ルネサスという日立の半導体事業部から独立した会社の
半導体工場が東日本大震災と、その津波で被災し、
半導体の製造が出来なくなった。
この会社で作っているH-8とSH-4呼ばれるCPU(中央演算機)が
来年まで製造が不可能となってしまった。
H-8と呼ばれる8BitのCPUは、もう20年以上前の素子なのだが、
ベストセラーに近い汎用品は値段も安く、ちょっとした制御なら
十分に機能する素子なので、いまだに世の中では多く使われている。
SH-4は比較的新しいのかな?
僕の会社の装置は、こういったCPUを使って、ファームウェアと呼ばれる
個々の昨日や回路の制御を行って、それをパソコンが制御するようになっている。
会社で言えば、組織みたいなものでパソコンが社長なら
ファームウェアは部課長解いたところかな?
社長が直接指示を出さないと動けない会社は、規模が小さいならば
何とか機能するのだろうけれど、大きくなるにつれて
権限を社長から部課長へ委譲するのと同じ。
そのための、実力ある部課長といったところかな?このCPUは・・・・
実のところ、僕はこういったデジタル素子を扱っていたのは
20年前なので、最近のデジタル系の回路は殆ど解らない。
全て部下に任せているのだけれど、昔から変わらない
基本的なところは、今でも僕がチェックしている程度。
若い人の発想で、最先端のものを作って行くことに
僕は全く異論を持たないから、気にしていないといった方が正しいかな?
このH-8とSH-4を入手しないと、来年どころか今年度の後半に
装置の製造が出来なくなってしまう。
それで昼過ぎに、緊急会議と称して社長室に呼び出されて
この素子をとにかく手当たり次第に入手するための打ち合わせをした。
社長の命令を聞く前に、すでに手に入れるための手を打っていたから、
あとは『見つけたら即、買いでいいですね?』と確認。
この手のものは、大手自動車メーカーや家電メーカーが押さえに入るから
見つけたけれど買いますか?
なんて事をやっている間に買われてしまうことがよくあるためで
とにかく、夕方までに目標の2000個のうち、200個は確保した。
それでもまだ一割。
震災の影響が、まさかこんな形で自分の身に降りかかるとはね・・・