88枚目 生物学者の福岡伸一さん
■ 昨日(4日)の午後、安曇野市三郷公民館で行われた福岡伸一さんの講演を聞いた。
福岡さんは子どものころ買ってもらった顕微鏡でチョウの鱗粉を観て、その美しさに魅せられたことや、顕微鏡について本でいろいろ調べて1632年にオランダの小都市デルフトで生まれたアントニ・レーヴェンフックという在野の科学者が考案したことを知り、同じ年に同じ町で画家のフェルメールが生まれていることも知ったという。はじめにこのようなエピソードを語り、専門の分子生物の話に入っていった。
1時間半の講演は機械論的な生命観から動的平衡という見方に至った過程の話しがメインで、最後の20分くらいはフェルメールの絵にも触れていた。
動的平衡という生命観・自然観は鴨長明が方丈記の冒頭に書いた有名な下りに代表されるように、日本人が抱いている無常観に通じていて日本人的な見方だな、と福岡さんの著書を読んだときから思っていた。
驚いたのはこの生命観を緻密な実証実験を通じて得て「生命は機械ではない、生命は流れだ」という言葉を残したルドルフ・シェーンハイマーという科学者がいたということ。
福岡さんはGP2という遺伝子をDNAから切り取って、残りの部分をつなぎ合わせてGP2ノックアウトマウスをつくり、GP2の役割を調べるという研究を通じて、それまでの機械論的な生命観から動的平衡という見方に至ったという。
講演は理解しやすい画像を映しながら進められた。
講演終了後に行われたサイン会でプライベート名刺をお渡しし、開演前に買い求めた『せいめいのはなし』 新潮文庫の中表紙にサインしていただいた。
この本、既読感があるなと思ったが、単行本で読んでいた。「せいめいのはなし」 ←過去ログ