透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

脚の形の分類(追記、再掲)

2023-01-03 | A 火の見櫓っておもしろい

 火の見櫓の脚の形状の分類と名称考えてきた。

脚の形状分類について考えていた時、ふとスカートの分類はどうなっているんだろう、と気になって調べてみた。スカートは丈(長さ)とデザイン、素材という3つの観点から分類される。丈は膝より短いのか、長いのかということから、ミニ(ひざ上)、ひざ丈、ミディ、ミモレ、ロング、マキシなどと分類されている。ファッションには疎いので、ミモレという名前は知らなかった。

デザインによる分類にはいくつかあるが、Aラインスカートという呼び名に注目した。アルファベットの「A」のように裾に向かって広がるシルエットのスカートのこと、という説明がある。形に注目した名前は参考になるだろう。素材は火の見櫓の場合は鉄に限定される(木やコンクリートなどの例外はあるが)。余談だが、好きなスカートの形はミモレ丈のフレアスカート。

火の見櫓の形の名前で、ショートアーチとロングアーチは補強部材の長さと形から考えた。スカートの名前からの連想で膝上アーチなどという名前も浮かんだが、ショートとロングという対義語が好ましいと考えたので採用しなかった。ショート三角、ロング三角という名前はなかなか浮かばなかったが、Aラインというスカートの名前がヒントになった。


櫓部分と同じように交叉ブレースを各構面に設けているタイプの名前はなかなか思いつかなかったが、ふっと雪囲いという名前が浮かんだ(過去ログ)。雪囲いは多雪地帯で雪による被害を防ぐために民家の外壁に設置する。上掲写真のようにブレースで囲まれているので「ブレース囲い」とした。火の見櫓の製作者に脚まわりを囲うという積極的な意図はないと思うが、結果としてそうなっている。ブレース囲いの場合、脚は無いという考えに今も変わりはないが、便宜的に脚の分類に含めることにした。

なお、火の見櫓のタイプをしばらく前までは4脚44型というように脚の数で捉えていたが、脚の型も分類することにしたので、捉え方を脚から柱に変更した。

   
たばね脚という名前もなかなか浮かばなかった。右のショートアーチとどこが違うのか・・・。アーチ部分は同じだが、左はそのまま柱と一体化して下端まで伸ばしている。柱材と補強材の一体化・・・。束ねるという言葉が浮かんだ。3本の部材に束ねるという言葉を使うのはどうか、束ねるのは5本、10本ともっと本数が多い場合に使うのではないのか・・・。他にもっとふさわしい言葉があるのでは、と考えてみたが、なかなか浮かばず、「ま、いっか」と決めてしまった。

以下に型の名前を載せる。



① 開放 


   
② ブレース囲い 左:片掛けブレース 右:交叉ブレース


 


③ ショート三角脚



④ ロング三角脚



⑤ ショートアーチ脚



⑥ ロングアーチ脚



⑦ 束ね(たばね)脚



⑧ トラス脚


⑨ 複合型 ①~⑧の組合せであることから、次の例の様に名付ける。

     
ブレース囲い前束ね脚  ブレース囲い前トラス脚


これからは火の見櫓の型に脚の型を加えて次のように表記する。

4柱44型ロング3角脚



3柱66型ショートアーチ脚


脚の形状の分類は論理的に演繹することが難しく、今まで観察した数多くから帰納的に導き出した。まだまだ見たことがない形も当然あると思う。網羅的ではないが、未見の形と出合ったとき、またあれこれ考えよう。 しかし、そうなるといつまで経っても分類が完結しない・・・。

初稿2022.08.27 


 


火の見櫓の形の名称

2023-01-03 | A 火の見櫓っておもしろい

 
左:長野県茅野市北山 3柱梯子         右:長野県朝日村 3柱1構面梯子櫓 

 左右の火の見櫓を同形とするかどうか。

どちらも柱が3本で正面は梯子ということは共通している。、櫓そのものの違いを観たい。櫓の最も基本的な構成要素である柱について、左(茅野市北山)は梯子の支柱2本と後ろの柱が主従関係にあるように見える。それに対して右(朝日村)は直感的に3本の柱は構造的に等価、主従関係があるようには見えない。これは屋根と見張り台の有無がこのような印象を抱かせるのかもしれない。いや、単なる印象ではなく、櫓の上に屋根と見張り台を載せるとなると、柱3本がその荷重を均等に負担しないとバランスしない。3つの構面の内、1つは梯子を形成しており、2つは横架材間にブレースを設置した一般的な構面が形成され、櫓として一体化している。

以上のことから両者を同形扱いにはしない。で、左は3柱梯子、右は柱3本の櫓で1構面が梯子の櫓で1構面梯子3柱櫓としたい。なお、柱4本で2構面が梯子の場合は2構面梯子4柱櫓と表記できる。

前稿からの考察をまとめると、火の見櫓の形は次のように分類できる。

・柱1本:火の見柱(*1) 
・柱2本:火の見梯子 
・柱3本、4本:火の見梯子控え柱付き 3柱梯子 1構面梯子3柱櫓(2構面梯子4柱櫓など) 柱4本で4つの構面がすべて梯子の場合は4構面梯子4柱櫓と呼称する。
・その他


 
茅野市豊平 火の見柱梯子掛け
*1 一見火の見梯子に見えるが、太い鋼管の柱の火の見柱に梯子を設置している。