エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

 - 貴重なチョウ・トンボを守りたい  -

2020-06-10 | 環境問題

福島県もりの案内人を務めている。

その会報に原稿依頼があり投稿した。

以下は最新号に掲載になった文章。

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 - 貴重なチョウ・トンボを守りたい  -
                                             

  我が家の周辺には、十数年前までわずかに残る田んぼにホタルが飛び交い、水路にはサワガニやドジョウがいた。神社の林裏の我が家の庭にもオオムラサキやオオミスジが雄壮に舞い、時々キジが往き来していた。しかし、近年宅地開発が進み、周囲の里山の小さな自然もつかの間に荒廃していった。一方、市内には環境省のレッドリストで絶滅危惧種第Ⅰ類に分類されるヒメシロチョウ、マダラナニワトンボ、コバネアオイトトンボが細々と生息している。でも、これらも10年先に生息している保証はない。また、市内で唯一、阿賀川堤防沿いに生息するヒメシロチョウは危機的状況で、以前は見られたミヤマシジミは既に姿を消した。
   数十億年の生物の進化の歴史が、幾多の生物を育んできたが、里山の人為的な変化に起因する種の絶滅を深刻に受け止め、これら貴重な虫たちをどうしても守らなければならない。例えば、トンボはじめ水生生物の保全については、ビオトープネットワークを形成する猪苗代湖西岸の湖沼等の広域な水辺環境の管理が急務だ。最近は、雑食性の要注意外来生物のアメリカザリガニの駆除が喫緊の課題と考えている。
 これまで身近な里山に生息するこれら小さな虫たちのかけがえのない命の保護に取り組んできたが、最近は、かつての昆虫少年の思いを次代を担う子どもたちへ伝えたいとの思いに刈られている。自然からの生き生きした感動は机に向かっていては生まれない。自然の中で植物や昆虫などに興味、関心を持ち、自然のしくみ (生物多様性・森林生態系・食物連鎖等)を知り、自然への畏敬の念を抱き、やがては自然環境保全の思想へ至ることが大切と思っている。ヒメシロチョウが舞う里山の小学生と自然観察をして6年になる。今年も、ツルフジバカマに産卵するヒメシロチョウを見つめ、一緒に感動したいと思っている。  

(3枚の写真を添えた。)

マダラナニワトンボ:打空産卵するペア

   

コバネアオイトトンボ:カンガレイヘ産卵

   
       
食草ツルフジバカマへ産卵するヒメシロチョウ

                                                               

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