透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

マイクル・クライトンの作品

2008-11-08 | A 読書日記



■ 「ジュラシック・パーク」の原作者 マイクル・クライトンさん死去という記事が昨日(7日)の朝刊に載った。

最先端技術に潜む危険性を指摘した作品のサスペンスフルな展開に魅せられてよく読んでいた。文庫になるまで待ちきれなくて単行本で読んだ作品もある。



『プレイ PREY』は「ナノテクノロジー」に潜む危険性を描いている。ナノテク版ジュラシック・パークと帯にある通り、あの名作と同様、ハラハラ・ドキドキな作品だった。20世紀フォックスで映画化されるそうだが、進捗しているのだろうか。映画化を意識していることは作品を読んでいて分かった。CGを駆使すればスウォーム(が何かは敢えて書かない)の映像化など容易だろう。映画が公開されたら是非観たい。

クライトンさん、面白い作品を何作もありがとうございました。合掌。


 


続「月光仮面」

2008-11-08 | A 読書日記
『「月光仮面」を創った男たち』樋口尚文/平凡社新書は単にオタク(マニアとの違いが分かりませんがオタクとしておきます)な話題を集めてまとめるなどという安易な企画の本ではありません。

昭和30年代の終わりには映画とテレビの人気が逆転したのですが、当時の映画界とテレビ界の事情を「月光仮面」「隠密剣士」という人気テレビ番組を通じて論考した「大衆文化」論です。でも、もちろん色々「へー、知らなかった」という話題も載っています。

以下にその例を挙げておきます。

□ 昭和30年代から40年代にかけて「アメリカ製テレビ映画」、例えば「ララミー牧場」「パパは何でも知っている」「逃亡者」「ローハイド」等が流行ったが、その理由は。
□大学卒業後、月光仮面のPRの仕事に就き、その後作詞家に転じた阿久悠。
□ウルトラマンはキリコの絵画にみられる卵型の顔とギリシャ彫刻のアルカイック・スマイルの統合されたものだそうだが(実相寺昭雄氏の的確な指摘!)、その他のヒーローも欧米のアートや映画などの影響下にあるのに、月光仮面の月光が月光菩薩に由来し、ターバンに月というアジア風味なデザインなのは何故か。
□「月光仮面」と「おふくろさん」に通底するものとは。
□大瀬康一の康は川内康範の康。

前述のように本書は単なるオタクな話題をまとめたものではありません。「あの時代」を知る人たちには一読の価値あり、と思います。