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スキマ時間だけで毎月30冊読む精神科医の読書術/奈良新聞「明風清音」第44回

2020年08月21日 | 明風清音(奈良新聞)
私は毎月、平均4冊ほどの本を読む。1年だと約50冊ということになるが、すべて通勤などのバスや電車内で読むので「まあ、この程度でも仕方ないか」と思っていた。自宅ではパソコンに向かうので、なかなか本を読む気にはなれないのだ。しかし15万部のベストセラーになったという樺沢紫苑(かばさわ・しおん)著『精神科医が教える 読んだら忘れない読書術』(サンマーク出版)を読んで、目からウロコが落ちた。樺沢氏は「通勤時間などのスキマ時間だけで月に30冊の本を読む」というのだ。

要は、車内ではスマホを見ないで読書に専念するということなのだ(そもそも彼はスマホを持っていない)。「ホンマカイナ」と早速試してみると、おお、これは効果絶大。月平均で2倍の8冊(年間約100冊)が読めるようになった!車内だけでなく、時間待ちの喫茶店や昼食時のレストランなどでも本を読むようになったので、自然とこんなに読書量が増えたのである。つまり、座るとスマホではなく、本を取り出す習慣がついたのだ(三色ボールペンで傍線を引きながら読むので、あとで振り返るのも楽だ)。スマホがこんなに私の読書時間を奪っていたとは驚きだ。憎っくきスマホ!

この本にはそれ以外の読書に関するノウハウが凝縮されている。「人間の脳は一生成長を続ける」「速読より深読(しんどく)」というくだりにも、膝を打った。この本の要所を《精神科医の「読書術」》として昨日(2020.8.20)の奈良新聞「明風清音」欄に書いた。早速「明風清音を読んでこの本を注文しました」という女性もいた。以下、全文を紹介する。

樺沢紫苑(かばさわ・しおん)著『精神科医が教える 読んだら忘れない読書術』(サンマーク出版)を読んだ。彼は通勤時間などのスキマ時間だけで月に30冊の本を読み、年に3冊の本を執筆し、フェイスブック(FB)などで毎日情報を発信しているという。本書には読書に関する様々なノウハウが凝縮されている。以下、要点を紹介する。

▼ネット情報はデパ地下の試食のような「断片」
ネットやテレビなどの情報は断片的(体系化されていない)で、1年たてば古くなる。本に載っているのは「結晶化された知識」で、10年たっても古くならない。

▼人間の脳は一生成長を続けることが分かった
かつては「20歳をすぎたら脳細胞は死ぬだけ」とされていたが、最新の研究では脳細胞は20歳をすぎても分裂・成長し、しかも一生続くことが分かった。読書は記憶力、思考力、集中力、情報処理能力、共感力、コミュニケーション能力、想像力を鍛えてくれることが判明している。

▼読書の目的は「自己成長」
樺沢氏が本を読む動機は「楽しいから」。楽しいことをやると脳内物質のドーパミンが分泌され、記憶力がアップする。しかし読書の最終目的は「自己成長」。自分の「考え方」はもちろん、「行動」が変化し、自分をとりまく現実が少しでも良くなるような読書をすべき。

▼「アウトプット」することで記憶に残す
①本を読みながら蛍光ペンでマークする、メモを取る②本の内容を人に話す、本を人に薦める③本の感想や気づき、名言を短くFBなどに書く④FBなどに書評・レビューを書く。これらのアウトプットうちの3つを読後1週間以内に行えば、記憶に残るそうだ。ちなみに私は蛍光ペンではなく三色ボールベーンを使っている。6月18日付の本欄で紹介した齋藤孝氏の方法だ。絶対外せない要所には赤、まあ重要なところには青、主観的に面白いと思ったところには緑。本書もこうして読んだので今、要点を拾うのがとても楽だ。

▼電車内でスマホを見ない
氏は電車内のスキマ時間をすべて読書に充てている。車内でスマホを見るのは最大の時間の無駄。スマホで15分かかる長文メールは、パソコンなら3分で打てる。そもそも氏は、スマホを持っていないそうだ。

▼速読より深読(しんどく)
 氏が考える「本を読んだ」の定義は「内容を説明できること」「内容について議論できること」。《飲み会で1冊の本についてみんなで10~20分話して、大いに盛り上がることができるのなら、それは十分「議論できる水準」といっていいでしょう。感想や自分の意見を述べられない、ということは言い換えると「アウトプットできない」ということです。「アウトプットできない」ということは、自分の行動に影響を及ぼさない、ということ》、つまり読んだ意味がなかったということになる。

▼「多く読む」より「何を読むか」が大切
《たくさん読む」のではなく、「どの本を読むのか?」にフォーカスし、1冊1冊を真剣に選んでいく。そうすることで、真に自己成長につながる「ホームラン本」と出会う確率を飛躍的に高めることができる》。未知の分野に初挑戦するなら、ナツメ社の「図解雑学」シリーズがお薦めとか。私は本探しに本の要約サイト「フライヤー」を使っている。無料でもある程度は読めるが、私は月500円(税別)を支払い、有料版(月5冊まで)を読み、購入の参考にしている。

このほか本書には、本の選び方、電子書籍の使い方、推薦本(珠玉の31冊)リストなど、読書の参考になることが満載だ。ご一読をお薦めする。


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