都月満夫の絵手紙ひろば💖一語一絵💖
都月満夫の短編小説集
「出雲の神様の縁結び」
「ケンちゃんが惚れた女」
「惚れた女が死んだ夜」
「羆撃ち(くまうち)・私の爺さんの話」
「郭公の家」
「クラスメイト」
「白い女」
「逢縁機縁」
「人殺し」
「春の大雪」
「人魚を食った女」
「叫夢 -SCREAM-」
「ヤメ検弁護士」
「十八年目の恋」
「特別失踪者殺人事件」(退屈刑事2)
「ママは外国人」
「タクシーで…」(ドーナツ屋3)
「寿司屋で…」(ドーナツ屋2)
「退屈刑事(たいくつでか)」
「愛が牙を剥く」
「恋愛詐欺師」
「ドーナツ屋で…」>
「桜の木」
「潤子のパンツ」
「出産請負会社」
「闇の中」
「桜・咲爛(さくら・さくらん)」
「しあわせと云う名の猫」
「蜃気楼の時計」
「鰯雲が流れる午後」
「イヴが微笑んだ日」
「桜の花が咲いた夜」
「紅葉のように燃えた夜」
「草原の対決」【児童】
「おとうさんのただいま」【児童】
「七夕・隣の客」(第一部)
「七夕・隣の客」(第二部)
「桜の花が散った夜」
1556年(弘治2年)夏、とても暑い日のことだったそうです。空の上では雷様の親子が、雨を降らせてやろうと太鼓を叩いていたそうです。あんまりはりきりすぎた雷の子供が、うっかり足を滑らせてしまったそうです。ゴロゴロドスン!! と大きな音を立てて三田の欣勝寺の井戸に落っこちてしまいました。
どう動こうとしても外に出られないので、「助けてくれ~!!」と大声で叫んだそうです。
大きな声が聞こえたので、欣勝寺の和尚さんが井戸を覗き込んだそうです。すると、やんちゃなそうな雷の子供が落ちているので、あわてて蓋をして閉じ込めてしまったそうです。
雷の子供は「助けて下さい。ここはどこですか。ここには二度と落ちません!!」と言ったそうです。
和尚さんは「ここは桑原だよ。」と言ったそうです。
雷の子供は「もうここには落ちないので、雷がなったら桑原、桑原と言って下さい。両親にも必ず伝えます。」と言ったそうです。
和尚さんニ度と桑原には落ちないことを約束させて、逃がしてやったそうです。
雷の子供は、雲の上に戻ってから両親に一部始終を話したそうです。
雷の両親は和尚さんに大変感謝をして、他の雷様たちを集めて「これからは、桑原に絶対に雷を落としてはならないぞ!!」ときつく戒めたそうです。
それからというもの、欣勝寺や桑原には雷が落ちたことがないそうです。
また、雷が落ちないように、我が身に不吉なことが起こらないように「くわばらくわばら・・・」と唱えるようになったそうです。
三田(三田)に伝わる民話より。
[欣勝寺の歴史]
天禄年間(970-973)に清和天皇より分かれた源満仲の開基を伝える真言宗の道場で桑原山欣浄寺と称された古刹(こさつ:由緒ある古い寺)でした。
その後、安貞2年(1228)曹洞宗の開祖道元禅師が28歳のとき留学から戻り、保養のため有馬温泉に入湯した際に、桑原の地に立ち寄りました。この寺の山が宋の不老山に似ていることから太宋山欣勝寺と命名し、曹洞宗に改宗されました。
また、境内には雷の子供が落ちたといわれる雷井戸があります。現在でも、毎年多くの人々が雷難降伏悪魔退散の御祈祷を受けに来られ、雷難除けのお札、お守りを買い求めになります。
兵庫県三田(さんだ)市桑原
実際に雷が鳴ったときは、すぐに建物かクルマに逃げ込んでください。音の聞こえる範囲であればどこに落ちるか分からないそうです。
「くわばら、くわばら・・・。」
したっけ。