透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「遠くからの声」

2018-07-08 | A 読書日記

 松本清張短編全集 全11巻を読んでいる。既に9巻読み終え、残すところあと2巻となった。第8巻『遠くからの声』を読み終えたが、収録されている8作品では「いびき」と「一年半待て」がおもしろかった。

「いびき」

**「仙太、おめえのいびきは娑婆にいる間は泰平だがの、いったん牢にへえったら、無事にはすまねえぜ。」**(129、130頁)
**「いびきの高え奴も同じこと。おれの知った奴ぁ、ただの一晩でうるさがれて、あくる朝は仏さまに早変わりよ。(後略)」**(131頁) 仙太はつまらぬことから博打うちを一人殺し、牢屋入りに。一晩でも無事に牢屋の中で過ごせるかと思うと気が気ではない。

奉行所の判決で三宅島遠島となり、仙太は喜ぶ。いびきがうるさいからといって殺されることはない。三宅島では平穏な日々が続く。だが半年後・・・。

「一年半待て」

裁判の一時不再理、判決の確定したものに対しては、あとで被告に不利な事実が出てきても裁判のやり直しはしない。このことを逆手に取った女。夫に嫌気がさし、別の男に好意を抱いた女がしたこととは・・・。


松本清張は発想力・構想力に秀でた作家だった、と思う。


「ユア・アイズ・オンリー」

2018-07-08 | E 週末には映画を観よう

週末には映画を観よう

■ 今朝(8日)1981年公開の007シリーズ「ユア・アイズ・オンリー」を観た。

漁船を装ったイギリスのスパイ船がアドリア海(たぶん)で活動中、機雷で沈没。この船にはミサイル誘導装置・ATACが搭載されていたから、さあ大変。イギリスは海洋学者にATACの引き上げを依頼するも学者夫婦は作業中に銃殺されてしまう。そこへソ連が出てきてATACを入手しようとする。で、ボンドにATAC回収指令が。

ボンドガールのメリナは海洋学者の娘で超美人。彼女は殺害された両親の復讐を誓っている。ボンドと出合ってその日にというお決まりの流れにならないところが好い。また、ボンドに一目ぼれした女の子(オリンピックで優勝を目指すフィギュアスケートの選手)の誘惑を無視するところも好い。

例によってカーチェイスあり、スキーチェイスあり。加えて本作はロッククライミング、海中アクションまである。CGを多用する昨今の映画界だが、これらは、スタントの演技による実写だから凄い。

ロジャー・ムーアが演ずるボンドのドタバタ喜劇的と書けば書き過ぎかな・・・、そんな作品も好きだが、本作はそのようなテイストが無い。

ミッション完了後、ボンドはイギリスのサッチャー首相(本当によく似ていた)のお礼の電話を無視、メリナと