透明タペストリー

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火の見と消防庫 どっちが先?

2022-09-05 | A 火の見櫓っておもしろい

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取材日 2022.08.25

 上田市真田町長の戸沢地区に立っているこの火の見櫓は今月(9月)12日から解体が予定されている。雨天でイルミネーションの取り外し作業が予定通り行われなければ、解体作業は後ろにずれ込む、と自治会長の宮島さんから連絡していただいた。

この火の見櫓の労をねぎらい、感謝の気持ちを表そうと計画されたイルミネーションの点灯が先月(8月)下旬に行われたことは拙ブログでも紹介した。この好企画をNHKでも民放のSBCでも更に地元のケーブルテレビでも取り上げていた。







さて、本稿で紹介したいのは消防庫の奥に展示されていた火の見櫓建設の様子を撮影した写真。写真③には「昭和36年4月 建設中の火の見と消防庫」というキャプションが付けられている。昭和36年(1961年)に建設された火の見櫓が還暦を過ぎて引退・・・。

③に消防庫に寄りかかるような状態の火の見櫓が写っている。④で櫓の接合部をで示したが、③を見ると、接合部から下側、垂直の柱が既に建てられている。梁も架けられ、最下段(消防庫のブロック積みの壁のところ)の交叉ブレースも取り付けられている(工事用の梯子のところにリングが写っている)。



③に写っている建設地の後方の山が④にも写っていることから、③は④と同じ方向から撮影されたことが分かる。

柱の垂直部分が屋根の軒を貫通していて軒下では露出している「プチ貫通櫓」の場合、問題「火の見と倉庫、どっちが先?」の答えは「同時」が正解のようだ。これまで「火の見が先」、と考えていた。火の見が先で倉庫が後が正解で、この火の見は例外。用心深く考えればあり得なくもない。だが、これが正解としておきたい。③では屋根のボールトスラブのコンクリート打設がこの段階で既に終っているのか判然としないが、打設前でも後でも答えは変わらない。

③の状態からどのように火の見櫓を建てたのだろう・・・。クレーンで吊り上げて、上下の柱の接合部を一致させて第三の山形鋼部材をあててボルト止めすればそれ程困難ではないだろうが、高さ16mの火の見櫓の建て方となると大型クレーンが必要だが、当時既にクレーンはあったが小型で大型クレーンはまだなかったのでは。小型クレーンも全国にどのくらい普及していたのか、私は知らない。人力で建てたとなると、その方法が全く分からない。この時の様子を覚えている人が見つからないかなぁ。


柱脚の固定状況 コンクリート基礎から立ち上げた山形鋼の短材(呼び名は分からない)の外側にやはり山形鋼の柱脚を重ねて計8本のボルトで接合している。このような固定を時々見かける。


 



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