■久婦須川へ■
ボク好みの対象魚は引きのスピードが速い魚だ。磯釣りだとチヌよりグレ、それも最速の尾長グレが釣りたいし、船から狙う魚だとマダイよりも青物、その中でもヒラマサが釣りたい。だから渓魚の場合はイワナよりもヤマメ&アマゴの方がボク好みになる。
以前にも書いたように例年であれば、6月中旬までは岐阜県の最北部を流れる高原川に的を絞り、ヤマメを狙って釣行を重ねていたが、腕がないのか?巡り合わせが悪いのか?、ナゼか年を追うごとにヤマメの釣果が減り、イワナが中心の釣果が続いて少々不満気味だった。
更に今シーズンは低水温傾向が続いて、例年になくヤマメの動きが遅かったが、それを承知で釣行を重ねる中、ここに来てようやく復調の兆しがあって安心し始めたところだった。
「今度こそ大型のヤマメを」と、今年4度目の釣行計画をたてていた矢先、そんな高原川に追い打ちがかかった。例年になく早い台風の影響と梅雨入りが重なって、山に残っていた大量の雪が一気に溶け始め、再び低水温傾向になったのだ。そして気付けば、6月に入ったというのにイワナ中心の釣果に逆戻りしていた。
この川のロケーションが大好きなことは変わりなく、今後も諦めるつもりはないのだが、こうなるとヤマメ欲しさに「浮気の虫」が騒ぎ出す。そしてとうとう、例年よりも2週早い段階での富山県を流れる久婦須川への釣行となったのである。
■白鳥名物■
ボクの自宅のある兵庫県西宮市から富山県へと向かうには通常だと北陸自動車道を通って現地へ向かうのだが、今回はとある事情があって、岐阜一宮から東海北陸道を経由しての移動になった。とある事情とはエサの購入ためである。
渓流釣りに使用する釣りエサは、ミミズ、ブドウ虫、イクラという、多くのエサ店で手に入る「市販エサ」と、川の中に棲息するモノを基本的には現地採取する「川虫」類とに別れる。
特に川虫類は普段から魚達が日頃から食い慣れているだけあって、アタリの数が多く拾えることが多い。しかし、その川の生息場所を熟知している釣り師は例外として、ボクのような流浪の釣り人では時期や川の流れによっては現地採取が難しい日もある。そんなアテが外れた日は、一日の展開が大きく変わることすらあるのだ。だから「安定供給できる手段があれば」と思うのは、ボクだけではないハズだ。
そんな釣り人のニーズを受けてか、渓流釣りの本場の一つである岐阜県の郡上八幡市周辺のエサ店には川虫を市販する店もあるのだが、24時間営業をする店が少なく、我々のように他方面からやって来る釣り人には利用し辛い状況下にあった。
そんな中にあって岐阜県、白鳥インターチェンジの出口近くにある「めだか釣具店(0575-82-3281)」では自動販売機で24時間対応しているので、近頃ボクはよく利用している。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/80/f993dcbc48ba1c400a1659505e54cb30.jpg)
調べれば、この自動販売機は釣り人以外のH.P.などでも紹介されているくらい有名らしく、半ば名物と化しているそうだ。
取扱内容も充実しており、季節やその日の採れ具合によって「キンパク」、「ギンパク(オニチョロ)」、「クロカワムシ」そして「ヒラタ」など多彩だ。
白鳥経由であれば北陸道出直接向かうルートよりも約30kmの追加となるが、エサが現地で採れるかどうかの不安を払拭するには安いコストだと思う。しかし高速道路¥1000上限が撤廃され、夜間割引のみとなる今後は、判断が微妙になるだろう。
■実釣開始■
事前にインターネットで調べた久婦須川、小長谷地区の水位は約1m高い状態になっていたので、念のために、この川の年券購入でいつもお世話になっている地元釣具店(桐谷釣具店076-455- 2751)に問い合わせてみた。
結果は「水位は高いが釣行可能」ということだったので釣行を決意したワケだが、ボクが経験した中では最高の水位での釣行だった。
現地に着いてみると、情報通りの状況だった。流れはキツく、濁りは少々あるものの、釣りに支障が出ない範囲なので一安心。河畔に降り立ったのは午前5時頃だったが、曇り空に加えて朝靄が立ちこめる中でのスタートだった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/53/f15e00bbbe8cbf895ad80cd8d1c3c9b6.jpg)
ボクの入渓したところは川沿いに出るとすぐにポイントがあるのだが、ザッと見回しても地形的にそんなに変化がなく、水深も浅いこの辺りは、釣り慣れた人には見分けがつくポイントなのかも知れないが、渓流歴が浅い人にとっては、恐らく判断がつかないと思う。かく言うボクも、初めてこの川を訪れた際に、たまたまヤマメがライズ(水面に向かって捕食行動をとること)する姿を見掛けたから気付いただけのことだ。
ただし、川底をゴソゴソやると他の地区よりもクロカワムシの数が多いように感じるから、どうやらヤマメ達にとってはエサ場になっているようだ。そのためか明るくなってしまうとほとんどアタらなくなる。(特に晴天時は顕著だ。)
複雑な流れではないので、ハリ上30cmにやや軽めのジンタン2号を打ち、仕掛の投入を開始する。そして数投目、対岸のアシ際を流す仕掛に反応があった。ほどよい抵抗を味わうが、さほどのサイズでもない。難なく玉網に収まったのは久婦須川らしい体高のあるヤマメだった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/7f/42fac81c42754815c702d6c5369d9962.jpg)
薄曇りが幸いしたのか、この区間での釣果は続く。
この日に用意したエサは「クロカワムシ」、「ギンパク(オニチョロ)」の川虫系と、「ミミズ」、「ブドウ虫」の市販エサ系だった。後述するが、それらのエサに対するヤマメの反応には明らかな傾向があった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/fd/f87dd6d382f9a04bb2b5daea52ba8b73.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/39/f3e0ac88cac5f2d554e9bbc31527fad7.jpg)
周囲のポイントらしき部分から同寸クラスを3匹抜いた後は、ピタリと辺りが止まった。この久婦須川でのエサは、川虫であればクロカワムシが定番になるが、そればかりでは魚の目が慣れてしまうのか、釣りきることはできないと思う。そんな時はエサをローテーションさせることが必要になるが、この日も今までと同じように、クロカワムシからミミズにまず刺し替えてみた。
そして、気になった対岸のアシ際にある石裏のポケット部に投入する。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2f/a0/bfd16df0f06b236931743691c15dd42d.jpg)
しかし、反応はない。そこで今度は「ギンパク(オニチョロ)」に刺し替えて、もう一度同じ場所に投入する。
ギンパクが後回しになったのは、単にボクとの相性が悪いからであり、これまで幾度となく使用したが、イイ思いをしたことがないからだ。しかし、この日はナゼかひらめきがあって上述の「めだか釣具店」で購入しておいたのだ。そしてこのひらめきは大いに当たった。
石裏にジンタン1号を一つ打った仕掛をウマく滑り込ませ、ポケットと本流の境にできる筋に仕掛が入った途端に、目印がこれまでにない反応を示した。
アワセるとすぐに良型と判断できる引きが竿を絞り込む。それを慌てずイナして取り込んだのは27cmほどのヤマメだった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0a/2d/66a021f5dbee52184dffac342803d894.jpg)
釣りを長年やっていると、このエサ選択のように、何気ない勘であるとか、思い付きとかから何かを感じてひらめくことが時たま起きるが、それは、ボクのDNAに刻まれている、太古の昔より祖先から受け継いだ野生が呼び覚まされる瞬間なのだ。と、大袈裟に書いておく。その真偽はともかく、当たったときの喜びは、ボクが長きにわたって釣りを続けられる大きな要素の一つであることは間違いない。
そして後に気付くが、この時点でギンパク(オニチョロ)の有効性を理解したことが、この日のボクを勝利に導いたのだ。
■灯台下暗し■
幸先良くスタートしたことに、気をよくして徐々に釣り上がってゆく。いつもより移動に時間が掛かっていたが、この日は時間を掛けてポイントを攻めることにしていたので、それも納得の上での行動だ。
以前にも触れたが、釣りをしない人には「ノンビリ釣り糸を垂れている。」と思われがちな釣り人の気質は、実はせっかちでいつもピリピリしていることの方が多い。それに加えて、自分が立つフィールドの中であれば先端へ先端へ、沖へ沖へと行きたがる、一種の「我先に」心理がつい働いてしまう。それが渓流の場合は対岸へ対岸へ、上流へ上流へと向いてしまうのだ。
しかし、落ち着いて行動している場合は、それまで見えなかったモノが見えて来るものだ。この日はそんな目で見ていたから、手前側にある、そう大きくない石裏にも魚が着いていそうに思えた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/72/56db8c638f6cadc3081f39f01fdfa30d.jpg)
そこに仕掛を投入すると、すぐに答えが出た。そう大きくはないがイワナだ。
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「灯台下暗し」とはこの事である。慌てずにこういったポイントを丁寧に攻めることの重要さを知った瞬間であった。
■当日最大魚?■
次のポイントは、やや川幅が狭まって深瀬になっており、その流芯に強い流れの筋ができているところだ。
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まず、始めに流芯の両サイドにある流れの緩い部分をジンタンオモリ1号を着けた仕掛で探って22cmクラスを追加し、それからオモリを2Bに打ち替えて流芯の際を探り始める。
丹念に探ってもアタリが出ないので、ハリに刺していたエサをそれまでのクロカワムシからギンパク(オニチョロ)に交換して、更に仕掛を打ち返してみると、コレが功を奏したのか明確なアタリが出始めるのであった。
まず最初は、そこそこ良型のヤマメをゲット。
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続いて流芯が流れ込み始める頭の脇にある「一等席」を攻めるが、上席に居るヤツはやはりデカかった。
アタリと共に竿が絞り込まれる。流芯を超えた向こう側で食わせたのだが、しばらくの間はその位置でやり取りを繰り返す。しかし、ボクの足元まで寄せてくるには一番流れの速い筋を越さなければならない。そこで、ある程度相手の体力が消したら、一旦下流に下がって流れの勢いの落ちたところで流芯の筋を超えさせる作戦が頭に浮かぶ。
頃合いを見計らって下流に移動し、それまで上流側にテンションをかけ続けていた竿操作を円を描きながら、徐々に徐々にと左へ回す。
しかしである。この時、一瞬テンションが緩んだことを相手は見逃してくれなかった。こちらとの間合いを計っていたかのように、そのタイミングで一気に走られ、その魚は「見果てぬ夢」の一部となってしまったのだ。
そしてバラシでポイントが荒れたのを機に更に上流へと移動する。
■定番のイワナ■
次なるポイントは、毎年、尺前後のイワナを釣っているポイントだ。しかし、過去経験した水位よりも40cmほど高い水位の状況下では、広い瀬からの落ち込みを狙うだけに厳しいかも知れない。
そして到着すると案の定、ポイントの数が激減していた。
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しかし「居るところには居る」もので、いつものように良型のイワナが登場するが、残念ながら尺には届かなかった。
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■順調に伸びる釣果■
その後も順調に伸びる釣果に支えられ、気分が良いまま釣り上がってゆく。
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そして気付けば、区間の最終局面へと突入する。
いつもなら、対岸に渡ってそこから竿を振るのだが、今回は増水しており、渡るルートが絞られているから、事前に脳内で充分にシミュレーションし、ルートを描いてから慎重に渡らなくてはならなかった。
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■最終区間■
最終区間が見渡せる位置に立つと、そこからは2人の釣り人の姿が見えた。様子を伺うと既に竿を振り込んでいて、そこで幾らかの時間を過ごしていたように感じたが、その2人は釣り上がってきたボクの姿を見ると、竿を畳んで引き上げの準備を始めたのだ。
うっかり「頭はね」をしたことに気付いたための遠慮なのか、それともここから釣り下ろうとしていて、ボクの姿を見て「釣り下って攻めても無駄だ」と思ったのかは判らないが、このような局面であっても、こちらを無視して釣り続けたり、釣り下ったりする人も多い中、とにかくすぐに姿を消してくれたことはマナーを守ろうとする心の現れでもあるから、こちらも気を悪くする必要もない。釣り人同士で互いに譲り合って、この日のように気持ちが良い1日が過ごせるように努力したいものだ。
この区間に差し掛かると、いつもボクは、それまで振っていた6mの渓流竿から、8mの本流竿へと持ち替えるようにしている。それは周りに木々が少なく開けているから、ポイントとの距離を充分にとりたいということと、堰堤下に入ると物理的に届かないポイントもあるからだが、それとは別に広い河原で長竿を振るのは感覚的に気持ちが良いという側面もあるし、気分転換にもなる。
長竿をブン回しつつ、釣り上がってゆくと、さっきまで2人組が攻めていたポイントに差し掛かる。初めのうちは石裏を攻めていたが、やはり釣り切られていたのか、全く反応がない。そこで、石の手前の早い段階で仕掛が馴染むように、やや重め2Bを打ち、この日のパターンであるギンパク(オニチョロ)にエサを差し替えて、石の表=水が当たる上流側にある「ウケ」と呼ばれる部分を重点的に攻め直してみた。
何度か打ち込んでゆく内に、流れに乗った仕掛がウケに到達し、落ち着いた動きを示す。それと同時にピタッと目印の動きが止まり、続いて少し沈み込んだ。ここは攻められていなかったのか、魚が残っていたようだ。
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すかさずアワセを入れ、グンッ!と竿に重みがかかった瞬間に型の良さを感じて、慎重にやり取りを開始するが、相手は流芯部に入って更なる加速を試みようとする。
しかし、使っているのは長竿なので、こちらの心理に多少なりとも余裕があった。少し岸側に移動できるスペースがあることが判っていたので、その浅瀬を伝って下流へと移動して、こちらがやり取りするのに有利な場所へと移動しながら、同時に相手を誘導する。
そこまではこちらのペースで攻めることができたのだが、相手も「勝手知ったる自分の庭」だ。今度は、下流側にある瀬に入っての加速を狙いつつあるようだ。
これ以上ボクが下流に移動して相手の攻めをかわすのは、自分も一緒に瀬に乗って流れて行くことを意味するので、この場に立ち止まるしかない。
そこで一か八か、上流側に竿を倒して思いっきり締め上げるように竿を絞り込んでみると、竿のパワーに負けた相手がこちらの動きにある程度順応するようになった。そしてその後は何度か水面に顔を出すが、その度に潜るを繰り返す。しかし、その度に相手が空気を吸って徐々に弱ってゆくのを感じていたので、頃合いを見計らって一気に寄せて玉網に誘導し、無事に取り込んだ。
「ギリギリだけど、今年初の尺オーバーだ!」と心で叫ぶ。それは、興奮と安堵を同時に感じる瞬間だった。
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更に釣り上がり、そこから上流の区間も既にある程度攻められ、魚が抜かれていたのか、反応が鈍い。そうこうしている内に気付けば最終地点の堰堤下に到達しようとしていた。
この先にあるポイントでは、昨年33cmを仕留めているだけに期待は大きい。
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しかし、ここで問題発生!。
ここではポイントに向かって竿出しができる立ち居位置が、それまでとは逆の対岸側にあるのだが、増水による押しの強い流れが発生して、どのルートを辿っても渡河できそうにないのだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/1b/7f0e547f94e23a3a5a47b8913f3a31a8.jpg)
「まぁ、ここは無理をせず、核心部の攻めについては次回以降に持ち越すことにしよう。」
と判断し、危険のない範囲で立ち止まり、そこから長竿を駆使して届く限りのポイントを攻めてみる。
どうやらさっきの2人組はここまでは来ていなかったのか、はたまた使用していた竿が短かったのか、魚を釣り切っておらず、ここではそこそこサイズを3匹追加することができた。
■下流へ■
堰堤直下を諦めた後は一端退渓し、下流部へと向かう。
ここまで充分な釣果を得ていたし、雨も降り出したことから、これ以上の増水は危険を伴いかねないので、この区間は間を飛ばして核心部のみで竿出しするつもりで河畔を遡行してゆくが、この区間も増水のために移動が困難になり、文字通り行き詰まってしまう。
そこで仕方なく河原に笹や樹木が生い茂りジャングルのような藪の中を「藪こぎ」しながら更に上流へ突き進んでゆくが、コレがまた辛いのなんのって…。
ヘトヘトになった後にようやく到達したポイントは、増水気味だが見るからに期待を裏切らなさそうな様相を呈していた。
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丹念に探りを入れながら、仕掛のオモリを調整するが、水深がある割には渦巻く部分と流芯との境目に仕掛が吸い込まれるので、打つオモリをジンタン1号として投入を開始する。
一匹目はそこそこサイズだったが、クロカワムシからギンパク(オニチョロ)に替えた途端に、またまた大当たりのヤマメが登場した。
コイツも結構抵抗を繰り返すが、こういったポイントでは水深があるために魚が走っても糸が石に当たることもないので強気のやり取りができる。
主導権を与えず長竿を思いっきり締め込んでやることで相手を弱らせる。そして頃合いを見計らって一気に浮かせて玉網に誘導し、無事取り込みに成功する。これまた尺近いヤマメだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/f0/c345d6b4566ab94cedf43d3efe570bc9.jpg)
その後もしばらく粘ってみたが、ここでは計3匹抜いた時点で渓魚の気配が無くなり、それを機にこの日の釣りが終わった。
■一日を終えて■
この日は増水気味で、入れないポイントも多かった。しかし、考えようによってはその増水がヤマメの食いを良くしたのかも知れないので、一方的な残念感を抱いてはダメなのかも知れず、判断は難しいところだ。
それにしても驚かされたのは、この日の当たりエサだ。何しろ上位5匹がギンパク(オニチョロ)による釣果だったのだ。
しかし、このエサ選択が次回にも有効なのかどうかは判断できない。というのも、昨年同時期に釣った33cmを含む良型全てがクロカワムシによるモノだったし、過去には市販エサのミミズに良型が集中したことが何度もあるからだ。
結局「何が有効か」は当日になってみないと判らない。しかし、それを探し当てるのもコレまた釣りの楽しみなのだ。釣りとは本当に奥深く罪な趣味である…。
ボク好みの対象魚は引きのスピードが速い魚だ。磯釣りだとチヌよりグレ、それも最速の尾長グレが釣りたいし、船から狙う魚だとマダイよりも青物、その中でもヒラマサが釣りたい。だから渓魚の場合はイワナよりもヤマメ&アマゴの方がボク好みになる。
以前にも書いたように例年であれば、6月中旬までは岐阜県の最北部を流れる高原川に的を絞り、ヤマメを狙って釣行を重ねていたが、腕がないのか?巡り合わせが悪いのか?、ナゼか年を追うごとにヤマメの釣果が減り、イワナが中心の釣果が続いて少々不満気味だった。
更に今シーズンは低水温傾向が続いて、例年になくヤマメの動きが遅かったが、それを承知で釣行を重ねる中、ここに来てようやく復調の兆しがあって安心し始めたところだった。
「今度こそ大型のヤマメを」と、今年4度目の釣行計画をたてていた矢先、そんな高原川に追い打ちがかかった。例年になく早い台風の影響と梅雨入りが重なって、山に残っていた大量の雪が一気に溶け始め、再び低水温傾向になったのだ。そして気付けば、6月に入ったというのにイワナ中心の釣果に逆戻りしていた。
この川のロケーションが大好きなことは変わりなく、今後も諦めるつもりはないのだが、こうなるとヤマメ欲しさに「浮気の虫」が騒ぎ出す。そしてとうとう、例年よりも2週早い段階での富山県を流れる久婦須川への釣行となったのである。
■白鳥名物■
ボクの自宅のある兵庫県西宮市から富山県へと向かうには通常だと北陸自動車道を通って現地へ向かうのだが、今回はとある事情があって、岐阜一宮から東海北陸道を経由しての移動になった。とある事情とはエサの購入ためである。
渓流釣りに使用する釣りエサは、ミミズ、ブドウ虫、イクラという、多くのエサ店で手に入る「市販エサ」と、川の中に棲息するモノを基本的には現地採取する「川虫」類とに別れる。
特に川虫類は普段から魚達が日頃から食い慣れているだけあって、アタリの数が多く拾えることが多い。しかし、その川の生息場所を熟知している釣り師は例外として、ボクのような流浪の釣り人では時期や川の流れによっては現地採取が難しい日もある。そんなアテが外れた日は、一日の展開が大きく変わることすらあるのだ。だから「安定供給できる手段があれば」と思うのは、ボクだけではないハズだ。
そんな釣り人のニーズを受けてか、渓流釣りの本場の一つである岐阜県の郡上八幡市周辺のエサ店には川虫を市販する店もあるのだが、24時間営業をする店が少なく、我々のように他方面からやって来る釣り人には利用し辛い状況下にあった。
そんな中にあって岐阜県、白鳥インターチェンジの出口近くにある「めだか釣具店(0575-82-3281)」では自動販売機で24時間対応しているので、近頃ボクはよく利用している。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/80/f993dcbc48ba1c400a1659505e54cb30.jpg)
●めだか釣具店の自動販売機●
調べれば、この自動販売機は釣り人以外のH.P.などでも紹介されているくらい有名らしく、半ば名物と化しているそうだ。
取扱内容も充実しており、季節やその日の採れ具合によって「キンパク」、「ギンパク(オニチョロ)」、「クロカワムシ」そして「ヒラタ」など多彩だ。
白鳥経由であれば北陸道出直接向かうルートよりも約30kmの追加となるが、エサが現地で採れるかどうかの不安を払拭するには安いコストだと思う。しかし高速道路¥1000上限が撤廃され、夜間割引のみとなる今後は、判断が微妙になるだろう。
■実釣開始■
事前にインターネットで調べた久婦須川、小長谷地区の水位は約1m高い状態になっていたので、念のために、この川の年券購入でいつもお世話になっている地元釣具店(桐谷釣具店076-455- 2751)に問い合わせてみた。
結果は「水位は高いが釣行可能」ということだったので釣行を決意したワケだが、ボクが経験した中では最高の水位での釣行だった。
現地に着いてみると、情報通りの状況だった。流れはキツく、濁りは少々あるものの、釣りに支障が出ない範囲なので一安心。河畔に降り立ったのは午前5時頃だったが、曇り空に加えて朝靄が立ちこめる中でのスタートだった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/53/f15e00bbbe8cbf895ad80cd8d1c3c9b6.jpg)
●どよ~んとした空気感が漂う河畔●
ボクの入渓したところは川沿いに出るとすぐにポイントがあるのだが、ザッと見回しても地形的にそんなに変化がなく、水深も浅いこの辺りは、釣り慣れた人には見分けがつくポイントなのかも知れないが、渓流歴が浅い人にとっては、恐らく判断がつかないと思う。かく言うボクも、初めてこの川を訪れた際に、たまたまヤマメがライズ(水面に向かって捕食行動をとること)する姿を見掛けたから気付いただけのことだ。
ただし、川底をゴソゴソやると他の地区よりもクロカワムシの数が多いように感じるから、どうやらヤマメ達にとってはエサ場になっているようだ。そのためか明るくなってしまうとほとんどアタらなくなる。(特に晴天時は顕著だ。)
複雑な流れではないので、ハリ上30cmにやや軽めのジンタン2号を打ち、仕掛の投入を開始する。そして数投目、対岸のアシ際を流す仕掛に反応があった。ほどよい抵抗を味わうが、さほどのサイズでもない。難なく玉網に収まったのは久婦須川らしい体高のあるヤマメだった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/7f/42fac81c42754815c702d6c5369d9962.jpg)
●ファーストヒットは22cmのヤマメ●
薄曇りが幸いしたのか、この区間での釣果は続く。
この日に用意したエサは「クロカワムシ」、「ギンパク(オニチョロ)」の川虫系と、「ミミズ」、「ブドウ虫」の市販エサ系だった。後述するが、それらのエサに対するヤマメの反応には明らかな傾向があった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/fd/f87dd6d382f9a04bb2b5daea52ba8b73.jpg)
●クロカワムシ●
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/39/f3e0ac88cac5f2d554e9bbc31527fad7.jpg)
●ギンパク(オニチョロ)●
周囲のポイントらしき部分から同寸クラスを3匹抜いた後は、ピタリと辺りが止まった。この久婦須川でのエサは、川虫であればクロカワムシが定番になるが、そればかりでは魚の目が慣れてしまうのか、釣りきることはできないと思う。そんな時はエサをローテーションさせることが必要になるが、この日も今までと同じように、クロカワムシからミミズにまず刺し替えてみた。
そして、気になった対岸のアシ際にある石裏のポケット部に投入する。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2f/a0/bfd16df0f06b236931743691c15dd42d.jpg)
●アシ際にある石裏のポケット●
しかし、反応はない。そこで今度は「ギンパク(オニチョロ)」に刺し替えて、もう一度同じ場所に投入する。
ギンパクが後回しになったのは、単にボクとの相性が悪いからであり、これまで幾度となく使用したが、イイ思いをしたことがないからだ。しかし、この日はナゼかひらめきがあって上述の「めだか釣具店」で購入しておいたのだ。そしてこのひらめきは大いに当たった。
石裏にジンタン1号を一つ打った仕掛をウマく滑り込ませ、ポケットと本流の境にできる筋に仕掛が入った途端に、目印がこれまでにない反応を示した。
アワセるとすぐに良型と判断できる引きが竿を絞り込む。それを慌てずイナして取り込んだのは27cmほどのヤマメだった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0a/2d/66a021f5dbee52184dffac342803d894.jpg)
●27cmクラスのヤマメ●
釣りを長年やっていると、このエサ選択のように、何気ない勘であるとか、思い付きとかから何かを感じてひらめくことが時たま起きるが、それは、ボクのDNAに刻まれている、太古の昔より祖先から受け継いだ野生が呼び覚まされる瞬間なのだ。と、大袈裟に書いておく。その真偽はともかく、当たったときの喜びは、ボクが長きにわたって釣りを続けられる大きな要素の一つであることは間違いない。
そして後に気付くが、この時点でギンパク(オニチョロ)の有効性を理解したことが、この日のボクを勝利に導いたのだ。
■灯台下暗し■
幸先良くスタートしたことに、気をよくして徐々に釣り上がってゆく。いつもより移動に時間が掛かっていたが、この日は時間を掛けてポイントを攻めることにしていたので、それも納得の上での行動だ。
以前にも触れたが、釣りをしない人には「ノンビリ釣り糸を垂れている。」と思われがちな釣り人の気質は、実はせっかちでいつもピリピリしていることの方が多い。それに加えて、自分が立つフィールドの中であれば先端へ先端へ、沖へ沖へと行きたがる、一種の「我先に」心理がつい働いてしまう。それが渓流の場合は対岸へ対岸へ、上流へ上流へと向いてしまうのだ。
しかし、落ち着いて行動している場合は、それまで見えなかったモノが見えて来るものだ。この日はそんな目で見ていたから、手前側にある、そう大きくない石裏にも魚が着いていそうに思えた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/72/56db8c638f6cadc3081f39f01fdfa30d.jpg)
●川岸からの距離は1mほど●
そこに仕掛を投入すると、すぐに答えが出た。そう大きくはないがイワナだ。
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●20cmのイワナ●
「灯台下暗し」とはこの事である。慌てずにこういったポイントを丁寧に攻めることの重要さを知った瞬間であった。
■当日最大魚?■
次のポイントは、やや川幅が狭まって深瀬になっており、その流芯に強い流れの筋ができているところだ。
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●泡立ち波立つ流芯●
まず、始めに流芯の両サイドにある流れの緩い部分をジンタンオモリ1号を着けた仕掛で探って22cmクラスを追加し、それからオモリを2Bに打ち替えて流芯の際を探り始める。
丹念に探ってもアタリが出ないので、ハリに刺していたエサをそれまでのクロカワムシからギンパク(オニチョロ)に交換して、更に仕掛を打ち返してみると、コレが功を奏したのか明確なアタリが出始めるのであった。
まず最初は、そこそこ良型のヤマメをゲット。
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●25cmのヤマメ●
続いて流芯が流れ込み始める頭の脇にある「一等席」を攻めるが、上席に居るヤツはやはりデカかった。
アタリと共に竿が絞り込まれる。流芯を超えた向こう側で食わせたのだが、しばらくの間はその位置でやり取りを繰り返す。しかし、ボクの足元まで寄せてくるには一番流れの速い筋を越さなければならない。そこで、ある程度相手の体力が消したら、一旦下流に下がって流れの勢いの落ちたところで流芯の筋を超えさせる作戦が頭に浮かぶ。
頃合いを見計らって下流に移動し、それまで上流側にテンションをかけ続けていた竿操作を円を描きながら、徐々に徐々にと左へ回す。
しかしである。この時、一瞬テンションが緩んだことを相手は見逃してくれなかった。こちらとの間合いを計っていたかのように、そのタイミングで一気に走られ、その魚は「見果てぬ夢」の一部となってしまったのだ。
そしてバラシでポイントが荒れたのを機に更に上流へと移動する。
■定番のイワナ■
次なるポイントは、毎年、尺前後のイワナを釣っているポイントだ。しかし、過去経験した水位よりも40cmほど高い水位の状況下では、広い瀬からの落ち込みを狙うだけに厳しいかも知れない。
そして到着すると案の定、ポイントの数が激減していた。
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●狙いは石裏の一箇所のみ●
しかし「居るところには居る」もので、いつものように良型のイワナが登場するが、残念ながら尺には届かなかった。
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●28cmイワナ●
■順調に伸びる釣果■
その後も順調に伸びる釣果に支えられ、気分が良いまま釣り上がってゆく。
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●26cmほどのヤマメ●
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●28cmほどのヤマメ●
そして気付けば、区間の最終局面へと突入する。
いつもなら、対岸に渡ってそこから竿を振るのだが、今回は増水しており、渡るルートが絞られているから、事前に脳内で充分にシミュレーションし、ルートを描いてから慎重に渡らなくてはならなかった。
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●この瀬を渡って対岸に●
■最終区間■
最終区間が見渡せる位置に立つと、そこからは2人の釣り人の姿が見えた。様子を伺うと既に竿を振り込んでいて、そこで幾らかの時間を過ごしていたように感じたが、その2人は釣り上がってきたボクの姿を見ると、竿を畳んで引き上げの準備を始めたのだ。
うっかり「頭はね」をしたことに気付いたための遠慮なのか、それともここから釣り下ろうとしていて、ボクの姿を見て「釣り下って攻めても無駄だ」と思ったのかは判らないが、このような局面であっても、こちらを無視して釣り続けたり、釣り下ったりする人も多い中、とにかくすぐに姿を消してくれたことはマナーを守ろうとする心の現れでもあるから、こちらも気を悪くする必要もない。釣り人同士で互いに譲り合って、この日のように気持ちが良い1日が過ごせるように努力したいものだ。
この区間に差し掛かると、いつもボクは、それまで振っていた6mの渓流竿から、8mの本流竿へと持ち替えるようにしている。それは周りに木々が少なく開けているから、ポイントとの距離を充分にとりたいということと、堰堤下に入ると物理的に届かないポイントもあるからだが、それとは別に広い河原で長竿を振るのは感覚的に気持ちが良いという側面もあるし、気分転換にもなる。
長竿をブン回しつつ、釣り上がってゆくと、さっきまで2人組が攻めていたポイントに差し掛かる。初めのうちは石裏を攻めていたが、やはり釣り切られていたのか、全く反応がない。そこで、石の手前の早い段階で仕掛が馴染むように、やや重め2Bを打ち、この日のパターンであるギンパク(オニチョロ)にエサを差し替えて、石の表=水が当たる上流側にある「ウケ」と呼ばれる部分を重点的に攻め直してみた。
何度か打ち込んでゆく内に、流れに乗った仕掛がウケに到達し、落ち着いた動きを示す。それと同時にピタッと目印の動きが止まり、続いて少し沈み込んだ。ここは攻められていなかったのか、魚が残っていたようだ。
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●石の前がポイントだった●
すかさずアワセを入れ、グンッ!と竿に重みがかかった瞬間に型の良さを感じて、慎重にやり取りを開始するが、相手は流芯部に入って更なる加速を試みようとする。
しかし、使っているのは長竿なので、こちらの心理に多少なりとも余裕があった。少し岸側に移動できるスペースがあることが判っていたので、その浅瀬を伝って下流へと移動して、こちらがやり取りするのに有利な場所へと移動しながら、同時に相手を誘導する。
そこまではこちらのペースで攻めることができたのだが、相手も「勝手知ったる自分の庭」だ。今度は、下流側にある瀬に入っての加速を狙いつつあるようだ。
これ以上ボクが下流に移動して相手の攻めをかわすのは、自分も一緒に瀬に乗って流れて行くことを意味するので、この場に立ち止まるしかない。
そこで一か八か、上流側に竿を倒して思いっきり締め上げるように竿を絞り込んでみると、竿のパワーに負けた相手がこちらの動きにある程度順応するようになった。そしてその後は何度か水面に顔を出すが、その度に潜るを繰り返す。しかし、その度に相手が空気を吸って徐々に弱ってゆくのを感じていたので、頃合いを見計らって一気に寄せて玉網に誘導し、無事に取り込んだ。
「ギリギリだけど、今年初の尺オーバーだ!」と心で叫ぶ。それは、興奮と安堵を同時に感じる瞬間だった。
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●今年初の尺ヤマメは31cm!●
更に釣り上がり、そこから上流の区間も既にある程度攻められ、魚が抜かれていたのか、反応が鈍い。そうこうしている内に気付けば最終地点の堰堤下に到達しようとしていた。
この先にあるポイントでは、昨年33cmを仕留めているだけに期待は大きい。
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●大場所である、堰堤下●
しかし、ここで問題発生!。
ここではポイントに向かって竿出しができる立ち居位置が、それまでとは逆の対岸側にあるのだが、増水による押しの強い流れが発生して、どのルートを辿っても渡河できそうにないのだ。
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●足元はこの通り●
「まぁ、ここは無理をせず、核心部の攻めについては次回以降に持ち越すことにしよう。」
と判断し、危険のない範囲で立ち止まり、そこから長竿を駆使して届く限りのポイントを攻めてみる。
どうやらさっきの2人組はここまでは来ていなかったのか、はたまた使用していた竿が短かったのか、魚を釣り切っておらず、ここではそこそこサイズを3匹追加することができた。
■下流へ■
堰堤直下を諦めた後は一端退渓し、下流部へと向かう。
ここまで充分な釣果を得ていたし、雨も降り出したことから、これ以上の増水は危険を伴いかねないので、この区間は間を飛ばして核心部のみで竿出しするつもりで河畔を遡行してゆくが、この区間も増水のために移動が困難になり、文字通り行き詰まってしまう。
そこで仕方なく河原に笹や樹木が生い茂りジャングルのような藪の中を「藪こぎ」しながら更に上流へ突き進んでゆくが、コレがまた辛いのなんのって…。
ヘトヘトになった後にようやく到達したポイントは、増水気味だが見るからに期待を裏切らなさそうな様相を呈していた。
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●見るからに条件の整ったポイント●
丹念に探りを入れながら、仕掛のオモリを調整するが、水深がある割には渦巻く部分と流芯との境目に仕掛が吸い込まれるので、打つオモリをジンタン1号として投入を開始する。
一匹目はそこそこサイズだったが、クロカワムシからギンパク(オニチョロ)に替えた途端に、またまた大当たりのヤマメが登場した。
コイツも結構抵抗を繰り返すが、こういったポイントでは水深があるために魚が走っても糸が石に当たることもないので強気のやり取りができる。
主導権を与えず長竿を思いっきり締め込んでやることで相手を弱らせる。そして頃合いを見計らって一気に浮かせて玉網に誘導し、無事取り込みに成功する。これまた尺近いヤマメだ。
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●「泣き尺」30cmジャストのヤマメ●
その後もしばらく粘ってみたが、ここでは計3匹抜いた時点で渓魚の気配が無くなり、それを機にこの日の釣りが終わった。
■一日を終えて■
この日は増水気味で、入れないポイントも多かった。しかし、考えようによってはその増水がヤマメの食いを良くしたのかも知れないので、一方的な残念感を抱いてはダメなのかも知れず、判断は難しいところだ。
それにしても驚かされたのは、この日の当たりエサだ。何しろ上位5匹がギンパク(オニチョロ)による釣果だったのだ。
しかし、このエサ選択が次回にも有効なのかどうかは判断できない。というのも、昨年同時期に釣った33cmを含む良型全てがクロカワムシによるモノだったし、過去には市販エサのミミズに良型が集中したことが何度もあるからだ。
結局「何が有効か」は当日になってみないと判らない。しかし、それを探し当てるのもコレまた釣りの楽しみなのだ。釣りとは本当に奥深く罪な趣味である…。