■ ここ何ヶ月読書時間が減って、いまや隙間時間でしか本を読まなくなってしまった。で、1月の読了本はこの3冊のみ。
『空海の風景 上』 司馬遼太郎/中公文庫
昨年末に再読を始めた上巻を読み終えた。
上巻のカバー裏面の本書紹介文に**平安の巨人空海の思想と生涯、その時代風景を照射して、日本が生んだ最初の人類普遍の天才の実像に迫る。**とある。遣唐使船で目的地より遥か南方に流れ着き、そこから長安に上る経緯は空海が天才を思わせるに十分な活躍で感動的だった。
司馬遼太郎が**空海という、ほんの一年か二年前までは山野を放浪する私度僧にすぎなかった者が、幕を跳ねあげるようにして歴史的空間という舞台に出てくるのは、この瞬間からである。**(264頁)と書いている箇所があるくらいだ。
帰国後の最澄と空海との生きざまの違い(再読でふたりの生きざまの比較に随分紙幅を割いていることに気が付いた)にも空海の天才ぶりが表れている。
今年11月、高野山に出かけることになっている。それまでに『般若心経講義』も読んでおきたい。
『成長から成熟へ』 天野祐吉/集英社新書
NHKラジオの早朝番組で天野さんの「隠居大学」を聴いていた。昨年の秋に亡くなった天野さんが日本人に遺したメッセージ。書名がこの国のこれからのありようを示している。右肩上がりの経済成長を前提とする社会なんてもうあり得ない・・・。
『小さいおうち』 中島京子/文春文庫
隙間時間ではなく、休日まとまった時間を割いて一気読みした。描かれている日常から「昭和」を感じる作品。山田監督がこの作品をどのような映画にしたのか観てみたい。