透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

カフェで本を語る

2024-11-11 | A あれこれ

 塩尻市立図書館が中心となって開催している「本の寺子屋」は今年(2024年)で13年目とのこと。昨日(10日)関川夏央さんの「司馬遼太郎『坂の上の雲』の方法と、それが書かれた時代」と題した講演が行われた。私は関川さんの語り口が好きで、講演を聴きたいと思っていた。ここでは講演内容については触れない。ちなみに次回12月1日のねじめ正一さんの講演会が今年度最後。

講演会の後、高校の同期生5人で会場近くのカフェでおしゃべりをした。みんな読書好きということで、話題になったのは好きな作品などについて。

同じクラスだったKさんは中学1年の時、谷崎潤一郎の『痴人の愛』*1 を読んだとのこと。中1で『痴人の愛』か・・・。僕はというと、中2で松本清張の『砂の器』だから、読書体験が随分違う。他には横溝正史だったかな? 江戸川乱歩? メモしておかないと・・・。

Iさんは浅田次郎の作品が好きとのこと。浅田次郎の涙小説は僕も好き。

Tさんは高1の教科書に載っていた柳田國男の「清光館哀史」が印象に残っているそうだ。僕はこの作品を読んだ記憶が全くない。調べると、岩波文庫の『日本近代随筆選 1』に収録されている。丸善にあるかな。青空文庫で読むことができることも分かった。

僕が覚えているのは丸山真男の「「である」ことと「する」こと」という文章。*2 このことを話すとTさんも覚えていた。他にTさんは福永武彦の「草の花」*3 を挙げた。僕にとって「忘却の河」と「草の花」は忘れることができない作品。

さて、S君が挙げたのは、何だっけ・・・。司馬遼太郎の『竜馬がゆく』*4 だったかな。僕が最初に読んだ司馬作品は直木賞を受賞した『梟の城』だった。

今年2024年は安部公房生誕100年。安部公房の作品を読んでいると話すと、難しくないですか、とIさん。演劇部が安部公房の戯曲「友達」を上演したことはみんな覚えていた。 

司馬遼太郎と藤沢周平、このふたりは対比的に評される。僕は藤沢作品では新潮文庫の『橋ものがたり』*5 に収録されている短編「約束」が好きだ。**「約束を、忘れなかったのか」「忘れるもんですか」激しく、ほとんど叫ぶようにお蝶は言った。**(37頁)何年か前、倍賞千恵子の朗読でここを聴いて泣いてしまった。

高校生活や本のことは話がつきない。気がつけば5時半。外は暗くなっていた。で、「カフェでおしゃべり」はお開きに。次回も楽しみ・・・。


*1 僕が『痴人の愛』を読んだのは40代のときだった。
*2 岩波新書の『日本の思想』に収録されている。手元にあるのは1980年3月に購入した本。
*3 『草の花』新潮文庫。手元にあるのは1981年9月に購入した本。
*4 司馬遼太郎の文庫はすべて古書店に引き取ってもらったので『竜馬がゆく』もない。
*5 藤沢作品では『橋ものがたり』だけまた買い求めた。


 


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