中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

2024年版 沈む(高比重)PEラインの話

2024-07-20 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他

 今年一回目のブログで記した、よつあみの「オードラゴン✕8」の3号(300m)が、ようやく6月末に販売された。

■新旧比較■

 古い記事で確認してもらうと解るのだが、沈むPEライン=オードラゴンは以前から販売されていたが、それは4本撚りであり、今回の8本撚りとは、かなり様子が違う。

●新発売のオードラゴン✕8●

 「従来のオードラゴンとは何が違うのか?」だが、旧タイプ(以後「✕4」と記す)は比重が1.40。今回の新タイプ(以後「✕8」と記す)は、1.20で、✕8の方が軽い。完全フカセではメインで使われている、フロロカーボンは1.79前後と言われ、ナイロンは1.15前後と言われているから、✕8はナイロンに近く、✕4はフロロカーボンに近くなる。因みに普通のPEは0.97で、水に浮いてしまうので、完全フカセでの使用は厳しい。

●旧タイプのオードラゴン✕4●

 3号同士だと強度は✕4の40lb(18kg)に対して✕8では2割アップして、48lb(21.6kg)になるが、標準的なPEライン3号の強度55lb(24.97kg)よりは、低い数値になっている。

 しかし✕4は毛羽立ちやすく、そこからの綻びが原因なのか、アジ釣り等、細糸使用時のインプレ記事を見ると、「破断し易い」との評価がよく目に入って来るから、実用強度は違っているように思う。

 記事にも記したよう、ボクも4年以上前に✕4を導入したが、継続使用中にこの毛羽立ち~綻びによる強度低下が起こらないかと気になっていた。だが今回の✕8は、この毛羽立ち具合がかなり改善されている。触れるとツルッとしていて、通常の軽比重PEラインよりも張りや腰があり、新品時の手触りは柔らかめのフロロカーボンに近い印象だった。

 尚、「✕8・3号・300m」の販売価格は¥4700程度なので、フロロカーボン・ラインの6~7号と同等だ。

 

■✕8の活用法■

 ✕8・3号の強度=48lbは、フロロカーボンラインの14号程度の強度に相当する。この✕8・3号をリールに巻いた場合、数値的には、フロロカーボン・ハリスは14号まで使えるワケだが、PEライン共通の弱点として、「根ズレに弱い」「サルカン等に直接結ぶと結節強度が落ちる」という点が挙げられるので、注意が必要だ。

 その対策はリーダー(先糸)を装着する事だが、ジギング等と同様にフロロカーボンのリーダーを介してサルカンに連結すると、弱点はかなり改善される。同時に最初に送り出しを行う部分がフロロカーボンラインになるので、それが重しになって、沈み具合が改善されるのもメリットの一つになる。

 但し、PEラインとフロロカーボンラインの結節は「PRノット」や「SFノット」他といった、100%に近い強度が出る方法で結ばなくてはならず、電車結び等は以ての外になる。

 ✕8の導入にあったっては、色々と構想を描いていたが、ようやく入手出来たのが、ちょうど玄達瀬への釣行シーズンだったので、装着するハリス&リーダーを12号とした。勿論ハリスは、いつもの6mの2本バリを選択した。リーダーの長さは、ジギングの場合は3~5mが標準なのだが、それよりももっと長い15mとした。その狙いは、上述のフロロカーボンの高比重による馴染みの良さと根ズレ対策に加えて、伸びの少ないPEラインの特性を補うための、ショック吸収性を考慮したからだ。

 

■実釣では■

 先週の記事で記したが、7月初旬の玄達瀬釣行で実釣テストを行った。

 当日の潮況は、2分30秒を切る、所謂ブッ飛び潮が殆どの時間帯で差していた。

 当初は、自分の玄達基準では細めのフロロカーボン・ライン8号&10号ハリスのタックルと✕8装着タックルとを交互に投入していたのだが、最初にアタリが出たのがフロロカーボン・ラインの方だったため、最初の数時間はついつい、そちらを優先していた。

 時間が経つにつれて潮速が速まるという厳しい状況の中、どうにも上潮に吹き飛ばされている感が強くなったため、思い出したように✕8装着タックルに持ち替えたところ、これが見事にアタリを捉えてくれたのだ。しかし残念ながらそれは、空振りに終わったのだが…。

●リールに巻かれた✕8●

 事態が好転しないまま、急潮流でありながらも、あえて深場への移動となった。

 そこは船長曰く、「アタリが出るのは、250~300m辺りになるだろう。」という、ポイントだった。

 「ラインの細さが有利に働いて上潮を切るか、比重が軽い分だけ沈まずに吹き飛ばされるかの、どっちだろう?。」と思いつつ、✕8装着タックルの方を選択して、まずはサルカンの上に4Bのガン玉を2個装着し、送り出しを40mとってみたが、サシエサが残って帰ってきた。

 次に同じセッティングで、送り出し量を増やしていったが、ダメだった。そこで4Bを3個にして送り出しを40mに戻し、200mまで出たら20秒の停止を入れてみると、230mで遂にラインが走って、中マサをゲットした。

 その後の展開は先週の記事に譲るが、以後は✕8タックルを最後まで使い続けた。その結果は中マサが合計4本、ブリ~メジロが4本、大型マダイが2枚、イサギ&グレが少々という内容で、10号のフロロカーボン・ラインで頑張り続けた釣友との差はダブル~トリプルスコアどころではなかった。

 

■✕8の利点■

 一度きりでは全てを決めつけられないが、急潮時に3号という細さは、ハマればこれまでのフロロカーボン・ライン使用時に比べると、異次元に有利になるのは確かで、比重が軽くなる面での不利さは水切り面の有利さで相殺どころか、オツリが来るように感じられた。

 有利さは他にもあって、伸びが少ないからか、スプール上でのライン同士の食い込みによる回転の停止は殆ど無く、アタリが出るまでの間は、ほぼノータッチでOKだったのだ。

 尚、以下は想像になるが、このラインが有利に働く面がまだまだあるように思える。

 例えば、沈み過ぎないという事を逆手に取れば、緩潮時に余分な糸フケが出ず、PEラインの伸びの少なさもあって、アタリが取り易くなると思われる。

 利点はまだまだあって、リールに✕8・3号を巻いておけば、リーダーの号数を使用ハリスに合わせて変化させるだけで、白石グリ~玄達瀬まで巻き替え不要になるのは有難い。

 また、フリー回転時にイシダイ用リール並みによく回るが、フロロカーボン・ラインを巻くとトラブルが起こり易い、シマノのビースト&フォースマスター2000シリーズも、✕8なら、ライントラブルは解消されるように思えるし、足りなかった巻き糸量が確保出来るから、今後のテスト次第だが、完全フカセで復権(活躍?)するかも知れない。

 

■✕8の不安面■

 反面、不利になる点を挙げるとなれば、まずはオマツリに非常に弱い点になるだろう。何しろPEライン同士の絡みを解くのは非常に難しい。よって乗合船での4人乗船では、よほどの好条件でない限り使用は控えるべきだし、バック・ラッシュにもこれまで以上に注意が必要だ。

 セッティング面から言うと、オモリや発泡ウキの使い方に今までとは違う視点での工夫が必要になる点が挙げられる。特にオモリを大胆に使ったマイナス方向へのアプローチが必要になるだろう。

 これは実釣で得た感覚からの想像になるが、ヒラマサのサイズが1mチョイ程度であれば強度的に余裕はあるように感じるものの、ライン全体でのショック吸収性が劣るだけに「相手が120cm以上だとどうなるのか?」は未知数だ。

 だが、ルアー系の大型ヒラマサ狙いではPEラインの5号(80lb・36.32kg)以上が標準ではあるものの、3号は一応、ギリギリ許容範囲だから、これまでよりロッドを粘る調子にする等の工夫で何とかなるモノと思われる。

 最低でもPEラインの3号というルアー系釣り師たちに対しては、我々完全フカセ釣り師とは次元の違ったパワータックルを使えて、やり取りでかなり優位になる点で羨ましく感じるが、フロロカーボン・ライン7号の強度は25lb(11.34kg)程度だから、たとえルアー系では最細の3号であっても、我々にとってはパワータックルに該当するので、いつものヒヤヒヤからかなり開放される点では大助かりだ。残る心配は「耐久性がどこまであるか」にかかっているだろう。

 また、✕4の際は、発売後しばらく経つとメーカーが「3号・300m巻」を廃盤にした事が使用を断念するに至った決定的な理由だけに、今後一般化されて需要が高まり、継続販売されるよう祈るばかりだ。そしてメーカーさんには、可能であれば更に太い4号辺りまでの展開や、更なる高比重タイプの発売もお願いしたいところだ。

 

■期待はこれからも‥■

 実は、前回の玄達瀬釣行では注入したオイルの選択ミスを犯して、あまり回らなくなったリールを使用していたのに、あの結果だった。ベストコンディションのリールならば、もっと効果があったかも知れない。ついては次回は更に本腰の体勢で臨むため、その期待は大きい。興味のある釣人は、今後の記事に注目して欲しい。

 


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