■ 火の見櫓の脚の形状の分類と名称考えてきた。
脚の形状分類について考えていた時、ふとスカートの分類はどうなっているんだろう、と気になって調べてみた。スカートは丈(長さ)とデザイン、素材という3つの観点から分類される。丈は膝より短いのか、長いのかということから、ミニ(ひざ上)、ひざ丈、ミディ、ミモレ、ロング、マキシなどと分類されている。ファッションには疎いので、ミモレという名前は知らなかった。
デザインによる分類にはいくつかあるが、Aラインスカートという呼び名に注目した。アルファベットの「A」のように裾に向かって広がるシルエットのスカートのこと、という説明がある。形に注目した名前は参考になるだろう。素材は火の見櫓の場合は鉄に限定される(木やコンクリートなどの例外はあるが)。余談だが、好きなスカートの形はミモレ丈のフレアスカート。
火の見櫓の形の名前で、ショートアーチとロングアーチは補強部材の長さと形から考えた。スカートの名前からの連想で膝上アーチなどという名前も浮かんだが、ショートとロングという対義語が好ましいと考えたので採用しなかった。ショート三角、ロング三角という名前はなかなか浮かばなかったが、Aラインというスカートの名前がヒントになった。
櫓部分と同じように交叉ブレースを各構面に設けているタイプの名前はなかなか思いつかなかったが、ふっと雪囲いという名前が浮かんだ(過去ログ)。雪囲いは多雪地帯で雪による被害を防ぐために民家の外壁に設置する。上掲写真のようにブレースで囲まれているので「ブレース囲い」とした。火の見櫓の製作者に脚まわりを囲うという積極的な意図はないと思うが、結果としてそうなっている。ブレース囲いの場合、脚は無いという考えに今も変わりはないが、便宜的に脚の分類に含めることにした。
なお、火の見櫓のタイプをしばらく前までは4脚44型というように脚の数で捉えていたが、脚の型も分類することにしたので、捉え方を脚から柱に変更した。
たばね脚という名前もなかなか浮かばなかった。右のショートアーチとどこが違うのか・・・。アーチ部分は同じだが、左はそのまま柱と一体化して下端まで伸ばしている。柱材と補強材の一体化・・・。束ねるという言葉が浮かんだ。3本の部材に束ねるという言葉を使うのはどうか、束ねるのは5本、10本ともっと本数が多い場合に使うのではないのか・・・。他にもっとふさわしい言葉があるのでは、と考えてみたが、なかなか浮かばず、「ま、いっか」と決めてしまった。
以下に型の名前を載せる。
① 開放
② ブレース囲い 左:片掛けブレース 右:交叉ブレース
③ ショート三角脚
④ ロング三角脚
⑤ ショートアーチ脚
⑥ ロングアーチ脚
⑦ 束ね(たばね)脚
⑧ トラス脚
⑨ 複合型 ①~⑧の組合せであることから、次の例の様に名付ける。
ブレース囲い前束ね脚 ブレース囲い前トラス脚
これからは火の見櫓の型に脚の型を加えて次のように表記する。
4柱44型ロング3角脚
3柱66型ショートアーチ脚
脚の形状の分類は論理的に演繹することが難しく、今まで観察した数多くから帰納的に導き出した。まだまだ見たことがない形も当然あると思う。網羅的ではないが、未見の形と出合ったとき、またあれこれ考えよう。 しかし、そうなるといつまで経っても分類が完結しない・・・。
初稿2022.08.27