■またもや舞鶴へ■
このところ、沖釣りのレポート続きだが、その例に漏れず、今回も舞鶴沖へと出漁した。
利用したのは前回同様の、滝ヶ浦遊船所属の日本海丸だ。前日の波浪予報では「北の風・波高は2m後1m」だったので、前日の船長との打ち合わせの段階では、念のために時間を1時間遅らせての出港ということになっていた。
しかし、予想外に前夜の風が強く吹いたのか、朝5時の予報では「波高が3mのち1m」に訂正されていた。このため、当日朝には「湾口で様子を伺い、波が高ければ引き返す可能性有り」という、条件付きでのスタートになっていた。
過去に、途中で引き返した経験が何度かあるために、最悪の事態が頭によぎったが、「冠島方面ならら何とかなるだろう」との判断から一路そちらを目指すことになった。
冠島の大島近辺に到着してから、船長は付近の魚礁に対して丹念に魚探をかけたが、空き家状態のところも多く苦労をしているようだったが、何カ所か目にようやくそれらしき反応を見つけ出してアンカーを降ろした。
このポイントでは天秤ズボ釣りで直下付近を狙うことになった。勿論狙いはメダイだ。
しかし、魚探に出た反応の割には活性が低く、あまりエサを取られない。
実は、この活性の低さは今冬の若狭湾全般の様子を示している。前回の釣行記特でも触れたが、今冬のメダイは全体量が少なく、以前のように大きな魚礁に多くの量が回遊するといった傾向ではなく、小スポットに小さくまとまって回遊しているようだ。従って一船二桁の釣果が出ていても、その横に居た船はゼロといった具合に釣果の差が激しいようだ。そのため、福井県小浜市から出港しているメダイ狙いの船が、近頃では「狙いモノ変更」とホームページ上で謳っているほどなのだ。
案の定、このポイントでの答えは出ないままに、切り上げとなり、収まりつつあった波の様子から、経ヶ岬前の白石グリ方面へ途中の魚礁での反応を確認しつつ、船を走らせることになった。
■白石グリ■
白石グリでは完全フカセで攻めることになる。
潮流はトロッと流れる程度で、100m流すのに15分程度もかかる速さだった。この速さは前回攻めた際よりもやや遅い程度であったし、船を掛けた位置も似たような水深だったので、最初の送り出し(手たぐりで一気に道糸を海面に放出させて無抵抗で送り出す作業)量を初めから前回の成功パターンと同様の40mとして流し、様子を伺うことにした。
開始当初は120m近辺まで流ことを繰り返してエサの取られ具合をチェックする。そしてそれを手がかりに発泡ウキで浮力をつけてタナ調整をするが、何しろ1時間あたりで流せる回数が4回弱では時間がかかりすぎるので、効率が悪い。
焦りながらも調整を繰り返し、一時間ほど経った頃、ようやくリールが急速逆転してアタリをキャッチする。しかし、さしたる抵抗もなく上がってきたのは45cmほどのツバスだった。
そういえば、他船のホームページでは釣果報告としてツバスの大漁?を載せているところもあるので、「こんなのに取り囲まれたら鬱陶しいな。」と思っていた矢先、隣の同船者の竿が大きく曲がって狙いのメダイを釣り上げた。これが80cmほどのサイズだったので、下り気味だったこっちの気分も高まってくる。
ここで、「エサが残らないのなら、試しにイカの短冊もハリに刺してみて。」という、船長のアドバイスがあり、ここで上バリにイカの短冊、下バリにオキアミというパターンに刺し替えて様子をみることにした。
■待望のアタリ■
刺しエサのパターンを変えた一投目、リールが猛烈に逆転し始め、同時にリールのアラーム音が鳴りだした。即座にスプールを指で押さえながら竿を立てて様子を伺う。そしてクラッチを入れるとリールのドラッグ滑らせて道糸を一気に20mほど引き出すほどの強引で、その様子から、まさしく相手は大型のメダイと確信する。
ハリスは「マダイも欲しい」とのスケベ根性から6号を使用していたので、メダイ狙いとしてはやや細めになる。よって、ドラッグは緩めの設定で時間を掛けて獲ることを頭に入れてのやり取りだ。
「巻き取っては引き出され」を何度か繰り返して徐々に相手との距離を縮めてゆく。途中で何度も締め込みがあったが、最後のハリス分を手繰りで引き寄せる部分も無事に通過し、無事に玉網へと誘導できた。
大本命だった大型メダイを手にしたことで、気分も上々。現金なもので、以後の釣りへの展開もこれでスムースになる。
ゲットの後は仕掛を点検し、引き続いて仕掛を流そうとしたが、ここで少しの迷いがあった。
先ほどのメダイは2種類のエサのうち、下バリのオキアミを食っていた。そこで、2本ともオキアミにして効率を高めることも一つの手になるのだが、その前に上バリにイカの短冊を刺していたことがメダイのタナに仕掛が入る要因だった可能性もあるわけで、ここが思案のしどころだったが、ボクは結局後者を選んだ。そして、次のアタリが出るまでは一時間ほど経過したが、この選択は間違っていなかった。
今度のアタリも大型メダイであることは間違いなく、その実途中で執拗な締め込みを繰り返す。
腰を落として踏ん張り、何とかそれを凌いでのやり取りを繰り返し、無事に玉網へと誘導する。「ドタッ!」という音と共に船内に横たわる姿を確認すると、先ほどのモノよりやや型が大きいようだ。
■猛烈な引き■
85cmゲットからまたもや一時間ほど経って、三度目のアタリがボクの竿を襲った。今度も間違いなく大型メダイとの予想がついたが、その引きは、それまでとは違って一筋縄ではいきそうにない、この日一番の強烈なモノだった。
相手は、まず始めにボクの釣り座であるトモ(船尾)の右舷から対角線の船首方向に突っ走った。そのままで引っ張り合いをすると、スクリューや舵に巻き付いて一発で仕掛が飛んでしまう。そこで竿を海中に深く突っ込んで回し込むことを即座に判断し、道糸の巻き付きを回避する。
作戦が成功して道糸が安心できる角度と方向になったことを確認し、体勢を整えてリールのクラッチを入れた時点での距離は85mだった。そこから更に全力で走られて105mになった頃からやり取りを開始する。
ハリスはこの日を通して6号のままだったので、慎重にならざるを得ず、相手も、「ドラグ設定が緩い」という、こちらの弱みを見越してか、何とか道糸を巻き取っても同量を引き出してゆくから距離がなかなか詰まらない。
一進一退の攻防を繰り返す中、少しずつ相手の隙を狙って距離を詰めてゆく。だが、ようやく50mを切った辺りで、息を吹き返したように強烈な走りが始まって、またもや道糸が20mほど引き出されてしまった。そしてそれ以降は何故か急激に重さが増してることに気付くのだが、当初はこれが何の理由だか解らなかった。そして同時に時折「ゴリゴリッ!」と何かに擦れる感触がボクの手に伝わるようになっていた。
「もしかすると、アンカーロープに触れているのか?」と思い、そうなると力の入れ加減が難しくなるため、それまでの電動巻き上げから手巻きへと移行させて様子を伺うことにする。
それでもしばらくの間は50~40mの間での攻防が続いていたが、弱った気配が感じられたのを機に、勝負を懸けて一気に浮かすことにした。
竿を竿受けにセットし、ハリスをたぐる頃になると、魚影が見え出すのだが、確認するとビックリ!。
「ダブルで掛かっている!」それもかなりの大型だ。
そして程なく、二匹とも無事に玉網内に収まったのだが…。
しかし、船長は玉網内に導入した時点で、あることに気付いていた。それを聞いてボクはガックリとなる。ダブルだと思ったのが、実はボクがやり取りをしている最中に船長の仕掛にもメダイが掛かり、それと絡み付いていたのだ。これでやり取りの途中での、変な動きに説明がつくことになる。
当然、魚は掛かったハリ=仕掛の所有者の権利となるので、一匹ずつの持ち帰りになる。
「労多くして益少なし」とはこのことだが、やり取りを二匹分味わえたことは「ある意味幸せ?」なのかも知れない。
しかし、ボクのハリに掛かっていた方が91cm、船長のハリに掛かっていた方がそれよりやや小さい88cmほどだったことは溜飲が下がる瞬間だった。
91cmを釣った後は残り一時間ほどになったが、船長がもう一匹メダイを追加した後は、風向きが変わり、上層と中層以下の流れる方向が違う二枚潮になって全く気配が無くなった。
そして、そのまま何も起こらずに納竿時間を迎えた。
■一日を終えて…■
当日はポツリポツリとアタる展開だったが、全てが大型であり、スリリングなやり取りが楽しめて幸せな気分だった。「幸せ」と言えば、アフター、すなわち家に帰ってからのメダイづくしもそうだが、期待に違わず「平造り・カマの塩焼き・鍋物・西京漬け」その全てに於いて味わいは絶品だった。
今年は特に数が少ないだけに貴重品であるメダイだが、今シーズンはあと何回幸せな気分になれるのだろうか?…。次回の釣行が待ち遠しい今日この頃である。
このところ、沖釣りのレポート続きだが、その例に漏れず、今回も舞鶴沖へと出漁した。
利用したのは前回同様の、滝ヶ浦遊船所属の日本海丸だ。前日の波浪予報では「北の風・波高は2m後1m」だったので、前日の船長との打ち合わせの段階では、念のために時間を1時間遅らせての出港ということになっていた。
しかし、予想外に前夜の風が強く吹いたのか、朝5時の予報では「波高が3mのち1m」に訂正されていた。このため、当日朝には「湾口で様子を伺い、波が高ければ引き返す可能性有り」という、条件付きでのスタートになっていた。
●滝ヶ浦遊船所属の日本海41●
過去に、途中で引き返した経験が何度かあるために、最悪の事態が頭によぎったが、「冠島方面ならら何とかなるだろう」との判断から一路そちらを目指すことになった。
●冠島近くに到達●
冠島の大島近辺に到着してから、船長は付近の魚礁に対して丹念に魚探をかけたが、空き家状態のところも多く苦労をしているようだったが、何カ所か目にようやくそれらしき反応を見つけ出してアンカーを降ろした。
●最初のポイントは90mライン●
このポイントでは天秤ズボ釣りで直下付近を狙うことになった。勿論狙いはメダイだ。
●天秤ズボ釣りでスタート●
しかし、魚探に出た反応の割には活性が低く、あまりエサを取られない。
実は、この活性の低さは今冬の若狭湾全般の様子を示している。前回の釣行記特でも触れたが、今冬のメダイは全体量が少なく、以前のように大きな魚礁に多くの量が回遊するといった傾向ではなく、小スポットに小さくまとまって回遊しているようだ。従って一船二桁の釣果が出ていても、その横に居た船はゼロといった具合に釣果の差が激しいようだ。そのため、福井県小浜市から出港しているメダイ狙いの船が、近頃では「狙いモノ変更」とホームページ上で謳っているほどなのだ。
案の定、このポイントでの答えは出ないままに、切り上げとなり、収まりつつあった波の様子から、経ヶ岬前の白石グリ方面へ途中の魚礁での反応を確認しつつ、船を走らせることになった。
■白石グリ■
白石グリでは完全フカセで攻めることになる。
●100m付近からカケ上がる白石グリの海底●
潮流はトロッと流れる程度で、100m流すのに15分程度もかかる速さだった。この速さは前回攻めた際よりもやや遅い程度であったし、船を掛けた位置も似たような水深だったので、最初の送り出し(手たぐりで一気に道糸を海面に放出させて無抵抗で送り出す作業)量を初めから前回の成功パターンと同様の40mとして流し、様子を伺うことにした。
●隣はブンブン丸●
開始当初は120m近辺まで流ことを繰り返してエサの取られ具合をチェックする。そしてそれを手がかりに発泡ウキで浮力をつけてタナ調整をするが、何しろ1時間あたりで流せる回数が4回弱では時間がかかりすぎるので、効率が悪い。
焦りながらも調整を繰り返し、一時間ほど経った頃、ようやくリールが急速逆転してアタリをキャッチする。しかし、さしたる抵抗もなく上がってきたのは45cmほどのツバスだった。
そういえば、他船のホームページでは釣果報告としてツバスの大漁?を載せているところもあるので、「こんなのに取り囲まれたら鬱陶しいな。」と思っていた矢先、隣の同船者の竿が大きく曲がって狙いのメダイを釣り上げた。これが80cmほどのサイズだったので、下り気味だったこっちの気分も高まってくる。
ここで、「エサが残らないのなら、試しにイカの短冊もハリに刺してみて。」という、船長のアドバイスがあり、ここで上バリにイカの短冊、下バリにオキアミというパターンに刺し替えて様子をみることにした。
●当日用意したオキアミとスルメイカの短冊●
■待望のアタリ■
刺しエサのパターンを変えた一投目、リールが猛烈に逆転し始め、同時にリールのアラーム音が鳴りだした。即座にスプールを指で押さえながら竿を立てて様子を伺う。そしてクラッチを入れるとリールのドラッグ滑らせて道糸を一気に20mほど引き出すほどの強引で、その様子から、まさしく相手は大型のメダイと確信する。
●メダイと格闘中!●
ハリスは「マダイも欲しい」とのスケベ根性から6号を使用していたので、メダイ狙いとしてはやや細めになる。よって、ドラッグは緩めの設定で時間を掛けて獲ることを頭に入れてのやり取りだ。
「巻き取っては引き出され」を何度か繰り返して徐々に相手との距離を縮めてゆく。途中で何度も締め込みがあったが、最後のハリス分を手繰りで引き寄せる部分も無事に通過し、無事に玉網へと誘導できた。
●待望の大型メダイ●
●83cm!●
大本命だった大型メダイを手にしたことで、気分も上々。現金なもので、以後の釣りへの展開もこれでスムースになる。
ゲットの後は仕掛を点検し、引き続いて仕掛を流そうとしたが、ここで少しの迷いがあった。
先ほどのメダイは2種類のエサのうち、下バリのオキアミを食っていた。そこで、2本ともオキアミにして効率を高めることも一つの手になるのだが、その前に上バリにイカの短冊を刺していたことがメダイのタナに仕掛が入る要因だった可能性もあるわけで、ここが思案のしどころだったが、ボクは結局後者を選んだ。そして、次のアタリが出るまでは一時間ほど経過したが、この選択は間違っていなかった。
●これまた大型のメダイの引きだ!●
今度のアタリも大型メダイであることは間違いなく、その実途中で執拗な締め込みを繰り返す。
腰を落として踏ん張り、何とかそれを凌いでのやり取りを繰り返し、無事に玉網へと誘導する。「ドタッ!」という音と共に船内に横たわる姿を確認すると、先ほどのモノよりやや型が大きいようだ。
●今度は85cm!●
■猛烈な引き■
85cmゲットからまたもや一時間ほど経って、三度目のアタリがボクの竿を襲った。今度も間違いなく大型メダイとの予想がついたが、その引きは、それまでとは違って一筋縄ではいきそうにない、この日一番の強烈なモノだった。
相手は、まず始めにボクの釣り座であるトモ(船尾)の右舷から対角線の船首方向に突っ走った。そのままで引っ張り合いをすると、スクリューや舵に巻き付いて一発で仕掛が飛んでしまう。そこで竿を海中に深く突っ込んで回し込むことを即座に判断し、道糸の巻き付きを回避する。
作戦が成功して道糸が安心できる角度と方向になったことを確認し、体勢を整えてリールのクラッチを入れた時点での距離は85mだった。そこから更に全力で走られて105mになった頃からやり取りを開始する。
ハリスはこの日を通して6号のままだったので、慎重にならざるを得ず、相手も、「ドラグ設定が緩い」という、こちらの弱みを見越してか、何とか道糸を巻き取っても同量を引き出してゆくから距離がなかなか詰まらない。
一進一退の攻防を繰り返す中、少しずつ相手の隙を狙って距離を詰めてゆく。だが、ようやく50mを切った辺りで、息を吹き返したように強烈な走りが始まって、またもや道糸が20mほど引き出されてしまった。そしてそれ以降は何故か急激に重さが増してることに気付くのだが、当初はこれが何の理由だか解らなかった。そして同時に時折「ゴリゴリッ!」と何かに擦れる感触がボクの手に伝わるようになっていた。
「もしかすると、アンカーロープに触れているのか?」と思い、そうなると力の入れ加減が難しくなるため、それまでの電動巻き上げから手巻きへと移行させて様子を伺うことにする。
それでもしばらくの間は50~40mの間での攻防が続いていたが、弱った気配が感じられたのを機に、勝負を懸けて一気に浮かすことにした。
竿を竿受けにセットし、ハリスをたぐる頃になると、魚影が見え出すのだが、確認するとビックリ!。
「ダブルで掛かっている!」それもかなりの大型だ。
そして程なく、二匹とも無事に玉網内に収まったのだが…。
●これまたヘビー級●
しかし、船長は玉網内に導入した時点で、あることに気付いていた。それを聞いてボクはガックリとなる。ダブルだと思ったのが、実はボクがやり取りをしている最中に船長の仕掛にもメダイが掛かり、それと絡み付いていたのだ。これでやり取りの途中での、変な動きに説明がつくことになる。
当然、魚は掛かったハリ=仕掛の所有者の権利となるので、一匹ずつの持ち帰りになる。
「労多くして益少なし」とはこのことだが、やり取りを二匹分味わえたことは「ある意味幸せ?」なのかも知れない。
しかし、ボクのハリに掛かっていた方が91cm、船長のハリに掛かっていた方がそれよりやや小さい88cmほどだったことは溜飲が下がる瞬間だった。
●91cmの大メダイ!●
91cmを釣った後は残り一時間ほどになったが、船長がもう一匹メダイを追加した後は、風向きが変わり、上層と中層以下の流れる方向が違う二枚潮になって全く気配が無くなった。
そして、そのまま何も起こらずに納竿時間を迎えた。
■一日を終えて…■
当日はポツリポツリとアタる展開だったが、全てが大型であり、スリリングなやり取りが楽しめて幸せな気分だった。「幸せ」と言えば、アフター、すなわち家に帰ってからのメダイづくしもそうだが、期待に違わず「平造り・カマの塩焼き・鍋物・西京漬け」その全てに於いて味わいは絶品だった。
今年は特に数が少ないだけに貴重品であるメダイだが、今シーズンはあと何回幸せな気分になれるのだろうか?…。次回の釣行が待ち遠しい今日この頃である。