透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「東北―つくられた異境」

2013-01-13 | A 読書日記



 『東北―つくられた異境』 河西英通/中公新書を読み終えた。中公新書は総じて中身が濃く、2時間で読了、というわけにはいかない。本書も2日からのこま切れ読書でようやく読み終えた。

終章の冒頭にまとめられている本書の総括。**近世後期から明治末期までの約120(筆者注:本文では漢字表記)年におよぶ東北の自己認識と他者認識の相克を、論の展開として追ってみました。あらためて驚くことは、をめぐる語り口は実に多様であったということです。**(184頁)

東北地方の新聞や機関誌(共に多くは明治時代のもの)の論説をはじめ、厖大な資料を丹念に読み解いて明らかにした「東北」像。書名に注意深く「異境」というニュートラルなイメージの言葉を用いて、東北の負のイメージだけではない多様性を表現している。

東北旅行ということばはあっても中部旅行ということばが無いのは何故か?東北を一つに括ってしまう傾向が未だあるのは何故か?本書からこのような疑問の回答も読みとることもできる。

食わず嫌いならぬ読まず嫌い解消というのも、今年の課題。本書はそのための1冊。


 


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