エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

「ウルシ林 見学会」に参加

2013-08-08 | 文芸

                           
  午前中、Tさんのお誘いを受けて申し込んでいた「ウルシ林見学会」へ参加した。 今回は第1回だそうだ。

 市では過去3ヵ年、県立博物館を中心に、「漆」をテーマに「会津・漆の芸術祭」を実施した。

 今年はそのコンセプトを引き継ぎ「あいづまちなかアートプロジェクト」を展開、この見学会はその連携イベント。

 市役所駐車場、集合時間30分前に一番乗りだった。参加者は13名、バスに乗り込み一路、金堀地区の市のウルシ林へ向かった。

 現地に着くと、まず8連発のクマよけの花火を打ち上げ、林へ入る。

 見学会の前半は、昨年植えたウルシの苗木を守るための下草刈り、大鎌、ナタを持ち、ウルシ林に展開した。

 

 草刈りをはじめると間もなく、ギラギラ太陽が照りつけた。汗だくで、黙々と下草を刈った。

育ちの良い木もあれば枯れているものもあり、環境の違いによる運不運、人間社会と同じだ・・・などと考えながら。

 心地よい風が吹く木陰で小休止、息が切れる。年齢、健康、体力を思った。時折オニヤンマが行き過ぎた。突然、オオムラサキの雄姿を見た。

茂みをかき分け舞い降りたコナラの樹液に近づくと、オオムラサキが3頭樹液を吸っていた。カブトムシも。

手持ちの古いデジカメで我慢、近づいて数枚を撮った。

 もう一踏ん張り、撮影もそこそこに下草刈りへ戻った。

  

 

  市のウルシ林は9ha、約40年前に15000本植えたウルシが現在は約700本、ウルシを掻き取り、毎年40本が伐採されているという。

小さい苗木は掻き取れるまでには15,6年かかる。また、1本のウルシの木から約200gの生ウルシが取れる。

ウルシの植林、この見学会も伝統文化を守る取り組みだろう。後継者も少なく、前途多難な様子がわかる。

後半はウルシの掻き取り作業を見学・少しの体験も。 参加者は、ウルシを扱う漆器関連の方がほとんどのようだった。

  講師は磐梯町在住でウルシの作品を手がけている村上さん。ウルシ掻き取りの7つ道具を腰に巻き、丁寧に実演・説明をしてくださった。

  

 

 まず、皮むき鎌で樹皮の表面を削りなめらかにする。次に、掻き鎌で溝をつけ、掻き鎌についている「目刺し」という刃物で溝に傷を付ける。

すると、漆が滲み出てくるので、掻きへらで掻き取り、漆つぼに入れる。

    

この作業、中4日開けてウルシの木を休ませ、また同じ作業を繰り返す。ウルシ掻きは根気の要る作業だ。

暑い夏も、黙々と続けているという。機械ロボットでは出来ないのか、などと考えたが・・・無理か。

 ウルシ掻取り方法は、現在は6月中旬から11月頃まで漆の木に傷をつけ、20回掻いておしまい、後は伐採している。もったいないと思った。

その後切り倒した株からひこばえした新しい芽を育てることになる。種まき苗より成長が早く、約13年位で生木になる。

こうした殺掻(ころしがき)法の他に、木を殺さないように養生しながら毎年漆を取る養生掻(ようじょうが)がある。

 
【 太いウルシの切り株や根からひこばえが育っている】

 

 先日会津大学での観察会(8/4)で第7木を知った。拙ブログ【会津第七木・要七木2013-08-05】

 会津藩主保科正之が山林資源と藩用材の確保を目的に「会津事始(慶安2年(1645))」を定め、その第一にウルシがあった。

 下刈り1時間、見学研修1時間。充実した半日を過ごした。

 今後も地域の大切な伝統文化を守っていく必要を感じている。この見学会を手始めに、ウルシについてもっと知りたいと思っている。(2013.8.7)