「大和七福八宝めぐり」にチャレンジしたいと思う。皆さんも、いかが?

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