築地と豊洲 -「市場移転問題」という名のブラックボックスを開封する-
澤 章著
もう移転して3年ほどたって、都議会選挙の時期となった。そろそろ築地の移転問題の本が出ても良いと思って検索すると、東京都の中で苦労した関係者の著書があった。あの騒動はどこから来て、そして今オリンピック開催の五輪旗という御旗が吹きさらしの会場で揺れている。
著者が言っているのだが、築地の移転には告発され無罪となった浜渦さんの功績を誰も述べていない。鈴木都知事から始まった市場の移転は青島時代からずっと放置されていて、その間に築地市場内での再建工事が始まり、400億円ほどで勝鬨橋たもとの隅田川添いの桟橋上に立体駐車場が出来、その導入通路の工事の建設工事途中で築地市場の再構築工事が止まった。さらに市場営業中の工事車両の浜離宮との間の通路工事など今でも残っている遺産があるが誰も気にはしていない。これに関しての情報を書いている本はまだ見つからない。この本でも著者は書いてはいない。なぜならここが一番の問題なのに都庁の役人が市場の人たちと会話をしていなかったことが原因である。それには業者との癒着を恐れ、倫理規範で交際を制限したことから来ている。移転延期の説明で都庁の若手の役人にどのように築地の移転は難しいかを話したがびっくりしていた。商流の下部の人たちの集合体で築地が動いているので、マグロだけでは成り立たないと言っておいた。魚でも他の市場は全部を扱っている仲卸のところもあるが築地では貝専門とか佃煮専門とかがあって、それぞれの仲卸は全国の代表となっていて、築地では小さな存在でも全国の指標となっている。場外には刺身のツマ等の取扱い業者の通りまである。茎わさびで一家をなしている業者も複数ある。青果と水産がついているので存在感があって、青果だけが豊洲へ移転するという案は消えていた。千住の市場は昔は水産と青果が一緒だったが、今は青果のみ移転し、水産は千住に残っている。
ここもいずれ市場の再編の波に巻き込まれるだろう。・そして跡地が東京都の買い上げで、赤字補填となるのは必至である。
さて(築地と豊洲)という本に、豊洲へ移転した夜に、エサの消えた築地市場内にネズミ捕りが仕掛けてあって、ネズミの悲鳴が聞こえていたという。市場の開場中は毒物を仕掛けることは出来ないが、移転してしまえば何でもできる。これは築地にいたときは語ることは出来ない。
ドイツの童話で(ハーメルンの笛吹き男)という話が合った。一夜で消えた築地のネズミはどこへ行ったのだろうか。誰も笛吹男にお礼は言っていない。今その返礼が来ていて、築地を移転させる目的のオリンピックがおかしくなっている。コロナはコウモリ由来でなく、ペストのようにネズミ由来と!!!