金子みすゞの「夕顔」は好きな詩。
**お空の星が
夕顔に、
さびしかないの、と
ききました。
おちちのいろの
夕顔は、
さびしかないわ、と
いいました。
お空の星は
それっきり、
すましてキラキラ
ひかります。
さびしくなった
夕顔は、
だんだん下を
むきました。**
立原道造の「淺き春に寄せて」は好きな詩。
**今は 二月 たつたそれだけ
あたりには もう春がきこえてゐる
だけれども たつたそれだけ
昔むかしの 約束はもうのこらない
今は 二月 たつた一度だけ
夢のなかに ささやいて ひとはゐない
だけれども たつた一度だけ
その人は 私のために ほほゑんだ **
(後略)
樋口一葉の「たけくらべ」好きなラストシーン。
**或る霜の朝水仙の作り花を格子門の外よりさし入れ置きし者の
有けり、誰(た)れの仕業と知るよし無けれど、美登利は何ゆゑと
なく懐かしき思ひにて(中略)聞くともなしに伝へ聞くその明けの
日は信如が何がしの学林に袖の色かへぬべき当日なりしとぞ。**
三人とも早世した、二十代半ばで。
けれどいつまでも親しまれる作品をのこした。
人生は長短ではないんだな、と思う。
私はここに挙げた作品に漂う「寂しさ」に惹かれる。
(注)**を引用範囲につけています。