NHKBSで再放送された『ピアノと日本人』。
カトパンこと、元フジテレビアナウンサーの加藤綾子がNHKに初登場。
明治維新から戦争まで、ジャズピアニストの松永貴志氏と一緒に、
全国各地でピアノに縁のある歴史の舞台を巡るという番組。
200年前シーボルトが持ち込んだ日本最初のピアノ、
明治期に音楽教育にかけた一人の男の思いなど、
ジャズピアニスト松永貴志がそういった人々の思いが詰まったピアノで演奏を聴かせる。
大正13年、熊本県山鹿市内。
木工所を営んでいた木村末雄、正雄兄弟が、近所の金持ちの令嬢が購入した、
スタインウェイのアップライトピアノの音に魅了されて、毎日のようにその音を聴きに通い、
いつしか、それを手本にして「おれ達も作ろうぜ!」とピアノを作り始めたと言う話。
毎日、通ってその作りを目で見ながら、見よう見真似で造ったと言う代物。
しかし、余程腕の良かった職人だったのでしょう。
兄弟は数年かけて、自作のアップライトピアノを作り上げた。
その数、10数台。現存確認されている『木村ピアノ』は、たった一つだけ。
ピアノと言えば、スタインウェイも家具職人だった。
ギターで有名なC・F・マーチンも同じく家具職人から楽器製造へ転向した職人。
この話の木村兄弟も木工所を営んでいた木工職人だと言うから興味深い。
多分、手先が器用で、繊細な加工が出来たのでしょうね?
機械を使って量産するものと、手作りの物はちょっとしたところで違いが出る。
僕の知っているものではポルシェの塗装、ドイツのレンズ『ヘキサー』、
ドイツやチェコと言った国の製品が日本製品と通じる点は『職人気質』のような気がします。
チェコ製のペトロフは、かの天才リストが好んだピアノだと聞く。
こういった話が好きなのは、僕自身も技術者で『職人』と言われたくて、
ずっとやっていたからなのでしょうね。
このピアノの話はNHK『みんなのうた』で披露された「山鹿のピアノ」という曲から、
その存在が知れ渡るきっかけになった。
このピアノを修復して保存に協力したピアノハープ社のブログにも記載されています。
番組の最後に松岡氏が、その木村ピアノを弾いてジャズ風の童謡を奏でる。
素晴らしい演奏に、ちょっと感動したNHKならではの番組でした。