ゴッホの油彩画は何度眺めても感動します。その独創性に感動するのです。
そこでゴッホの油彩画、7点をご紹介したいと思います。
フィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent van Gogh/1853-1890)は、オランダに生まれ、主にフランスで活動した後期印象派の代表的画家です。37歳で夭折した天才でした。
ゴッホが画家を志したのは、27歳になった1880年のことです。ブリュッセルでデッサンの勉強を始め、1881年、28歳の時にに実家の自宅に画室を作ったのです。それまでは職を転々としていたのでした。
ですからゴッホの画家としての活動はたった約10年間と短いものでした。その10年間で描いた油彩は900点であると言われています。
しかし生前に売れた絵はたった1枚、『赤い葡萄畑』だけでした。
現在でこそ極めて高い評価を得ていますが、不遇の生涯を送り、弟テオドールの援助でなんとか生活していたのでした。そして現在有名な傑作は晩年の2年半に集中しているのです。
今日はフィンセント・ファン・ゴッホの油彩画を7点お送り致します。
1番目の写真は1885年の「馬鈴薯を食べる人々」です。
この油彩画はかれの初期の作品で、1885に描かれました。それはキリスト者として貧しい生活の人々に寄り添った絵画でした。
しかしこの画風は続きませんでした。1886年に、ゴッホはパリの弟テオのところに同居します。初めてモネ、ルノワール、ドガ、ピサロなどの作品を目の当たりにしたのです。
華やかな印象派の影響で、ゴッホの絵はくすんだ色彩から、一気に活き活きした色彩へと変貌したのです。
1番目の暗い画風から2番目以降の作品の印象派らしい明るい作風へ大きく変化したのです。
2番目の写真は1888年の「ひまわり15本」です。ゴッホ自身はひまわりが大好きでした。作成したひまわりの絵の膨大な量と、彼が兄や友人に書いた手紙の説明の両方からわかりますます。
ニューヨークでは、 クレラーミュラー美術館 、オッテルローでは、 ゴッホ美術館(Van Gogh Museum)、 アムステルダムのベルン美術館、ロンドンのナショナルギャラリー 、 フィラデルフィア美術館、東京のSOMPO日本美術館、ミュンヘンのノイエピナコテークなどに展示してあります。
3番目の写真は1890年の「麦畑」です。
ゴッホは、種まき、収穫、麦束など、農民と自然のサイクルの密接な関連に特に関心を持っています。 耕すこと、種をまくこと、収穫することは人間の努力の象徴と考えたそうです。
4番目の写真は1888年の「ローヌ河の星月夜」です。この絵は、1888年にゴッホの油彩画です。ゴッホがアルル滞在時に、夜のローヌ川の堤防の一角の風景を描いたものです。
5番目の写真は1888年の「黄色い家」です。 この家は、1888年5月1日にゴッホが借りたフランスのアルルにあるラマルティーヌ広場2丁目の右角にあった4フロアの家屋のことです。
6番目の写真は1888年の「アルルの跳ね橋」です。小さな馬車が通っている跳橋です。青い川と、草がオレンジ色の土手に多様な色彩服や帽子の洗濯女がかたまって描きこんでいます。
7番目の写真は1888年の「ファン・ゴッホの寝室」です。
この作品は、1888年にゴッホによって制作された油彩画です。ゴッホ自身が付けたタイトルは「寝室」でした。
「黄色い家」として知られる、フランス、ブーシュ・デュ・ローヌ県アルルのラマルティーヌ広場2番地のゴッホの寝室を描いたものです。
ゴッホの絵画について解説は不要です。見れば何故か心が揺さぶられるのです。
最後に一つだけ私の体験的な感動を書かせて下さい。
それは中年の頃、アメリカの中西部のある町で研究の仕事をしていた時のことです。そこの市立美術館にゴッホの絵が2枚だけあったのです。
仕事に行きづまり、落ち込んでだことが何度かありました。そのたびにゴッホの絵を見に行ったのです。感動しました。胸が熱くなります。勇気が湧いてきます。また研究に対する情熱が燃えたのです。
ゴッホの傑作は何点も以前にフランスの美術館で見ていました。アメリカのその町の市立美術館の2点は決して良い出来ではありませんでした。しかしその筆使いと部分的な色彩が、以前に見た感動的な作品を瞬時に眼前に再現してくれたのです。
絵画から勇気を貰い研究に対する情熱を貰った経験は生涯一度だけでした。
マネーもモネーもルノアールも美しい絵を残しました。シスレーもセザンヌの絵画も感動的です。
しかしゴッホの絵から受けた魂を揺さぶるような影響はありません。ゴッホの絵は私の体を振り動かしたのです。
そして生きていることへの歓喜を与えてくれます。ふたたび仕事へ対する情熱に火をつけてくれたのです。
現在89歳になった私は仕事を止めて久しいのです。もう仕事のことはすっかり忘れました。しかしゴッホの絵から貰った歓喜と情熱を今でも憶えています。
今朝、彼の絵を沢山みながら自分の好きな7点の絵を見て、その説明をゆっくり読みました。それは実に楽しい時間でした。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)