透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

ブックレビュー 1401

2014-02-02 | A ブックレビュー

 

 ここ何ヶ月読書時間が減って、いまや隙間時間でしか本を読まなくなってしまった。で、1月の読了本はこの3冊のみ。

『空海の風景 上』 司馬遼太郎/中公文庫 

昨年末に再読を始めた上巻を読み終えた。

上巻のカバー裏面の本書紹介文に**平安の巨人空海の思想と生涯、その時代風景を照射して、日本が生んだ最初の人類普遍の天才の実像に迫る。**とある。遣唐使船で目的地より遥か南方に流れ着き、そこから長安に上る経緯は空海が天才を思わせるに十分な活躍で感動的だった。

司馬遼太郎が**空海という、ほんの一年か二年前までは山野を放浪する私度僧にすぎなかった者が、幕を跳ねあげるようにして歴史的空間という舞台に出てくるのは、この瞬間からである。**(264頁)と書いている箇所があるくらいだ。

帰国後の最澄と空海との生きざまの違い(再読でふたりの生きざまの比較に随分紙幅を割いていることに気が付いた)にも空海の天才ぶりが表れている。

今年11月、高野山に出かけることになっている。それまでに『般若心経講義』も読んでおきたい。

『成長から成熟へ』 天野祐吉/集英社新書

NHKラジオの早朝番組で天野さんの「隠居大学」を聴いていた。昨年の秋に亡くなった天野さんが日本人に遺したメッセージ。書名がこの国のこれからのありようを示している。右肩上がりの経済成長を前提とする社会なんてもうあり得ない・・・。

『小さいおうち』 中島京子/文春文庫

隙間時間ではなく、休日まとまった時間を割いて一気読みした。描かれている日常から「昭和」を感じる作品。山田監督がこの作品をどのような映画にしたのか観てみたい。



 


457 朝日村の古い火の見櫓

2014-02-02 | A 火の見櫓っておもしろい

 
457 「大正14年ガソリンポンプ購入放水披露」

 朝日村の開村100年を記念する冊子を入手した。明治22年に開村した朝日村の100年間の歩みをまとめた20年以上も前の冊子だ。掲載されている何枚かの写真の中にこの写真があった。丸太を組んだ火の見櫓が写っている。大正14年というと今から89年前になる。当時の村の様子を記憶している人は年齢的にごく少数だろう。

火の見櫓はてっぺんまでは写ってはいないが、様子から高さは16、7メートル程度か。丸太梯子に支えの丸太柱を組んだ簡素なつくりだ。横架材で3本の丸太柱を繋いでいることが分かる。

この火の見櫓はいつ建てられ、いつ解体されたのだろう・・・。

写真には妻面を向けた蔵とその両側に杮(こけら)葺き石置き屋根が写っている。当時の村役場の屋根も同じ構法だったことが冊子の別の写真で分かる。

この火の見櫓は役場の近くに立っていたのかもしれない。蔵が今でも残っていれば場所が特定できるのだが・・・。