透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「滅びゆくものへの賛歌」

2020-04-08 | H 「あ、火の見櫓!」





■ 安曇野在住の作家・永田浩幸さん(過去ログ)には『あ、火の見櫓!』(プラルト2019)を中日新聞の「旬」という月1回発行のタブロイド紙で紹介していただいた(2019.11)。

『安曇野文芸』は1998年に創刊された文芸誌で年2回、4月と10月に発行されている。この雑誌の最新号(2020年4月号)に永田さんの「滅びゆくものへの賛歌」と題した作品が掲載されている。この作品でも『あ、火の見櫓!』を取り上げていただいた。

「滅びゆくもの」と火の見櫓の現状をズバリ表現されると、もちろんその通りなのだが、現実を直視したくない者としては寂しい気持ちになるのも事実。

で、「賛歌」。「賛歌」と聞くと「雪山賛歌」という歌が浮かぶが、この賛歌とはほめたたえる気持ちを表す歌のこと。「滅びゆくものへの賛歌」、なるほど確かに。私の現在の火の見櫓に対する気持ちを的確に表現したタイトルだと思う。**次々と姿を消していくもの。だから愛おしい。**(75頁)

永田さんも本を読んでから火の見櫓が気になるようになったと書いておられる。発見した時は、なんだかうれしかったとも。

嬉しい。


 


ブックレビュー 2020.03

2020-04-05 | A ブックレビュー

480

 3月は『本所おけら長屋』畠山健二(PHP文芸文庫)二から五の4巻を含め、9冊読んだ。不要不急の外出を控えようという意識が働いて、休日の在宅時間が長かったことも無関係ではないと思う。

備忘録として読了本を載せておく。

『大和古寺風物誌』亀井勝一郎(新潮文庫1953)
『仏像と日本人 宗教と美の近現代』碧海寿広(中公新書2018)
『空海に学ぶ仏教入門』吉村 均(ちくま新書2017)
『気象予報と防災 予報官の道』永澤義嗣(中公新書2018)
『本所おけら長屋』二~五 畠山健二(PHP学芸文庫)
『アンドロメダ病原体』マイクル・クライトン(ハヤカワ文庫)


 


新型コロナウイルス感染拡大

2020-04-05 | D 新聞を読んで

 信濃毎日新聞4月5日付朝刊の一面のトップ記事の見出しは  都内 新たに118人感染 1日で初 3桁確認 
  
この記事のリード文によると、東京都で4日に新たに118人の感染者が確認され、その内の7割近くに当たる81人の感染経路が不明だという。入院が必要な感染者は817人に増加したのに対し、東京都は約900床の病床を確保したとのこと。だが、この数では直ちに満床になることは明らか。

同新聞の7面には新型コロナ感染者受け入れ 独 集中治療病床1万超確保という見出しの記事が掲載されている。記事には**日本集中治療i医学会によると、人口10万人当たりの集中治療病床数はドイツの約30床に対し、日本は約5床。医療スタッフ数などを踏まえると、新型コロナの重症患者を受け入れられるのは千床以下の可能性があり、集中治療体制の崩壊が「非常に早く訪れると予想される」と警告している。**とある。

一昨日(3日)の信濃毎日新聞の2面には布マスク配布「税金の無駄」という見出しの記事が掲載された。全国の約5千万世帯に布マスク2枚ずつ配布するのに数百億円の費用がかかるとのこと。この記事の結びは元三重県知事の北川正恭氏の**「費用対効果が非常に薄い。医療従事者向けのマスクや防護服、人工呼吸器の提供に全力を傾けるべきだ」**というコメント。

布マスク配布が国民に対する感染対策として「国が総力を挙げて練り上げた最優先の対策」だとしたら、悲しい、切ない。我が僻村ではボランティアを募ってマスクを約千枚つくり、小学校と保育園に提供した。マスク配布はこの様な各自治体とか、地域ごとのボランティア対応で良いのでは。

重症患者を救うこと、感染拡大を防ごうと停職している人たちをはじめコロナ禍で日々の生活が困窮している人たちを救うことに最優先で取り組んで欲しい。

全世界的な感染拡大はやがて終息するであろう、それが1年後か2年後なのかは分からないが。その時、各国がこの見えない「敵」に対してどのような対応をしたのか比較し、検証が行われるだろう。台湾はどうであったか、韓国は、中国は、アメリカは、ロシアは、ドイツは、フランスは、イギリスは、イタリアは、スペインは、・・・。

日本の対応はどのように省みられることになるのだろう、将来への備えとして日本が採った対応が各国に共有されるだろうか。参考にしてはならない対応だった、とならないことを切に願う。

*****

国の対応を云々する前に自分が採るべき対応を考え、実行せよ、と内なる声が・・・、確かに


 


「アウトブレイク」

2020-04-04 | A 読書日記

360

 朝カフェ読書@スタバで『アウトブレイク 感染』ロビン・クック(ハヤカワ文庫1988)を読む。40代で一度読んでいる医学サスペンス長編。

過去にアフリカでしか流行しなかったエボラ出血熱がロサンゼルスで発生、やがて第二、第三の都市でも発生・・・。

読むなら今。


スタバでは大型テーブル席ではなく、ふたり掛けの席で読む。出入りは手動ドアではなく自動ドアで。店内に置かれた消毒液を必ず使う。


「非常識な建築業界」を読む

2020-04-02 | A 読書日記

320

 ある方のおすすめ本『非常識な建築業界』森山高至(光文社新書2016)を読んだ。書名通りの内容。全5章から成る本書の章立ては次の通り。

第1章 非常識なコンペ 新国立競技場問題は「よくある話」
第2章 非常識な建築史 建築はなぜ「どや顔」をするようになったか
第3章 非常識な建築家 オリジナルでなければ建築ではない!?
第4章 非常識な建設現場 ゼネコンという名の総合商社
第5章 非常識な建築論 建設業界にも「常識」はある

本書のサブタイトルは「どや建築」という病だが、この「どや」は「どや顔」の「どや」(ってなんだかわかりにくい文章)。以前私はブログに「ドーダの建築 過去ログ」という記事を書いた。どやとドーダは同じ意味。だから、第2章を興味深く読んだ。

敢えて具体的には書かないが、全くその通りと同意できる指摘と、なんだかなあ、と同意できかねる指摘もあった。

さて、『アウトブレイク 感染』ロビン・クック(ハヤカワ文庫1988)に戻ろう。