NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は毎週水曜日、毎日新聞奈良版に「やまとの神さま」を連載している。先週(2024.10.16)掲載されたのは〈日露戦争戦利品の砲も/葛木坐火雷(かつらきにいますほのいかづち)神社(葛城市)〉、執筆されたのは同会会員で葛城市にお住まいの東辻裕子さんだった。東辻さんは、今回が初の執筆だ。
2022年4月にスタートしたこの連載も、今回で、はや100回目を迎えた。当初、当会の15周年(2026年4月)記念に書籍を出版しようと思い立ち、その準備として本欄への連載がスタートした。
当初は神社のリストを作り、計画的に執筆者を募っていたが、途中から「近所にこんな神社がある」「小さいが、村人に守られている祠(ほこら)がある」などという紹介をいただき、リストがどんどん増えている。2026年に掲載終了、とはならないとは思うが、良い機会なので、できるだけ多くの神社を紹介していきたいと思う。では、記念すべき100回目の全文を紹介する。
日露戦争戦利品の砲も/葛木坐火雷神社(葛城市)
葛城山のふもと、笛吹神山に鎮座するこの神社の創建は神代とも神武天皇の代とも伝えられますが、明らかではありません。神社に伝わる旧記から崇神天皇の御代にはすでにこの地に鎮座していたことがうかがえます。
祭神は火雷大神(ほのいかづちのおおかみ)と天香山命(あめのかぐやまのみこと)です。王朝の笛師をつとめた笛吹連(ふえふきのむらじ)がこの地に居住、天香山命を祖先神として笛吹神社に祭られたのが始まりといわれています。
火雷大神は雷神、つまり雷雨をもたらす農耕神として祭られました。夏の雷をともなう雨が稲作にとってめぐみの雨で雷神は人びとが畏敬(いけい)する神でした。「延喜式」神名帳には火雷大神は大膳職(だいぜんしき)(宮中の食事や儀式のお膳を担当する役所)に祭られる三神のうちの火の神と記されています。
葛木坐火雷(かつらきにいますほのいかづち)神社と笛吹神社は元々別の神社でしたが、現在は一つになり、その地名から正式名の葛木坐火雷神社よりも笛吹神社の名で地元の人々に親しまれています。
境内では古びた大砲がひときわ目立ちます。これは日露戦争の戦利品として1909年に政府より贈られたものです。当時、日本各地の神社などに奉納されましたが、太平洋戦争などでほとんどが軍などに回収され、当時のままの姿で残っているのは大変貴重なものです。(奈良まほろばソムリエの会会員 東辻裕子)
※トップ写真は、葛木坐火雷神社拝殿と大砲=葛城市で
(住 所)葛城市笛吹448
(通 称)笛吹神社
(祭 神)火雷大神、天香山命
(交 通)近鉄御所線・忍海駅から徒歩約35分
(拝 観)境内自由
(駐車場)あり。無料。
(電 話)0745・62・5024
2022年4月にスタートしたこの連載も、今回で、はや100回目を迎えた。当初、当会の15周年(2026年4月)記念に書籍を出版しようと思い立ち、その準備として本欄への連載がスタートした。
当初は神社のリストを作り、計画的に執筆者を募っていたが、途中から「近所にこんな神社がある」「小さいが、村人に守られている祠(ほこら)がある」などという紹介をいただき、リストがどんどん増えている。2026年に掲載終了、とはならないとは思うが、良い機会なので、できるだけ多くの神社を紹介していきたいと思う。では、記念すべき100回目の全文を紹介する。
日露戦争戦利品の砲も/葛木坐火雷神社(葛城市)
葛城山のふもと、笛吹神山に鎮座するこの神社の創建は神代とも神武天皇の代とも伝えられますが、明らかではありません。神社に伝わる旧記から崇神天皇の御代にはすでにこの地に鎮座していたことがうかがえます。
祭神は火雷大神(ほのいかづちのおおかみ)と天香山命(あめのかぐやまのみこと)です。王朝の笛師をつとめた笛吹連(ふえふきのむらじ)がこの地に居住、天香山命を祖先神として笛吹神社に祭られたのが始まりといわれています。
火雷大神は雷神、つまり雷雨をもたらす農耕神として祭られました。夏の雷をともなう雨が稲作にとってめぐみの雨で雷神は人びとが畏敬(いけい)する神でした。「延喜式」神名帳には火雷大神は大膳職(だいぜんしき)(宮中の食事や儀式のお膳を担当する役所)に祭られる三神のうちの火の神と記されています。
葛木坐火雷(かつらきにいますほのいかづち)神社と笛吹神社は元々別の神社でしたが、現在は一つになり、その地名から正式名の葛木坐火雷神社よりも笛吹神社の名で地元の人々に親しまれています。
境内では古びた大砲がひときわ目立ちます。これは日露戦争の戦利品として1909年に政府より贈られたものです。当時、日本各地の神社などに奉納されましたが、太平洋戦争などでほとんどが軍などに回収され、当時のままの姿で残っているのは大変貴重なものです。(奈良まほろばソムリエの会会員 東辻裕子)
※トップ写真は、葛木坐火雷神社拝殿と大砲=葛城市で
(住 所)葛城市笛吹448
(通 称)笛吹神社
(祭 神)火雷大神、天香山命
(交 通)近鉄御所線・忍海駅から徒歩約35分
(拝 観)境内自由
(駐車場)あり。無料。
(電 話)0745・62・5024
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