今日は午後から、本社で新装置の評価会議。
会議の時間まで30分ほどあったので、かつて世話になった製造現場へ顔を出した。
かつて、一緒に超高圧電子顕微鏡の仕事をしたAKBさんが居て声をかけた。
なんと、彼がそこで扱っているのが、僕が本社に居る時に
最後に手がけた、長高分解能の分析電子顕微鏡の心臓部。
オックスフォード大学に納めた装置が、戻ってきているのかと
思ったら、そうじゃない様子。
白かったボディーが、真っ黒に塗装されていて何だか品が無い。
そこに、やってきたのがその装置を一緒に開発した若手MKI。
「よぉ、元気にやっているか?」
って、声をかけたけれど一言の返事も無い。
それで、装置のオーバーホールか?って聞いたら
「そんなわけ無いでしょ。名古屋大に売ったんですよ」
の一言で、その場を去って行っちゃった。
何だか、凄く不愉快な気持ちになった。
恩着せがましいことを言いたくは無いけれど、
このMKIは僕に相当面倒を見てもらっている。
開発時は、会社を出るのが毎日11時すぎ。電車はいつも終電。
それで、僕が自家用車での通勤に切り替えて、帰りは毎日MKIを送って帰った。
その間、車を3回買い替えた。最初に助手席に乗ったのは嫁さんではなくMKI。
まだ20代後半だった彼が、夜遅くになると腹が減るだろうと
帰り際に、ほぼ毎日ラーメン屋やスパゲティ屋で飯を食わせてやった。
仕事の話をしながら、奴にはビールも飲ませてやっていた。
ちょっとした事で、気持ちのすれ違いがあってから、奴は俺を敵視するようになって
いつの間にか、小馬鹿にした態度を取る様になった。
もう一人のへたれ青年と一緒になって、結局僕が部署を離れることで
部署内での、ごちゃごちゃが収まったのかも知れない。
それはそれでいい。いつかは、別の仕事をするようになるんだから・・・
でも、もう3年も経って、少なくとも20歳年上の僕に対して久しぶりに会って
自分から挨拶も出来ないだけじゃない、こちらから声をかけたのに返事も出来ないような奴が、
会社では不思議なくらい『頭のいい、出来る男』と、一部で評価されている。
正直、ぶん殴っていいなら、ボコボコにしてやろうかと思うくらい・・・・何だか腹が立つ。
いつだったか、その頃上司だった今の社長に
『MKIはまだ独身なんだよなぁ・・・いい女性、紹介してやれよ』
なんて言われた事があって、僕は苦笑いしたことが有った。
少なくとも、こんな男に女性は魅力を感じないって・・・・
その時は、そういおうかと思ったけど、もう過去のことに拘わるのは
大人気ないなって、自分を恥ずかしく思ったんだけど・・・・
うちの会社の30代半ばの人間に、こういう挨拶しないタイプが多いのは気のせい?
でも、今の部署ではそういう人間は居ない。全く居ないのです。
むしろ皆、挨拶してくる。気持ちのいい職場です。
しかし、昔の仲間に挨拶に出向いて、そういう挨拶も出来ない若造に気分を害される・・・
社会人の基本は『挨拶』だって、言われて生きてきた僕が古いのか?
なんだかやりきれない気持ちになった。