■数々のバーナー(ストーブもしくはコンロ)■
思い起こせば、中学時代の釣行時に携行していた「固形アルコール・缶入り携帯燃料」から始まり、途中でオークションに手放したモノを含めて、現在までにかなりの数のバーナーを所有している。
いくらボクの体がおデブだからといっても、一度に何個も持ち込んで使用することはなく、適材適所で使い分けているが、必要性だけではなく、そのスタイルや機能に惚れ込んでしまって衝動買いしたモデルもある。
今回はそんなストーブ達について紹介してゆく。ランタン編と同じで紹介するものの中には廃盤モデルもあるが、モデルチェンジしても材質や周辺の補器類が変わっても心臓部が変わっていなかったり、共通思想の下で製作しているモノがほとんどなので、最新モデルを購入する際の参考にしてもらってイイと思う。
■今は無きバーナー達■
手放したモノの中で最も印象深いのは、20年前にランタンと一緒に購入した、かの有名なコールマンのガソリン・バーナー「413H パワーハウス ツーバーナー」だ。
多くのガス器機で額面通りの火力とはいかない中、このバーナーはガソリン燃料を使用するので定評通り、悪条件でも安定した強力な火力を発揮するが、反面、調子に乗って強火を続けていると、すぐにポンピングで再加圧しなければならなくなる。
ただでさえ、最初の儀式としてかなりのポンピング回数をこなさなくてはならないから、これがかなりジャマ臭いのだ。(ランタンに比べるとポンピング回数は多い)
更には燃料タンクを収納できるスペースを本体内部にとっているため、図体が大きい割には内部スペースがスカスカで、火口周りの天板(汁受け)もない。したがって噴きこぼれが起こると、内部スペースの角にそれが貯まり、ソコからすぐに錆びるという欠点があった。
それでも、このモデルの大きな魅力は認めるし、実際に愛好家も多く、今でも定番として販売され続けているが、ボクの場合はジャマ臭さに負けたことと、ガス燃料タイプであってもブースター装着器機&ガスの使い分けで対抗できると踏んだので、結局はお蔵入りとなって最終的には手放してしまったのだ。
その他、高級品を装いながら実は格安海外製品のOEM製品だったという、とあるバーナーは、その不誠実さに嫌気が差してすぐに売り払ったという経緯があるが、このあたりの話はほどほどにしておこう。
■ユニフレーム US-1800(廃盤モデル)■
ボクが所有しているUS-1800は'07年末までのモデルで、現行モデルはモデルチェンジしたUS-1900に変わっている。
新型になって改良された点は、ボディ材質が鉄板だったのがアルミに変更されて、4.5㎏から3.9㎏に軽量化されている点だが、両モデルとも「3900Kcalのハイパワー」「錆びにくいステンレス製の天板(汁受け)」「ブースター搭載」の基本性能は同じだから、1800への感想は1900を購入する際の参考にして欲しい。
「気化促進装置編」でも書いたが、カセット缶仕様+ブースターの搭載によってガスの特性に合わせた使い分けが可能になり、コストダウンが図れるのがウレシイ。
ボクの場合は片方のバーナーにユニフレームのプレミアムガスを装着し、大火力用とし、もう片方のバーナーに通常は安売りカセット缶、寒い日はイワタニのオレンジ缶をセットしてトロ火や煮込み用として使い分けている。(これまた自己責任の世界だが…。)
「3900Kcalのハイパワー」については少々疑問が残るが、それでもガスバーナーの中ではハイパワーな方だということは間違いなく、基本性能がしっかりしているので使いやすいツーバーナーであることは間違いない。
●ユニフレーム US-1800●
■EPI BPSA(廃盤モデル)■
今から20年ほど前、EPIがイングランド製だった時代のシングルバーナーだ。オートイグナイター搭載モデルなのだが、時々火が着かなくなるのは購入当時からの症状。しかし、ラジオペンチでスパークが飛ぶ距離を調整してやれば、すぐに着くようになる。鉄のパーツが多く、結構サビが出るが、如何にも「古いイギリス製」といったところだろうか?。後継、最新モデルのBPSA-Ⅲではステンレスが多用されているので、そのような心配はないから御安心を。
BPSシリーズは細かな改良点はあるものの、基本性能は大きく変わっていないので、完成されたモデルなのだろう。
小型ながら火力は額面通りに強力であり、このメーカーでは「チャージャー」と呼んでいる、ブースターも別売対応だが装着可能だ。
このメーカーは本来、登山者向けが中心の商品展開なので、純正アウトドア缶の種類が豊富なうえ、他メーカー比でも少し価格が安い。しかも一部商品では、缶内の構造を工夫してドロップダウンを防いでいる。その中から最適なガスをセレクトすることにより、極寒でも使用できるのは有り難いが、このモデルに限っては折りたためる箇所が一つもなく、決して携行しやすいタイプではない。
●EPI BPSA●
■SOTO(新富士バーナー) ST-300(廃盤モデル)■
缶本体と火口&ゴトクが分離し、その間をホースで繋いだ「セパレート・タイプ」のバーナーで、現行モデルは風防が付いたST-301にバージョンアップされている。
セパレートタイプが欲しくて物色中に近所のホームセンターで旧モデル扱いの特売品を発見し、驚きの¥3000以下という価格に衝動買いをした結果、手元にやってきた。
新型のST-301には風防が装着されているが、セパレートタイプの場合は、重心が低くゴトク周りを物陰に隠しやすいので、風防無しのST-300でも結構使える。但し、折りたたみ式のゴトクは3本足なので、フライパンのように初めからバランスの悪いモノは手を添えていないとコケることもあるので、注意が必要だ。
シングルなので軽量さも期待したいところだが、640gもあるので、折りたたんだ形こそコンパクトだが、その点では不満が残る。
こういったセパレートタイプには裏技があって、「火口周囲や輻射熱などの熱源とボンベの距離を調節することによって『疑似ブースター効果』が狙える。」との記述がH.P.などの一部に見られるが、どのくらい暖めるのかが判っていないと加熱しすぎて爆発の危険があるので、それは究極の事故責任の世界であり、「よい子はマネしないように!」と言うしかない。
●SOTO ST-300●
■ユニフレーム US-D(現行モデル)■
ダッチ・オーブンの導入に合わせて購入。総重量が10kgを越えるという、ダッチ・オーブンを乗せるように設計しているだけに、質実剛健なセパレートタイプのバーナーだ。
火口(バーナーヘッド)はUS-1900や1800と同じなので、当然火力も同じだから能力もそこそこ高いので、ダッチー・オーブンでの調理の際に下火として使えば、後は上火の分だけでイイから、大量に炭を起こす必要が無くなって手間が省けるのが有り難い。
ツーバーナーで二つ並べて調理している場合、片方で大きなフライパンなどを使うと、もう1方のスペースが狭くなる。そんな時には大型の鍋やフライパンをこのバーナーに担当させることでスペースに余裕ができるし、当然、3つの調理が必要になっても割り振りが可能だ。また、簡単に持ち運びできるので、朝にコーヒーやお茶を沸かす際にテーブル上に移動させて使用することも多く、その意味でも重宝するバーナーだ。
●ユニフレーム US-D●
■SOTO レギュレーターストーブ ST-310(現行モデル)■
SOTO(新富士バーナー)が開発したマイクロレギュレーターによって、ガスを選ばず、低温での使用が可能になったバーナー。勿論、カセット缶仕様だ。
火力は純正のパワー・ガスを使っても2500kcal/hなので、大火力とはいかないが、公称通りのパワーがあるので、そんなに心配は要らない。
以前にも触れたが、ボクの場合は、瀬泊まりをする夜釣の他、渓流釣行の際に車に積み込んでおき、温かいモノを食べる際に、写真下の「ジェットボイル社の1.5Lクッキング・ポット」とのコンビで使用している。この組合せだと、バーナーの経済性に加えて燃料消費も押さえられるので、2重のメリットがあるのだ。
●ジェットボイル 1.5Lクッキング・ポットとの組合せ●
一応、ソロ用なのでコンパクトに折りたためるが、重量が350gなので軽量モデルというワケではない。しかし、その分、パーツにステンレスを多用し、太目の4本足ゴトクを採用するなど、作りはしっかりしているから、登山よりも極端な軽量化が必要でないバイクツーリングに最適だと思う。特に、移動中に立ち寄ったコンビニ等で手に入れたカセット缶が安定して使えるのは特筆すべき点だ。
●SOTO ST-310●
■PRIMUS P-113(廃盤モデル)■
できうる限り小型軽量のバーナーを探していた際に購入。当時、点火装置付きとしては世界最軽量の76gを誇っていたモデルだ。
現在は廃盤品となって新型のP-114と交代しているが、大きな違いはゴトクになる。113のゴトクは硬質ステンレス製ムク棒が曲げられた3本支持タイプだが、114では羽根状3枚プレートの折りたたみ式で113よりも少し大きな鍋底にも対応しているのにもかかわらず、113よりも更に軽量化された結果、64gと超軽量だ。収納袋は両モデルとも名刺サイズほどの大きさなので、たたんだ際の大きさはさほど変わりがないだろう。
両モデルともバーナーヘッドは共通のMFMM(マイクロ・ファイバー・メタル・メッシュ)、2300kcal/hが搭載されているので、能力の違いはない。このMFMMとは、メーカーの説明では
マイクロ・ファイバー・メタル・メッシュ(Micro Fiber Metal Mesh)太さわずか22ミクロンのメタルファイバーを織り込むことで、非常に多孔性のあるメッシュ状のバーナー孔を実現したMFMM。空気と混合されたガスを、より好ましい状態でバーナー部へ送ることで、バーナーヘッド表面での燃焼に成功しました。
とある。
その特徴は炎が横に広がらず、垂直方向に伸びる事だ。この方式だと、小さなカップや、底面積が小さい鍋をゴトクに乗せた場合により高効率に熱を伝えられ、燃料消費も押さえられるそうだ。だから、ソロユースでの選択がベストだ。
ボクの場合は、更に進化させてジェットボイルの「コンパニオンカップ(1.0L)と組み合わせて使用している。
●PRIMUS P-113●
●ジェットボイルのコンパニオンカップとの組合せ●
この組合せだと、強風時に煽られた炎が枠の外側に出て、カップ外側のネオプレーンゴム製カバーを溶かしてしまうことがあるが、ジェットボイル社の純正同士の組合せでもこうなるそうだから、組合せの悪さからくる不都合ではないようだ。
ジェットボイル純正のバーナーも実はPRIMUS社のOEM商品の、MFMM方式なので、相性は自体は悪くないハズだ。
●カバーの焦げ跡●
ただし、そのままではP-113は入らないので、下の写真のようにヤスリで少し削る必要がある。
●右がコンパニオンカップの底部(左はPRIMUS Eta Express)●
■PRIMUS P-132(エクスプレス・メッシュ・ストーブ)(日本のみ廃盤モデル)■
このバーナー、実は単体で購入したものではない。プリムス社ではEta(イータ)シリーズという、熱効率の高い鍋類とバーナーをセットで販売しているのだが、このP-132は、その中の「Eta Express(イータエクスプレス)」という、セットに組み込まれているモノだ。
このセット内容では日本で販売されず、バーナーのみで単体販売されていたが、現在では廃盤になっているようだ。後継機種もないので、ここではバーナー単体では話を進めないが、スペックが、2700kcal/h、MFMM方式の炎が垂直方向に伸びるタイプということだけを記しておく。
●PRIMUS P-132●
●Eta Express(イータエクスプレス)のセット●
日本未発売のセットなので、アメリカAMAZONのアウトドア用品内(http://www.amazon.com/Outdoor-Recreation/b/ref=sa_menu_outrec15?ie=UTF8&node=706814011)のモノを個人輸入で手に入れた。AMAZONと言っても、代理店との契約からか、そのままでは日本に向けて輸出してくれないモノもあるが、そういった商品の場合は転送サービスというルートを使えば手に入るようになる。その手続きも至って簡単で、ボクの場合はスピアネット(http://www.spearnet-us.com/)というところを使っている。この業者のサイト内ではAMAZONでの購入手順そのものを詳しく紹介しているし、全て日本語のやり取りでOKなのがウレシイ。
イータエクスプレスの購入価格は送料と手数料と商品代の全てを含めて、約8700円で購入できたが、ザックその他のアウトドア用品も日本の代理店経由より安くなることも多いし、そもそも日本未発売のモデルも手に入るので興味のある方は覗いてみるとイイだろう。
話が横道に逸れたが、上述したジェットボイルと同様に高効率システムのイータエクスプレスを更に購入した動機は、調理の際に内部が焦げ付きにくいようにノンスティック加工(いわゆるテフロン加工)されている点を買ってのことだ。ジェットボイルの場合はノンスティック加工がないうえ、縦長構造のため、湯沸かし以外の料理をした場合、焦がしてしまうと後の掃除が大変だからだ。
加えて、イータエクスプレスでは蓋の部分がフライパンになるように工夫されているのと、風防が同梱されている点も、今までは別に用意していただけに高い評価ができる。しかもそれらが全てポット内に収納できるのも嬉しい限りだ。
●フライパン使用時のセッティング●
■まだ尽きぬ趣味■
何週にも渡り、こうやって数々の燃焼器具を紹介してきた。少々オタッキーな内容だったが、皆さんがアウトドアグッズを購入する際の目安程度に役立ってくれれば有り難いと思う。
かく言うボクは今でも飽きずに各社のH.P.を眺めては、「アーでもない、コーでもない」と思いは巡る。まだまだコレクションは増えそうだ。
思い起こせば、中学時代の釣行時に携行していた「固形アルコール・缶入り携帯燃料」から始まり、途中でオークションに手放したモノを含めて、現在までにかなりの数のバーナーを所有している。
いくらボクの体がおデブだからといっても、一度に何個も持ち込んで使用することはなく、適材適所で使い分けているが、必要性だけではなく、そのスタイルや機能に惚れ込んでしまって衝動買いしたモデルもある。
今回はそんなストーブ達について紹介してゆく。ランタン編と同じで紹介するものの中には廃盤モデルもあるが、モデルチェンジしても材質や周辺の補器類が変わっても心臓部が変わっていなかったり、共通思想の下で製作しているモノがほとんどなので、最新モデルを購入する際の参考にしてもらってイイと思う。
■今は無きバーナー達■
手放したモノの中で最も印象深いのは、20年前にランタンと一緒に購入した、かの有名なコールマンのガソリン・バーナー「413H パワーハウス ツーバーナー」だ。
多くのガス器機で額面通りの火力とはいかない中、このバーナーはガソリン燃料を使用するので定評通り、悪条件でも安定した強力な火力を発揮するが、反面、調子に乗って強火を続けていると、すぐにポンピングで再加圧しなければならなくなる。
ただでさえ、最初の儀式としてかなりのポンピング回数をこなさなくてはならないから、これがかなりジャマ臭いのだ。(ランタンに比べるとポンピング回数は多い)
更には燃料タンクを収納できるスペースを本体内部にとっているため、図体が大きい割には内部スペースがスカスカで、火口周りの天板(汁受け)もない。したがって噴きこぼれが起こると、内部スペースの角にそれが貯まり、ソコからすぐに錆びるという欠点があった。
それでも、このモデルの大きな魅力は認めるし、実際に愛好家も多く、今でも定番として販売され続けているが、ボクの場合はジャマ臭さに負けたことと、ガス燃料タイプであってもブースター装着器機&ガスの使い分けで対抗できると踏んだので、結局はお蔵入りとなって最終的には手放してしまったのだ。
その他、高級品を装いながら実は格安海外製品のOEM製品だったという、とあるバーナーは、その不誠実さに嫌気が差してすぐに売り払ったという経緯があるが、このあたりの話はほどほどにしておこう。
■ユニフレーム US-1800(廃盤モデル)■
ボクが所有しているUS-1800は'07年末までのモデルで、現行モデルはモデルチェンジしたUS-1900に変わっている。
新型になって改良された点は、ボディ材質が鉄板だったのがアルミに変更されて、4.5㎏から3.9㎏に軽量化されている点だが、両モデルとも「3900Kcalのハイパワー」「錆びにくいステンレス製の天板(汁受け)」「ブースター搭載」の基本性能は同じだから、1800への感想は1900を購入する際の参考にして欲しい。
「気化促進装置編」でも書いたが、カセット缶仕様+ブースターの搭載によってガスの特性に合わせた使い分けが可能になり、コストダウンが図れるのがウレシイ。
ボクの場合は片方のバーナーにユニフレームのプレミアムガスを装着し、大火力用とし、もう片方のバーナーに通常は安売りカセット缶、寒い日はイワタニのオレンジ缶をセットしてトロ火や煮込み用として使い分けている。(これまた自己責任の世界だが…。)
「3900Kcalのハイパワー」については少々疑問が残るが、それでもガスバーナーの中ではハイパワーな方だということは間違いなく、基本性能がしっかりしているので使いやすいツーバーナーであることは間違いない。
●ユニフレーム US-1800●
■EPI BPSA(廃盤モデル)■
今から20年ほど前、EPIがイングランド製だった時代のシングルバーナーだ。オートイグナイター搭載モデルなのだが、時々火が着かなくなるのは購入当時からの症状。しかし、ラジオペンチでスパークが飛ぶ距離を調整してやれば、すぐに着くようになる。鉄のパーツが多く、結構サビが出るが、如何にも「古いイギリス製」といったところだろうか?。後継、最新モデルのBPSA-Ⅲではステンレスが多用されているので、そのような心配はないから御安心を。
BPSシリーズは細かな改良点はあるものの、基本性能は大きく変わっていないので、完成されたモデルなのだろう。
小型ながら火力は額面通りに強力であり、このメーカーでは「チャージャー」と呼んでいる、ブースターも別売対応だが装着可能だ。
このメーカーは本来、登山者向けが中心の商品展開なので、純正アウトドア缶の種類が豊富なうえ、他メーカー比でも少し価格が安い。しかも一部商品では、缶内の構造を工夫してドロップダウンを防いでいる。その中から最適なガスをセレクトすることにより、極寒でも使用できるのは有り難いが、このモデルに限っては折りたためる箇所が一つもなく、決して携行しやすいタイプではない。
●EPI BPSA●
■SOTO(新富士バーナー) ST-300(廃盤モデル)■
缶本体と火口&ゴトクが分離し、その間をホースで繋いだ「セパレート・タイプ」のバーナーで、現行モデルは風防が付いたST-301にバージョンアップされている。
セパレートタイプが欲しくて物色中に近所のホームセンターで旧モデル扱いの特売品を発見し、驚きの¥3000以下という価格に衝動買いをした結果、手元にやってきた。
新型のST-301には風防が装着されているが、セパレートタイプの場合は、重心が低くゴトク周りを物陰に隠しやすいので、風防無しのST-300でも結構使える。但し、折りたたみ式のゴトクは3本足なので、フライパンのように初めからバランスの悪いモノは手を添えていないとコケることもあるので、注意が必要だ。
シングルなので軽量さも期待したいところだが、640gもあるので、折りたたんだ形こそコンパクトだが、その点では不満が残る。
こういったセパレートタイプには裏技があって、「火口周囲や輻射熱などの熱源とボンベの距離を調節することによって『疑似ブースター効果』が狙える。」との記述がH.P.などの一部に見られるが、どのくらい暖めるのかが判っていないと加熱しすぎて爆発の危険があるので、それは究極の事故責任の世界であり、「よい子はマネしないように!」と言うしかない。
●SOTO ST-300●
■ユニフレーム US-D(現行モデル)■
ダッチ・オーブンの導入に合わせて購入。総重量が10kgを越えるという、ダッチ・オーブンを乗せるように設計しているだけに、質実剛健なセパレートタイプのバーナーだ。
火口(バーナーヘッド)はUS-1900や1800と同じなので、当然火力も同じだから能力もそこそこ高いので、ダッチー・オーブンでの調理の際に下火として使えば、後は上火の分だけでイイから、大量に炭を起こす必要が無くなって手間が省けるのが有り難い。
ツーバーナーで二つ並べて調理している場合、片方で大きなフライパンなどを使うと、もう1方のスペースが狭くなる。そんな時には大型の鍋やフライパンをこのバーナーに担当させることでスペースに余裕ができるし、当然、3つの調理が必要になっても割り振りが可能だ。また、簡単に持ち運びできるので、朝にコーヒーやお茶を沸かす際にテーブル上に移動させて使用することも多く、その意味でも重宝するバーナーだ。
●ユニフレーム US-D●
■SOTO レギュレーターストーブ ST-310(現行モデル)■
SOTO(新富士バーナー)が開発したマイクロレギュレーターによって、ガスを選ばず、低温での使用が可能になったバーナー。勿論、カセット缶仕様だ。
火力は純正のパワー・ガスを使っても2500kcal/hなので、大火力とはいかないが、公称通りのパワーがあるので、そんなに心配は要らない。
以前にも触れたが、ボクの場合は、瀬泊まりをする夜釣の他、渓流釣行の際に車に積み込んでおき、温かいモノを食べる際に、写真下の「ジェットボイル社の1.5Lクッキング・ポット」とのコンビで使用している。この組合せだと、バーナーの経済性に加えて燃料消費も押さえられるので、2重のメリットがあるのだ。
●ジェットボイル 1.5Lクッキング・ポットとの組合せ●
一応、ソロ用なのでコンパクトに折りたためるが、重量が350gなので軽量モデルというワケではない。しかし、その分、パーツにステンレスを多用し、太目の4本足ゴトクを採用するなど、作りはしっかりしているから、登山よりも極端な軽量化が必要でないバイクツーリングに最適だと思う。特に、移動中に立ち寄ったコンビニ等で手に入れたカセット缶が安定して使えるのは特筆すべき点だ。
●SOTO ST-310●
■PRIMUS P-113(廃盤モデル)■
できうる限り小型軽量のバーナーを探していた際に購入。当時、点火装置付きとしては世界最軽量の76gを誇っていたモデルだ。
現在は廃盤品となって新型のP-114と交代しているが、大きな違いはゴトクになる。113のゴトクは硬質ステンレス製ムク棒が曲げられた3本支持タイプだが、114では羽根状3枚プレートの折りたたみ式で113よりも少し大きな鍋底にも対応しているのにもかかわらず、113よりも更に軽量化された結果、64gと超軽量だ。収納袋は両モデルとも名刺サイズほどの大きさなので、たたんだ際の大きさはさほど変わりがないだろう。
両モデルともバーナーヘッドは共通のMFMM(マイクロ・ファイバー・メタル・メッシュ)、2300kcal/hが搭載されているので、能力の違いはない。このMFMMとは、メーカーの説明では
マイクロ・ファイバー・メタル・メッシュ(Micro Fiber Metal Mesh)太さわずか22ミクロンのメタルファイバーを織り込むことで、非常に多孔性のあるメッシュ状のバーナー孔を実現したMFMM。空気と混合されたガスを、より好ましい状態でバーナー部へ送ることで、バーナーヘッド表面での燃焼に成功しました。
とある。
その特徴は炎が横に広がらず、垂直方向に伸びる事だ。この方式だと、小さなカップや、底面積が小さい鍋をゴトクに乗せた場合により高効率に熱を伝えられ、燃料消費も押さえられるそうだ。だから、ソロユースでの選択がベストだ。
ボクの場合は、更に進化させてジェットボイルの「コンパニオンカップ(1.0L)と組み合わせて使用している。
●PRIMUS P-113●
●ジェットボイルのコンパニオンカップとの組合せ●
この組合せだと、強風時に煽られた炎が枠の外側に出て、カップ外側のネオプレーンゴム製カバーを溶かしてしまうことがあるが、ジェットボイル社の純正同士の組合せでもこうなるそうだから、組合せの悪さからくる不都合ではないようだ。
ジェットボイル純正のバーナーも実はPRIMUS社のOEM商品の、MFMM方式なので、相性は自体は悪くないハズだ。
●カバーの焦げ跡●
ただし、そのままではP-113は入らないので、下の写真のようにヤスリで少し削る必要がある。
●右がコンパニオンカップの底部(左はPRIMUS Eta Express)●
■PRIMUS P-132(エクスプレス・メッシュ・ストーブ)(日本のみ廃盤モデル)■
このバーナー、実は単体で購入したものではない。プリムス社ではEta(イータ)シリーズという、熱効率の高い鍋類とバーナーをセットで販売しているのだが、このP-132は、その中の「Eta Express(イータエクスプレス)」という、セットに組み込まれているモノだ。
このセット内容では日本で販売されず、バーナーのみで単体販売されていたが、現在では廃盤になっているようだ。後継機種もないので、ここではバーナー単体では話を進めないが、スペックが、2700kcal/h、MFMM方式の炎が垂直方向に伸びるタイプということだけを記しておく。
●PRIMUS P-132●
●Eta Express(イータエクスプレス)のセット●
日本未発売のセットなので、アメリカAMAZONのアウトドア用品内(http://www.amazon.com/Outdoor-Recreation/b/ref=sa_menu_outrec15?ie=UTF8&node=706814011)のモノを個人輸入で手に入れた。AMAZONと言っても、代理店との契約からか、そのままでは日本に向けて輸出してくれないモノもあるが、そういった商品の場合は転送サービスというルートを使えば手に入るようになる。その手続きも至って簡単で、ボクの場合はスピアネット(http://www.spearnet-us.com/)というところを使っている。この業者のサイト内ではAMAZONでの購入手順そのものを詳しく紹介しているし、全て日本語のやり取りでOKなのがウレシイ。
イータエクスプレスの購入価格は送料と手数料と商品代の全てを含めて、約8700円で購入できたが、ザックその他のアウトドア用品も日本の代理店経由より安くなることも多いし、そもそも日本未発売のモデルも手に入るので興味のある方は覗いてみるとイイだろう。
話が横道に逸れたが、上述したジェットボイルと同様に高効率システムのイータエクスプレスを更に購入した動機は、調理の際に内部が焦げ付きにくいようにノンスティック加工(いわゆるテフロン加工)されている点を買ってのことだ。ジェットボイルの場合はノンスティック加工がないうえ、縦長構造のため、湯沸かし以外の料理をした場合、焦がしてしまうと後の掃除が大変だからだ。
加えて、イータエクスプレスでは蓋の部分がフライパンになるように工夫されているのと、風防が同梱されている点も、今までは別に用意していただけに高い評価ができる。しかもそれらが全てポット内に収納できるのも嬉しい限りだ。
●フライパン使用時のセッティング●
■まだ尽きぬ趣味■
何週にも渡り、こうやって数々の燃焼器具を紹介してきた。少々オタッキーな内容だったが、皆さんがアウトドアグッズを購入する際の目安程度に役立ってくれれば有り難いと思う。
かく言うボクは今でも飽きずに各社のH.P.を眺めては、「アーでもない、コーでもない」と思いは巡る。まだまだコレクションは増えそうだ。