都月満夫の絵手紙ひろば💖一語一絵💖
都月満夫の短編小説集
「出雲の神様の縁結び」
「ケンちゃんが惚れた女」
「惚れた女が死んだ夜」
「羆撃ち(くまうち)・私の爺さんの話」
「郭公の家」
「クラスメイト」
「白い女」
「逢縁機縁」
「人殺し」
「春の大雪」
「人魚を食った女」
「叫夢 -SCREAM-」
「ヤメ検弁護士」
「十八年目の恋」
「特別失踪者殺人事件」(退屈刑事2)
「ママは外国人」
「タクシーで…」(ドーナツ屋3)
「寿司屋で…」(ドーナツ屋2)
「退屈刑事(たいくつでか)」
「愛が牙を剥く」
「恋愛詐欺師」
「ドーナツ屋で…」>
「桜の木」
「潤子のパンツ」
「出産請負会社」
「闇の中」
「桜・咲爛(さくら・さくらん)」
「しあわせと云う名の猫」
「蜃気楼の時計」
「鰯雲が流れる午後」
「イヴが微笑んだ日」
「桜の花が咲いた夜」
「紅葉のように燃えた夜」
「草原の対決」【児童】
「おとうさんのただいま」【児童】
「七夕・隣の客」(第一部)
「七夕・隣の客」(第二部)
「桜の花が散った夜」
お坊さんが日常生活において守るべき規則に「五戒」というものがあります。
五戒とは、よく知られているように、下記の五つです。
① 不殺生戒(ふせっしょうかい):生命あるものを殺すことを禁ずる戒。
② 不邪淫戒(ふじゃいんかい):自分の妻または夫以外の女性または男性と肉体関係を結ぶことや、よこしまな方法などで性交を行なうことを禁ずる戒。
③ 不妄語戒(ふもうごかい):うそを言ってはいけないという戒め。
④ 不偸盗戒(ふちゅうとうかい):他人のものを盗んではならないという戒め。
⑤ 不飲酒戒(ふおんじゅかい):酒を飲むことを禁じる戒。
これら五つのうち、最後の不飲酒戒の場合は、酒を飲むこと自体をいましめたというよりも、酒を飲むことによって、前の四つの戒めを犯しやすくなるからという理由によって制定されていたようです。こういった戒律は日本に伝わってくると、日本人は「酒を飲むこと自体がいけないのではないから、酒を飲んでも他の悪いことをしなければよいはずだ」と解釈するようになったようです。
特に禅系の寺院の門前には、「不許葷酒入山門」(くんしゅさんもんにいるをゆるさず)と書いた立て札があります。
葷とは五葷(ごくん)といって、陰陽五行(木・火・土・金・水 もっかどこんすい)に基づく、ネギ類でだそうです。葱(ねぎ)・辣韮(らっきょう)・大蒜(にんにく)・韮(にら)・浅葱(あさつき)だといわれています。これを食べることを禁じるということです。
辛味や臭気の強い五種の野菜は、五臓を傷付け、五戒(ごかい:殺・淫・妄・盗・酒)となる恐れがあるためだそうです。
刺激物であり、ある種の興奮作用や、感受性が高まり、心が乱れるのを防ぐために禁止したのです。これらを持ち込んでは禅宗の修行に差し障りがあるということでしょう。
このように、酒を飲むことが激しく戒められていましたが、次第に、薬として身体のために少しぐらい飲むのならよかろう、ということになります。さらに、酒として飲むのではない、という意識から、「智恵のわきいずるお湯」という意味を持った「般若湯」という名をつけたのです。
しかし、江戸時代には不殺生戒や不飲酒戒に対してずいぶん不謹慎な坊さんが多かったらしく、般若湯のような飲食に関する隠語は結構豊富にあるようです。
次の言葉の意味、わかりますか?
① 般若湯
② 牛の角
④ 裸足
⑤ 踊り子
⑥ 金釘
⑦ 剃刀
⑧ 白茄子
⑨ 歎仏
⑩ 天蓋
⑪ 緋の衣
⑫ 伏せ鉦
⑬ 赤豆腐
⑭ 紫の衣
⑮ 山の芋
では、その意味は・・・。
① 般若湯(はんにゃとう)=酒:般若とは梵語(ぼんご)で智恵のこと。酒を飲むことの後ろめたさから、これを智恵の湯と称したのである。
② 牛の角(うしのつの)=鰹節:形が似ている。
③ 草鞋(わらじ)=牛肉:昔、牛に鞍をつけ、荷を運搬するに際し、蹄を傷つけないために履かせていた。爪が痛くないのでせっせと歩いたそうです。牛の爪は二つに分かれているので、わらじを履かせるには都合が良く外れにくかったとのことです。
④ 裸足(はだし)=鶏肉:牛はわらじを履き、馬は金沓(かなくつ=蹄鉄)をつけているが、鶏は足に何もつけていない。
⑤ 踊り子(おどりこ)=泥鰌(どじょう):ぴちぴちと跳ねて踊る。
⑥ 金釘(かなくぎ)=煮干:ぴかっと光って細くて固い。
⑦ 剃刀(かみそり)=鮎:体が細長いところが似ている。
⑧ 白茄子(しろなす)=卵:見た目そのまま。他に、「遠眼鏡」:(腐ってないか見極める際に透かして見る様が似ている。「御所車」:中に黄身(君)が居る)とも。
⑨ 歎仏(たんぶつ)=刺身:歎仏(たんぶつ):仏の徳を褒め称えること。鮮魚の造りも嘆賞して味わうため。
⑩ 天蓋(てんがい)=蛸(たこ):仏像などの上にかざす笠状の装飾物で瓔珞(ようらく)という装身具を垂れる。茹であがったときの足の丸まった様が似ている。他に、「千手観音(せんじゅかんのん)」:手が多いことから。
⑪ 緋の衣(ひのころも)=海老(えび):殻の色。
⑫ 伏せ鉦(ふせがね)=鮑(あわび):台座に伏せてのせ、念仏のときに撞木でたたきならす鉦。貝を伏せたときの様子が似ている。
⑬ 赤豆腐(あかどうふ)=鮪(まぐろ):刺身はまさに赤い豆腐。
⑭ 紫の衣(むらさきのころも)=鰯(いわし):魚の色。青森では昔、幼い子が亡くなると紫の衣を 着せて干鰯をくわえさせて埋葬する風習があったそうです。
⑮ 山の芋(やまのいも)=鰻(うなぎ):「山の芋が鰻になる」という諺から。山の芋が鰻になることは決してありえないが、そのありえないことが起こるということから、起こるはずのないことが起こることのたとえ。思いもよらないほど変化することのたとえ。また、普通の者が急に出世することのたとえ。
したっけ。