中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

悪貨は良貨を駆逐する?

2012-12-22 12:30:00 | その他
■プラズマテレビの話■

 先日、自宅で使用していたリアプロジェクションタイプの42インチTVが壊れた。早速各社最新機器の基本性能を調べ、候補を絞って販売店に走ったのだが…。

 現状では、大型と言われる40インチ以上のTVは、プラズマ方式、液晶方式共に価格が底値近くまで下がっているが、時代は進み、プラズマ方式のTVを生産するのはパナソニック一社となっている。しかも以前にこのブログでも書いた尼崎の大工場製は計画生産分しかなく、市場に流通するのはタイ製その他がメインの寂しい状況になっているそうだ。だが、プラズマ方式の性能が液晶に劣るからそうなったというのなら納得できるのだが、調べをすすめ、実際に現物を確認すると、どうやらそうでもないことに気付かされた。

 液晶対プラズマと言われていた一昔前、一般にプラズマ方式は「速い動きに強く、色の階調表現=特に黒の階調描写に優れていて、40インチ以上の大画面では威力を発揮する」のに対し、液晶タイプは「発熱量と電力消費が少なく、明るくてクッキリとした描写が得られる」と言われていたが、その傾向は今でも変わらないようだ。
 また、プラズマ方式の「発熱量と消費電力が大きく外光の差し込み(写り込み)に弱い、焼き付きが起こる」、液晶方式の「速い動きに追従できず、残像が残って違和感を感じたり、水平視野角が狭くて横方向から見るとコントラストや色表現が低下する。」といった弱点も以前に比べて改善されてはいるものの、依然として残っている。

 では実際に候補である40インチ以上のTVを店舗で視聴してみた感想だが、液晶方式では、2倍速以下のパネルを採用したモデルは、速い動きに対して全てのモデルで残像感があって候補から外れ、上位機種に採用されている4倍速パネルモデルの中から、SONY製の、「4倍速パネル+画像制御=16倍速相当」を搭載したモデルのみが、残像を気にならないレベルまで押さえている上に、自然な色合いに感じられて好感が持てた。
 対するプラズマ方式では、予算の都合で、パナソニックの最廉価版意外に選択の余地はなく、それのみを視聴したが、それでもさすがはプラズマ、階調表現が格段に優れ、速い動きに対しての追従性も申し分がなかった。しかし、かわいそうなのが、その展示方法で、明るい店内の照明を浴び、弱点である写り込みの激しい最下段に置かれていたのだ。
 こんな展示法であっても、ボクのように「見る気」で訪問した客の場合は、しゃがんで目線を正対させて確認するだろうけど、そういった客以外に対してはプラズマ方式のしっとりした色合いをアピールできず、場合によっては暗く感じる画を決してイイモノだとは思わないだろう。(事実、店員が「プラズマについての質問は久しぶり」と言っていた。)

 で、結局は、”反応速度がプラズマに追いつきつつある(=残像感が少ない)”SONY製の液晶TVが、プラズマTVよりも価格が上回っていたことをうけ、
 「だったら、より基本性能が高いプラズマでしょう。」ということで購入に至ったワケだが、買っておきながら「いつまで生産し続けるのだろうか?」という、一抹の心配があることには違いなく、そんな経験が過去にもあったことを思い出していた。実はこの私、ベータマックス方式のビデオデッキの愛好者だったのだ。そう、あの時も「小型で高性能」なベータが消滅してしまったからだ。

 現況の液晶方式が隆盛し、コントラスト表現で1割、フルHD動画解像スピードでは倍の能力差をつけているにも関わらず、プラズマ方式が衰退している原因は色々とあるのだろうが、ボク的には、液晶方式の、「誰にでも判り易い、鮮やかな画づくり」が、その要因だと思っている。しかし、このタイプの画は、ボクにとってはウソ臭く、一種の擬色のようにように思えるのだが…。
 こういったモノが受け入れられやすくなっている背景には、昨今の繊細さや緻密さよりも見た目に派手で取っつきやすいモノが優先され、例えば商品であれば提供する企業側がそれに迎合し、連鎖してゆく流れがあるように思う。勿論企業側に余裕があれば、様々な新機軸が打ち立てられ、それに沿った製品が続々と出てくるのだろうが、昨今の大赤字続きの状況では手っ取り早く売れるモノを優先するしかないのかも知れないが…。

 そんなことを考えていると、これは何もTV受像器の世界だけではなく、いろんなモノにこの流れがあるように思える。
 「日本人の舌をダメにしたのは、唐辛子とニンニク」と、以前にある料理家が言っていた。これは”刺激”と、いわゆる”パンチの効いた味”によって舌が誤魔化され、馬鹿になってしまうということを指しているのだが、その通り、”食”に目を向ければ、近年ではニンニクまみれに激辛、それに加えて多くの食品が調味料まみれになっていて、「素材の味わい」や「イイ塩梅」といった言葉とはかけ離れた、判り易く人工的な味付けのモノや刺激的なモノが幅をきかしている。
 また、話は飛躍するが、今年は大滝秀治さん、地井武雄さんといった”味のある”俳優さんたちが鬼籍には入られた。近頃はこんなことばかりに目が行くせいか、来年50歳を迎えるオッサンとしては、色々と心配になっている。


 ~追伸

 この記事を書いたすぐ後に、「パナソニック社が、プラズマTVの研究開発から撤退」のニュースが流れた。予想どおり、ベータと同じ結末になったようだ…。
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2 コメント

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こんにちは! (アサシン)
2012-12-23 08:08:24
お久しぶりです。
私は、製造業(自動車関係)で働いてますが、日本ブランドの製品を好んで購入しています。
しかし、ブランドは日本なのに海外製が多いのが残念です!
プラズマテレビも大事な日本の技術なのでいつまでも生産してほしいですね。
ウチは、先日全てのテレビが液晶になりました。
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Unknown (ブラザーズ弟)
2012-12-25 10:42:50
追伸でも書きましたが、ついに”風前の灯火”だったプラズマTVも、とうとう火が消え、燃えカスから出る煙だけの状態になりました。
日本の上空を覆う暗雲が消え、晴れ間が見えるのはいつになるのやら…。
でも、それには期待せず、現状を受け入れ、慎ましく暮らすことがこれからの生き方なのかも知れませんね。
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