平城遷都1300年祭の経済波及効果が発表された。奈良新聞(3/19付)「1300年祭 全国で経済効果3210億円 事業協会推計」によると《平成22年に奈良市の平城宮跡をはじめ県内各地でさまざまなイベントが開催された平城遷都1300年祭の経済波及効果について、近畿を含む全国で約3210億円、県内で970億円とする推計をまとめ、18日、主催者の記念事業協会が発表した》。
奈良県の県内GDPは約3兆7千億円(3,738,439百万円=06年度)だから、970億円は、その約3%に相当する。《県内の経済波及効果は当初想定した750億円の3割増。また波及効果を基にした雇用創出効果は県内で約1万300人、全国(近畿を含む)では2万3500人に上るとしている。協会の事業収支は3億3600万円の黒字となる見通し。定款の規定に基づき、負担金は4分の3を県に、4分の1を奈良市に寄付。協会は今月末をもって解散する》。
《記者会見した秋山会長は「当時の人々が、国難打開に都を造営して国の守りを固めた意気込みを平城宮跡に感じた人は多いと思う。平城遷都1300年祭が本物の歴史を生かし、国営公園化方式で行われたことや、地域挙げて祭典を盛り上げたことが成功につながった」などと総括。荒井知事は「協力していただいた1人1人に感謝したい」と述べた》。
赤字に終わった「ならシルクロード博」とは違い、ちゃんと3億円以上の黒字を計上したのだ、ああ良かった。しかも奈良県も奈良市も、黒字分(剰余金)は、東日本大震災のお見舞金などに充てるというから、これは美談だ。日本経済新聞(3/23付)によると《奈良県、遷都1300年祭の剰余金を見舞金に》《奈良県は22日、昨年開催した「平城遷都1300年祭」の剰余金約2億5千万円などを東日本大震災の被災地への見舞金に充てると発表した。6月の県議会で承認を得て送り先を決める。関連イベントとして開催した「全国都市緑化ならフェア」の剰余金約1500万円も見舞金とする》。
写真は、南都銀行女子ホッケー部のメンバー。平城宮跡で古代の打鞠(だきゅう=うちまり)を再現した(10.5.3 同僚のMくんが撮影)
一方、読売新聞奈良版(3/23付)「奈良市の1300年祭返還8400万円 ボランティア支援検討」によると《奈良市の仲川元庸市長は22日、昨年の平城遷都1300年祭を主催した記念事業協会の31日の解散に伴って市に返還される8400万円の使途について、東日本巨大地震の被災地に向かうボランティアへの支援を検討していることを明らかにした。仲川市長は「市民がまとまって行くバス代などが考えられる。息の長い支援活動に投じていきたい」と話した》。
週刊奈良日日新聞(3/25付)は、紙面の1ページ(全面)を使って、経済波及効果やポスト1300年祭構想(巡る奈良実行委員会の開催など)を報じた。見出しは《平城遷都1300年祭 空前の大成功 世界中から2140万人来訪》だった。
3/14に開催された「巡る奈良実行委員会」については県のHPに詳しく出ていて、《昨年開催した平城遷都1300年祭で実施した「巡る奈良」事業が大成功を収めたことを受け、更なる観光振興を図るためにこの実行委員会を設立しました。実行委員会形式にしたのは、イベントPRや広報戦略についての先進的な手法を、様々なイベント実施主体に伝えることで情報を共有し、一体的に情報発信することがねらいです。1300年祭の賑わいを一過性のものとせず、持続させていくことが大切であり、今後とも観光関係団体等と連携を図りながら、「巡る奈良」事業の取組みを発展、継続してまいります》というものだ。
同紙によると、にぎわい創出、快適な移動、道の駅、直売ネットワーク、宿泊、奈良の食、奈良らしい土産物、文化観光施設ネットワーク、観光ガイド、外国人観光客誘致、秘宝秘仏公開、記紀・万葉、観光情報発信の13の部門からなる「にぎわい・もてなし部会」を設けたという。ならの魅力創造課のHPにも詳しい情報が出ている。
また同紙では平城宮跡の活用などについて、奈良商工会議所会頭の西口廣宗氏がインタビューに答えている。見出しは「ポスト1300年元年 平城宮跡フル活用へ」。1300年祭には予想を上回る来場者があったこと、懸念していた交通渋滞もなかったことに触れたあと《昨年11月、奈良商工会議所と奈良市観光協会、県ビジターズビューローで、国営平城宮跡歴史公園の整備促進に対する要望を国や県、市に行いました》。
《平城宮跡には1300年祭終了後も多くの観光客が訪ねておられます。第1次大極殿院、朱雀門前、東院庭園と魅力的な施設があり、もっとPRすべきですし、新たな観光ルートの目玉になり得ると考えています。朱雀門前広場などでの定期的な催しなども検討していきたいと思います。行政のほうでもこれらの整備・活用に向けた予算を組んでいただいており、大変ありがたいと思っています》。
現在、奈良観光の中心スポットといえば東大寺南大門前だが、常に交通渋滞の問題がつきまとう。やたら修学旅行生が多く、じっくりと静かな奈良の魅力を味わうことができない。これを徐々に平城宮跡にシフトさせていく、というのは妙案である。阪奈道路や国道24号線の便が良く、大阪や京都からのアクセスが良い。広々している(東京ディズニーランドとディズニーシーを合わせた面積より広い)ので、大人数の団体旅行客にも、十分対応できる。
記事に戻る。全国の商工会議所に対して行った1300年祭に関するアンケートによれば、《来訪者の半数が宿泊されましたが、内訳は県内が約60%、残る40%は大阪や京都など他府県に宿泊されたということです。40%の方を奈良にとどめることができなかったことは非常に残念です》。そして《県は先般、1300年祭のにぎわいを一過性のものにするのではなく、より飛躍的な発展につなげるため、官民連携による「巡る奈良実行委員会」を設立しました。大いに期待したいと思っています》。
なお、奈良まほろばソムリエ検定については《奈良商工会議所では「奈良検定」を実施しておりますが、実際のところ赤字です。役員レベルで今後、奈良検定をどうしていくかという議論になったこともありますが、奈良の観光振興のためには続けるべきだと思います。商工会議所としても奈良の観光振興のために協力させていだだきたいと考えています》。
1300年祭は黒字で終わり、その剰余金は東日本大震災のために活用される。宮跡会場は国営公園として、今後も活かされる。1300年祭を契機に作られた「奈良まほろばソムリエ検定」は、祭典の終了後も継続して実施される。良いことづくめで終わったのだ。問題は宿泊施設の不足だが、これは継続して取り組まなければならない。大型ホテルの誘致だけでなく、宿坊や町家ステイなど、幅広く検討してほしいものだ。
不謹慎な話で恐縮だが、震災がもし昨年の今頃に起きていたら、と想像すると、背筋が凍りつく。昨今の「自粛ブーム」を見ていると、とてもお祭りどころではなかっただろう。パレードなどは中止され、もちろん天皇皇后両陛下をお迎えすることもできなかったことだろう。
それにしてもこの「自粛ブーム」には、はなはだ疑問を感じる。昨日は、奈良県文化会館の「奈良県暮らしと環境フェスティバル」にスタッフとして参加したが、来場者は驚くほど少なかった。朝から雪がぱらつくという寒さと強風という要因もあったが、盛り上がりに欠けるのだ。原発事故により節電・省エネが叫ばれているなかで、こんな時こそ環境問題について楽しく学べるイベントはタイムリーで貴重な機会なのだが…。イベントは今日も開かれるので、ぜひ多くの方にご参加いただきたい。
その点、京都はエラい、奈良も見習わなければ。京都新聞(3/25付)「イベント自粛せず 京の政財界トップが緊急会議」によると《東日本大震災で京都経済への影響が懸念されていることを受け、京都府や京都市、府内の経済界、観光団体のトップが24日、京都市内で緊急会議を開き、イベントや事業の自粛は行わずに府内の観光や企業活動の振興を図ることを確認した。出席は、山田啓二京都府知事、門川大作京都市長、立石義雄京都商工会議所会頭、柏原康夫府観光連盟・市観光協会会長の4人。観光客の宿泊キャンセルなどが相次ぎ、対策のため急きょ集まった》。
《「自粛ムードだけでは日本の復興にはつながらないと訴えないといけない」(山田知事)、「被災者に心を寄せて関西から日本を元気に」(門川市長)との意見が出て、復興支援とともに経済活動の活性化が重要との認識で一致。金融機関や商工会団体などにも呼び掛けて「経済復興対策京都官民合同会議」(仮称)を立ち上げることを決めた。また、被災者支援の一環で府と市が25日からJR京都駅(下京区)2階の西改札近くに避難者用の緊急案内所を設けて対応する》。
「自粛ムードだけでは日本の復興にはつながらない」とは、全く正しいし、この時点でこういうメッセージを発するところがスゴい。日本中が萎縮している今、関西から日本を元気にしないでドーする、と私も言いたい。ポスト1300年元年を、自粛ムードで水を差してはならない。
奈良県の県内GDPは約3兆7千億円(3,738,439百万円=06年度)だから、970億円は、その約3%に相当する。《県内の経済波及効果は当初想定した750億円の3割増。また波及効果を基にした雇用創出効果は県内で約1万300人、全国(近畿を含む)では2万3500人に上るとしている。協会の事業収支は3億3600万円の黒字となる見通し。定款の規定に基づき、負担金は4分の3を県に、4分の1を奈良市に寄付。協会は今月末をもって解散する》。
《記者会見した秋山会長は「当時の人々が、国難打開に都を造営して国の守りを固めた意気込みを平城宮跡に感じた人は多いと思う。平城遷都1300年祭が本物の歴史を生かし、国営公園化方式で行われたことや、地域挙げて祭典を盛り上げたことが成功につながった」などと総括。荒井知事は「協力していただいた1人1人に感謝したい」と述べた》。
赤字に終わった「ならシルクロード博」とは違い、ちゃんと3億円以上の黒字を計上したのだ、ああ良かった。しかも奈良県も奈良市も、黒字分(剰余金)は、東日本大震災のお見舞金などに充てるというから、これは美談だ。日本経済新聞(3/23付)によると《奈良県、遷都1300年祭の剰余金を見舞金に》《奈良県は22日、昨年開催した「平城遷都1300年祭」の剰余金約2億5千万円などを東日本大震災の被災地への見舞金に充てると発表した。6月の県議会で承認を得て送り先を決める。関連イベントとして開催した「全国都市緑化ならフェア」の剰余金約1500万円も見舞金とする》。
写真は、南都銀行女子ホッケー部のメンバー。平城宮跡で古代の打鞠(だきゅう=うちまり)を再現した(10.5.3 同僚のMくんが撮影)
一方、読売新聞奈良版(3/23付)「奈良市の1300年祭返還8400万円 ボランティア支援検討」によると《奈良市の仲川元庸市長は22日、昨年の平城遷都1300年祭を主催した記念事業協会の31日の解散に伴って市に返還される8400万円の使途について、東日本巨大地震の被災地に向かうボランティアへの支援を検討していることを明らかにした。仲川市長は「市民がまとまって行くバス代などが考えられる。息の長い支援活動に投じていきたい」と話した》。
週刊奈良日日新聞(3/25付)は、紙面の1ページ(全面)を使って、経済波及効果やポスト1300年祭構想(巡る奈良実行委員会の開催など)を報じた。見出しは《平城遷都1300年祭 空前の大成功 世界中から2140万人来訪》だった。
3/14に開催された「巡る奈良実行委員会」については県のHPに詳しく出ていて、《昨年開催した平城遷都1300年祭で実施した「巡る奈良」事業が大成功を収めたことを受け、更なる観光振興を図るためにこの実行委員会を設立しました。実行委員会形式にしたのは、イベントPRや広報戦略についての先進的な手法を、様々なイベント実施主体に伝えることで情報を共有し、一体的に情報発信することがねらいです。1300年祭の賑わいを一過性のものとせず、持続させていくことが大切であり、今後とも観光関係団体等と連携を図りながら、「巡る奈良」事業の取組みを発展、継続してまいります》というものだ。
同紙によると、にぎわい創出、快適な移動、道の駅、直売ネットワーク、宿泊、奈良の食、奈良らしい土産物、文化観光施設ネットワーク、観光ガイド、外国人観光客誘致、秘宝秘仏公開、記紀・万葉、観光情報発信の13の部門からなる「にぎわい・もてなし部会」を設けたという。ならの魅力創造課のHPにも詳しい情報が出ている。
また同紙では平城宮跡の活用などについて、奈良商工会議所会頭の西口廣宗氏がインタビューに答えている。見出しは「ポスト1300年元年 平城宮跡フル活用へ」。1300年祭には予想を上回る来場者があったこと、懸念していた交通渋滞もなかったことに触れたあと《昨年11月、奈良商工会議所と奈良市観光協会、県ビジターズビューローで、国営平城宮跡歴史公園の整備促進に対する要望を国や県、市に行いました》。
《平城宮跡には1300年祭終了後も多くの観光客が訪ねておられます。第1次大極殿院、朱雀門前、東院庭園と魅力的な施設があり、もっとPRすべきですし、新たな観光ルートの目玉になり得ると考えています。朱雀門前広場などでの定期的な催しなども検討していきたいと思います。行政のほうでもこれらの整備・活用に向けた予算を組んでいただいており、大変ありがたいと思っています》。
現在、奈良観光の中心スポットといえば東大寺南大門前だが、常に交通渋滞の問題がつきまとう。やたら修学旅行生が多く、じっくりと静かな奈良の魅力を味わうことができない。これを徐々に平城宮跡にシフトさせていく、というのは妙案である。阪奈道路や国道24号線の便が良く、大阪や京都からのアクセスが良い。広々している(東京ディズニーランドとディズニーシーを合わせた面積より広い)ので、大人数の団体旅行客にも、十分対応できる。
記事に戻る。全国の商工会議所に対して行った1300年祭に関するアンケートによれば、《来訪者の半数が宿泊されましたが、内訳は県内が約60%、残る40%は大阪や京都など他府県に宿泊されたということです。40%の方を奈良にとどめることができなかったことは非常に残念です》。そして《県は先般、1300年祭のにぎわいを一過性のものにするのではなく、より飛躍的な発展につなげるため、官民連携による「巡る奈良実行委員会」を設立しました。大いに期待したいと思っています》。
なお、奈良まほろばソムリエ検定については《奈良商工会議所では「奈良検定」を実施しておりますが、実際のところ赤字です。役員レベルで今後、奈良検定をどうしていくかという議論になったこともありますが、奈良の観光振興のためには続けるべきだと思います。商工会議所としても奈良の観光振興のために協力させていだだきたいと考えています》。
1300年祭は黒字で終わり、その剰余金は東日本大震災のために活用される。宮跡会場は国営公園として、今後も活かされる。1300年祭を契機に作られた「奈良まほろばソムリエ検定」は、祭典の終了後も継続して実施される。良いことづくめで終わったのだ。問題は宿泊施設の不足だが、これは継続して取り組まなければならない。大型ホテルの誘致だけでなく、宿坊や町家ステイなど、幅広く検討してほしいものだ。
不謹慎な話で恐縮だが、震災がもし昨年の今頃に起きていたら、と想像すると、背筋が凍りつく。昨今の「自粛ブーム」を見ていると、とてもお祭りどころではなかっただろう。パレードなどは中止され、もちろん天皇皇后両陛下をお迎えすることもできなかったことだろう。
それにしてもこの「自粛ブーム」には、はなはだ疑問を感じる。昨日は、奈良県文化会館の「奈良県暮らしと環境フェスティバル」にスタッフとして参加したが、来場者は驚くほど少なかった。朝から雪がぱらつくという寒さと強風という要因もあったが、盛り上がりに欠けるのだ。原発事故により節電・省エネが叫ばれているなかで、こんな時こそ環境問題について楽しく学べるイベントはタイムリーで貴重な機会なのだが…。イベントは今日も開かれるので、ぜひ多くの方にご参加いただきたい。
その点、京都はエラい、奈良も見習わなければ。京都新聞(3/25付)「イベント自粛せず 京の政財界トップが緊急会議」によると《東日本大震災で京都経済への影響が懸念されていることを受け、京都府や京都市、府内の経済界、観光団体のトップが24日、京都市内で緊急会議を開き、イベントや事業の自粛は行わずに府内の観光や企業活動の振興を図ることを確認した。出席は、山田啓二京都府知事、門川大作京都市長、立石義雄京都商工会議所会頭、柏原康夫府観光連盟・市観光協会会長の4人。観光客の宿泊キャンセルなどが相次ぎ、対策のため急きょ集まった》。
《「自粛ムードだけでは日本の復興にはつながらないと訴えないといけない」(山田知事)、「被災者に心を寄せて関西から日本を元気に」(門川市長)との意見が出て、復興支援とともに経済活動の活性化が重要との認識で一致。金融機関や商工会団体などにも呼び掛けて「経済復興対策京都官民合同会議」(仮称)を立ち上げることを決めた。また、被災者支援の一環で府と市が25日からJR京都駅(下京区)2階の西改札近くに避難者用の緊急案内所を設けて対応する》。
「自粛ムードだけでは日本の復興にはつながらない」とは、全く正しいし、この時点でこういうメッセージを発するところがスゴい。日本中が萎縮している今、関西から日本を元気にしないでドーする、と私も言いたい。ポスト1300年元年を、自粛ムードで水を差してはならない。
> 自粛ムードが国のためになるはずもありません ポスト
> 1300年をもっと盛り上げましょう 国家繁栄のためにも
最近になって、ようやくそういう声が出て来るようになり、日本人のバランス感覚にホッとしているところです。自粛だといって家でごろ寝していて、誰が喜ぶのでしょうか。
朝日新聞奈良版(3/26付)に、遠藤英樹氏(奈良県立大学教授)が「観光も貢献できる」「自粛するのではなく、奈良での観光を通じて何かを感じてもらい、観光で潤ったお金は義援金などを通じて貢献していく、という役割が求められているのではないか」とコメントされていました。
同胞でもある日本中のみなさん
日本という国があなたがたに何をしてくれるかではなく あなた方自身が日本という国のために何が出来るかを考えてください
という言葉に置き換えて考えることも必要です
自粛ムードが国のためになるはずもありません
ポスト1300年をもっと盛り上げましょう 国家繁栄のためにも