会社のデスクの隣は、隣に座って居た若者が辞めてしまった関係で
ここ3カ月ほど、空き席になって居た。
今度の4月に製造部署で1年の研修を終えた新人が、僕のグループに来るらしいので
多分その子が座るんだろうと思っていたのだが、
いつの間にかデスクの下にサーバー用のコンピューターが2台置かれ
デスクの上もパソコンのキーボードと、ディスプレイが置いて有り、
どう見ても「物置」の様な座席になっている。
ところが、今週の月曜日から『元弟子』が座って居る。
なんでも、自分のデスクに有るパソコンが故障したらしく、
一時的にサーバーコンピュータで仕事をしているみたいだ。
折しも、今日はグループ長が休暇で居ない。
所謂、『鬼の居ぬ間に』ではないが、弟子も傍目を気にせず、
僕と会話が出来る一日だった。
僕が仕事を干されて、早いものでもう2年半になる。
不眠症に悩まされ、高血圧に苛まれながらも、あっという間に2年が過ぎた。
弟子が本社から来た阿呆と、うちの『阿呆部長』が打ち合わせして
居るところに呼ばれ、何やらため息混じりに戻ってきた。
その打ち合わせは、僕のすぐ後ろでやって居るから話の内容が筒抜け。
細かい内容は書けませんが、弟子がタメ息をついていたのは、
かつて僕が計画を立てて、弟子の手で作らせようとしていた高圧電源を、
本社に作って貰う事になったのに加え、その作らせる電源の仕様も
判って居ないで、ただ作らせる方向に進んでいる事に対してです。
僕は弟子にいつも『自分はどんな物を作るのか?それを知る事が最初の仕事』
と言い続けていた。いわゆる『仕様書』を書くことです。
ところが、休んでいるグループ長と『阿呆部長』に、本社の阿呆が加わり、
何も判って居ない連中が、どんな物だか判らない物を作らせている。
請け負った本社の阿呆も、実は何も知らないで判る所だけ作って居る。
とても、『プロ』のやる仕事じゃない。
僕が弟子に与えたテーマを、後釜のグループ長がきちんとやらせて居れば、
今頃は間違い無く、その電源は完成して居たのに・・・・・
これは弟子が思っている事であり、タメ息の原因でもあるのです。
弟子は更に僕にぼやきました。
『これからはデジタルの時代。アナログなんてやって居ればそのうち覚える』
と言われ、
僕の下でやっていた頃に『アナログは基礎の積み重ね』と言う事を
身を持って感じていた弟子にとっては、やる気が無くなる事だったようです。
さて、どうしたものか?・・・・・僕は2つの選択肢を挙げ、こうアドバイスしました。
☆自分の身を守る(会社で敵を作らない生き方)
(1)上司の言いなりに動いて、上手く行かない責任も上司の責任と割り切る。
(2)村社会(子会社)の風習に逆らわず、都会(本社)の真似をしない
(3)スキルアップより、会社で上手くやって行く道を選ぶ
☆自分の能力を上げる(孤高の設計者を目指す)
(1)自分の意見をきちんと言う(技術的な議論をする)
(2)自分のやりたい事をやる時間を作る
(3)楽な方法を選ばない
まぁ、僕はもう元弟子の面倒は立場的に看る事が出来ません。
なんせ、派遣社員以下の扱いを受けてますからね。
あとは元弟子本人が、どれだけ自分の事を考えているか?・・・・でしょう。