透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

付け焼刃ではだめなのか

2024-10-18 | A あれこれ

 広辞苑で付け焼刃の意味を知らべると、**一時その場を間に合わせるために俄かに習い覚えること。また、その覚えた知識。**とある(第二版補訂版(1979年))。

「付け焼刃」即ち「短期間で俄かに得た知識や対応」は好ましくないという考え方は、時に今の時代に合わない見方にもなるのではないだろうか。

俄かに得た知識は確かに軽視されがちだが、今やインターネットを適切に使えば、すぐに様々な質の良い知識を得ることも可能な時代だ。むしろ、現代の目まぐるしい情報社会では効率的に知識を得ることが重要視され、またそのような必要に迫られることも少なくない。昔のように、例えば図書館に通い詰めて、苦労していろんな文献をじっくり調べ、時間をかけてようやく必要な知識に辿り着くことが必ずしも優れた方法ではなくなってきている。

冷凍食品を使ったお弁当のおかずを例に挙げよう。かつては手間隙かけた例えば手作りハンバーグに比べて、冷凍食品のハンバーグを使ったお弁当は愛情不足などと、否定的な考え方が間々あった。しかし今ではその手軽さが多くの家庭に受け入れられ、重宝されている。同様に知識の入手方法についても今は効率が重視され、短期間で有用な情報を収集することが求められるケースが多い。医師から聞いたこともないような病名を告げられ、インターネットでその病気について調べて、次の診察の際、医師に訊く。小説を読んでいて、行ったことのない地方の町が出てきたので、その町についてネットで調べて情報を得る。このように俄か勉強で知識を得ることは日常生活でもよくする。

加えて、俄か勉強で情報を得て対応する他ない、というケースも時に起こる。もう何年も前のことだが、ある設計プロポーザルに取り組んでいた時のこと。プレゼンテーション当日の朝、説明にパワーポイントを使っても構わないという情報が急にもたらされた。午前中の短時間でそれこそ付け焼刃でなんとか準備した資料を用いて、私たちはぶっつけ本番で午後のプレゼンに挑んだ。じっくり時間をかけて資料を集めて、パワーポイントをつくることなど、とてもできる状況ではなかった。だが、むしろその場に応じた迅速かつ柔軟な対応が功を奏し、私たちの提案が採用された。

このように、短時間で得た情報・知識を用いての対応がどのようなケースでも好ましくないということはないのだ。

付け焼刃はとにかくダメ、という一面的な考え方には異を唱えなければならない。残念ながら付け焼刃にはネガティブな、そう否定的なイメージがある。ものは言いようだ。なにか別の呼び名はないものだろうか。

「所詮は付け焼刃」などと否定的な見解を示す前に、前述した迅速かつ効率的な情報収集や状況への柔軟な対応が求められるケースにおいて、その価値、その有用性を改めて考えるべきではないか。


拙ブログでは引用箇所を**で示している。


なぎさデイ

2024-10-17 | A あれこれ

新村駅でツーショット、ダブルなぎさ。

 
初代なぎさ(左)と2代目なぎさ(右)

 今日10月17日は上高地線の下新駅に時々現れる小さな古本屋「本の駅・下新文庫」の日だった。午前中に出かけてきた。

行きの新村駅から下新駅までは初代なぎさTRAIN、帰りは2代目のなぎさTRAINだった。 

夕方、仕事帰りに奈良井川橋梁を通過する初代なぎさTRAINに会った。

今日はなぎさデイだった。明日は何か好いことがあるだろう。

秋の二八会

2024-10-15 | A あれこれ

 昨日(14日)の夕方4時から二八会の飲み会があった。


二八会のたまり場 


キノコ採りの名人・NN君がマツタケを気前よく提供してくれた。 

ちなみに写真①の左下だけ、香茸というキノコ。同じキノコでも地域や人によって呼び名が違うことがある。香茸という名前をはじめて知った。


写真①の右下の袋の中 15本くらいのマツタケ。これは、このままホイル焼き。




写真①の上の三つの袋のマツタケは鍋。

買い出しはMS君、ネギはTN君提供、カットしたのは私。珍しくキノコ鍋の味付けも。 自分にもできることを手伝わないと申し訳ないと思って、飲み会が始まる夕方4時の1時間前から鍋の準備をした。


今回は仲間9人参加。飲み会が始まるとテーブルの上はカオスなことになるので、始まる前に撮影。


飲み会の締めはいつもFM君手打ちのそば。彼の腕前は趣味の域を超えている。


そば粉はスーパーあずみ野という銘柄、袋を見せてもらった。右上に「新そば」のスタンプあり。

二八会の仲間とは長い長い付き合いだ。ほぼ全員が保育園からの友だち。気の置けない仲間と語らい、マツタケを味わい、大いに飲む。今回も実に楽しい時を過した。

ぼくも二八会でよかった。しみじみそう思う。二八会の仲間に感謝、感謝。


 


佐久市御馬寄の火の見櫓

2024-10-14 | A 火の見櫓っておもしろい


1524 佐久市御馬寄(みまよせ) 44〇型トラス脚 2024.10.05

 群馬県高崎市倉賀野にある洋菓子店・ミリオンを出発したのは午後1時45分だった。ここ、佐久市御馬寄に着いたのは午後4時30分。その後、立科町から岡谷市に出て、塩尻峠を越え、自宅に着いたのは午後6時32分。走行距離約151km。

スレンダーで随分背の高い火の見櫓で、遠くから見えていた。少し手前にも1基立っていたが、スルーしていた。この火の見櫓も駐車スペースが見当たらず、辛うじてこの1枚を撮った。この日最後の火の見櫓。

梯子桟のピッチ(間隔)が不明だが、仮に0.4mとすると、火の見櫓の総高はおよそ20mになる。細身だから高く見えるのかもしれない、桟のピッチを.035mとすると総高はおよそ18m。

櫓の上部にバルコニータイプの踊り場・カンガルーポケットが設置されている。このカンガルーポケットの平面形は四角だが、前面が半円に近いものもある。この日見た火の見櫓は9基だったが、どれも個性的。

ヤグ活も15年目(2010年5月に始めた)だが、これまで飽きることなく続けてこられた理由として、姿かたちが多様なこと、それぞれの火の見櫓には建設されてから今に至るまでの歴史・物語があることが挙げられる。後者は短時間ではなかなか知ることができないが、そのような存在であることは常に意識している。

火の見櫓は今や絶滅危惧種。だからこそ、ヤグ活して記録に残すことには意義があると思う。これからも続けていきたい。


 


とある小学校の6年1組のホームルーム

2024-10-13 | A あれこれ

「みんな 今日はこれから大事なことを決めてもらいます」
・・・・・
「いいですか、このことに賛成か反対か決めたいんだけど、男子だけに訊きます」
「え~、女子には賛成か反対か聞いてもらえないんですか?」とA子ちゃん。
「いいじゃないか、先生が言う通りにすれば」とクラス委員のB君。

「では、賛成の男子、手を挙げてください」
あ、みんな手を挙げてるな。本当はぼく反対なんだけどな。でも・・・。C君も手を挙げました。

このことって、2組や3組や他の学年の子たちにも聞かなくていいのかな。A子ちゃんはそう思いました。
この時、A子ちゃんは1年生の時に大好きだった担任のD先生から聞いたことを思い出していたのです。

「民主主義って難しいことばがあるけれど、みんなに分かるように言うとね、
民主主義ってね、みんなのことはね、みんなで相談して、みんなで決めましょうってことなんだよ」

放課後の職員室

手芸クラブの先生と文化祭の作品展の相談をしていたA子ちゃん。
担任のE先生が校長先生に「うちのクラスは全員賛成です」と報告する声が聞こえたのです。
「あれ? 男子にしか聞いていないのに・・・」
その時、A子ちゃんはこうも思ったのです。
「2組と3組の先生は忙しそうにしているけど、どうなんだろう。自分たちのクラスでも賛成か反対か、聞かなくちゃいけないのにな、って思っていないのかな」

A子ちゃんは帰りに一緒になった近所の4年生の男の子に訊いてみました。
「え、ぼくそんなこと全然知らなかったよ。担任の先生も話してくれなかったし」

A子ちゃんはその日の夜、高校生のお姉ちゃんにそのことを話してみました。

「え、何それ、信じられない。ねえ、A子ちゃん 選挙の時、お母さんもおばあちゃんも投票に行くでしょ。だけどね、昔はね、女の人は選挙があっても投票ができなかったんだよ。A子ちゃんのクラスの今日の決め方って、昔の選挙の時と同んなじだよ。戦争が終わった年にね、女の人も選挙で投票ができるようにって、法律で決まったんだよ」
「え、本当なの? 」
「その大事なことって、A子ちゃんのクラスだけじゃなくって、全校の子どもたちに相談して決めないといけないんじゃないのかなぁ」


筆者注:この記事の会話はフィクションであることをお断りします。小学校での子どもたちの生活で、ひとつのクラスで、それも男子だけで決めることも可、などということって何かあるだろうか・・・。私には到底挙げることができなくて、会話に取り入れることはできませんでした。



佐久市塚原の火の見櫓

2024-10-12 | A 火の見櫓っておもしろい


1523 佐久市塚原 44〇型ショート3角脚

 44〇型、柱4本で櫓の平面が4角形、屋根も4角形、見張り台が円形が東信地域では最も多く、66%(218/329)を占める。実に3基に2基はこのタイプ。


屋根:カチッとしていて変形しそうにない軒の4隅にくるりんちょとは言えないような半円形の蕨手がついている。半鐘がある。サイレンやスピーカーが無いのは好ましい。

見張り台:手すりは飾りっけ無し。床は井桁状に構成した下地材に幅の狭い平鋼を1方向に敷き並べている。


簡素な踊り場 必要最低限の設え 開口はロング3角型。


補強部材をショート3角に構成した脚部は短脚。南信地域に多く50%を占めるトラス脚と比べると実にシンプル。この潔さは好ましい。


 


安中市松井田町の火の見櫓

2024-10-12 | A 火の見櫓っておもしろい


1521 群馬県安中市松井田町 44〇型 2024.10.05

 午後1時45分 高崎市倉賀野町の洋菓子店・ミリオンを出発。帰りはカーナビのお嬢さんの案内に素直に従うことにした。彼女が示したのは国道18号で軽井沢町に向かうコース。晴れ男効果がすっかりなくなってしまったらしく、天気はあまりよくない。

松井田で出会った火の見櫓はコンビニの駐車場の隣りの敷地に立っていた。コンビニコーヒーで少し休み、火の見櫓を観察した。残念ながら脚部はフェンスの内側からは見ることがっできなかった(写真①)。フェンスの外側に出るようなことをしてはいけない。4本の柱を横架材で繋いでいるが、見た目にその間隔が少し広めかなと思うが、櫓が細めだから、このくらいがちょうど好いのかもしれない。


出来れば無い方が好いでっぱりがあるが、仕方がない。ミリオンの火の見櫓もそうだったが、この火の見櫓も見張り台と比べて屋根が小さい。でも、①の全形写真を見ると、こういうバランスもあり、だと思う。残念ながら半鐘は無く、替わりにサイレンが設置されている。これはよくあるパターン。


櫓の中程にある踊り場。外付け梯子から櫓内に入るための開口にはUを逆さにしたアーチ形の部材が使われている。なかなか好い形。この開口部も私の注目ポイント。


脚が少ししか見えていないが、③と同様の形の部材が使われたロングアーチ脚ではないかと思う。

この先、碓氷バイパスで濃霧のくねくね道路を走行することになるとは・・・。


 


松本城の案内表示板

2024-10-11 | A あれこれ


松本城の案内表示板 これは解り難い・・・。

迷うことなく、天守に行くことができるような案内表示でなければいけないのに、この表示は戸惑う。伝えなくてはならない情報を整理して、できるだけシンプルに分かりやすく表示して欲しいなぁ。

松本城は松本の観光の目玉なんだもん。


 


新たなシンボルとして

2024-10-11 | A 火の見櫓っておもしろい


1520 群馬県高崎市倉賀野町(洋菓子ミリオン) 44〇型交叉ブレース囲い


 何年も前に入手して、我が家にずっと置いてあった消防信号板を5日に高崎市倉賀野町にあるミリオンという洋菓子店に届けてきました。このお店のオーナー・長井さんも火の見櫓が大好きということが縁で知り合いになりました。

消防信号板は見張り台の手すりに設置されました(写真① 長井さん提供)。来店されるお客さまにも火の見櫓に注目していただきたい、との願いから駐車場に向けて設置したとのことです。水平ブレースも設置されていますが(写真②)、これが火の見櫓の底というか、底面という雰囲気を出していて、なかなか好いです。

信号板は黒くてシックな火の見櫓にマッチしています。似合いのカップルというところでしょうか、下道を5時間かけて届けた甲斐がありました。ピカピカの半鐘も好いですね。外灯も設置されていますね。


ハロウィンな店内 2024.09.05

お客さまにも火の見櫓に興味を持っていただけるように、存在感をアピールして欲しいな、と思います。七夕のときはお客様に短冊を飾っていただいたり、クリスマスシーズンにはイルミネーションで飾ったらどうでしょう。お店の新たなシンボルとしても頑張って欲しいと願っています。


 


火の見櫓を転用した東屋が高崎市にもあった

2024-10-11 | A 火の見櫓っておもしろい


群馬県高崎市根小屋町 2024.10.05

 群馬の火の見ヤグラー・長井さんの案内で高崎市根小屋町にある火の見櫓の脚部を転用した東屋を見た。私の分類だとロングアーチの脚部が東屋に上手く利用されている。鉄骨で屋根の骨組みをつくり、方形(ほうぎょう)の屋根を載せている。屋根は鋼板の瓦棒葺き。ここはミニ公園で滑り台や鉄棒があるが、あまり利用されているようには見えなかった。どんな姿かたちの火の見櫓だったんだろう・・・。


長野県東筑摩郡山形村 2012.08.05

これとよく似た東屋が長野県の山形村にもある。トラス脚を上手く活かしてつくられた東屋 屋根下地は木造で鋼板の平葺きかな。

遠く離れた地でよく似た東屋がつくられたことは興味深い。


 


高崎市請地町の火の見櫓

2024-10-09 | A 火の見櫓っておもしろい


1519 高崎市請地町 44〇型ロングアーチ脚 2024.10.05

 背の高い火の見櫓が高崎市立北小学校の北隣りの敷地に立っている。群馬のヤグラー・長井さんに案内していただいた。梯子桟の数を写真とSVの画象で数え、桟の間隔を測らなかったので仮に40cmと仮定すると、見張り台の床面の高さは約15.6m。床から屋根の頂部までを2.5mと仮定すると、この火の見櫓の高さはおよそ18mとなる。この火の見櫓はかなり背の高い部類に入るだろう。


梯子の掛け方がよく分かる。


屋根の鋼板がかなり錆びていて、変形している。床面の開口の上に手すりを設置してある。


火の見櫓が高い割には脚が短い。


銘板に昭和25年9月とある。


これは地面の蓋。カテゴリーが違うが、ま、いっか。


 


高崎市矢中町の火の見櫓

2024-10-08 | A 火の見櫓っておもしろい


1518 群馬県高崎市矢中町 2本柱梯子掛け 2024.10.05

 分類するのに、なんとも悩ましい姿かたちをしている。帰納的にタイプ分けしていると、どのタイプにも属さないものが出てくる。それで、分類を修正する。この繰り返し。柱が2本だと立体構造にはならないので、分類上、立体構造であることという火の見櫓の条件を満たさない。




コンクリート柱を2本並べて建て、柱のてっぺんを2本の等辺山形鋼で挟み込んで固定している。山形鋼の中央から半鐘を吊り下げ、2本の山形鋼の上に束を立てて、てんびん梁を架け、その中央に棟木を渡して、その上に切妻形の鋼板を載せて屋根にしている。梯子を左寄りに設置して、半鐘を叩きやすくしている(右利きが多く、半鐘を右手で叩くから)。

あいにく雨降りでよく観察できなかったし、思うような写真も撮れなかった。


同じタイプと見做せそうなものを山梨県甲州市大和町で見ている(2017.10.09)。