■ なぜ墓地に枝垂桜があるのだろうと何年も前から思っていた。他県のことは分からないが、長野県内の墓地には枝垂桜があることが多い。今月4日の朝刊に掲載された県立歴史館館長 笹本正治氏の「しなの歴史再見」は私の長年のなぜ?に答える内容だった。
**柳田国男は、著書「信州随筆」に(中略)樹木の枝が垂れる現象に昔の人が特別の力を感じ、神霊や魂が宿る所だと理解し、死者をまつる場所に枝垂桜が植えられたと記した。**
**柳田は「信濃桜の話」でも(中略)昔の人は大空を行く神霊が地上に降りて来ようとする時、特に枝の垂れた樹木を選ぶと理解したのだとした。**
**県内の墓地にある墓石のほとんどは江戸時代の17世紀半ば以降のもので、多くの家で墓石を代々持ち続けるようになるのは18世紀になってからである。県内にあるお墓の枝垂桜の古木はほぼ同じ時期に植えられたように感じる。先祖の霊が留まると認識された枝垂桜は、墓石とともに信州人の先祖意識がいつごろできたのかを物語る証人ともいえよう。**
なるほど!
18年4月4日付信濃毎日新聞朝刊文化面