透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「マナベの「標語」100」を読んだ。

2019-12-02 | A 読書日記

   

 『マナベの「標語」100』真鍋恒博/彰国社を読んだ。著者は私の大学時代の恩師。先日、私の本と交換していただいた(過去ログ)。

この本の内容は「研究生活心得帖」と括ることができるだろう。

今はどうなっているのか分からないが、私が学生のときは4年生になると卒業論文を書くために指導教官の研究室に所属して、少しイメージは違うがクラブの部室のように研究室に入り浸ることになっていた。私は本の著者、真鍋先生の指導のもと、卒業論文、修士論文をまとめた。

先生の指導は研究の進め方はもちろん、会議の仕方や書類作成のルール、文章の書き方、データのまとめ方、研究発表の方法、更に日常生活にまで及び、私が所属していた初期の段階から、これらの内容を「標語」として簡潔にまとめていた。**しつこく言えばカドが立つ 「標語」で諭せば話が早い**(本書の帯の文からの引用)というわけだ。

この本には研究室に蓄積された標語が100項目に整理されて掲載されている。

以下に標語をいくつか例示する。

・作業場所では飲み食いするな(002)
・写真は撮ったらすぐ整理(013)
・整理は置き場所決めること(016)
・無駄な会議は時間の浪費(022)
・点とナカグロ区別せよ(058)
・分類は網羅的・排他的に(081)
・分類軸はT字型(085)
・目次は中身の分類表(091)

この中では「分類軸はT字型」の意味するところが分かりにくいだろう。

これは研究論文では研究対象の総体・全体像を把握して概要を論じてから、具体例を取り上げて詳細に論述せよ、という教えだ。この全体像を広くということは  と可視的にイメージされ、具体例を深くということは  とイメージされるので、両者合わせてT字型となるというわけだ。

私の本「あ、火の見櫓!」も研究室時代に身につけたノウハウを活かして書いたつもりだ。このことについて具体的には示さないが総論から各論へ、全体像から部分へという構成を意識して書いた。

研究室の後輩のK君がこの本を読み始めて上記のような構成になっていることに気がつき、「体系的」だと評してくれた。先生からもメールでお褒めのことばをいただいた。その結びに**続編に期待しますぞ。**とあった。

時々『マナベの「標語」100』を読み返すことにする。


 

 


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