「さーて今日は何処で食事するか?」
かみさんは肉が駄目、でも本場に来て肉が食べられないとは何とも悔しい
その物欲しそうな顔に何とか、許しをえて、明洞のカルビ専門店に入る。
写真のような明るい瀟洒な店に6人がけのテーブル席を2人で占拠してしまった。
早速、牛肉カルビを注文、しかし最低の注文単位が2人前であり、肉がだめなかみさんにチジミ(お好み焼き)を抱き合わせで頼んだ。
「おお~これで2人前を独占出来る」とほくそ笑んで、思い切り牛肉が喰えると心弾む。
目の前のガス台に運ばれた鉄鍋に牛肉、椎茸、野菜がたっぷり混載し、独特の醤油味で煮込まれる。大皿にあの青野菜の代表格であるサンチュと大きな青唐がらしが盛りつけられたものと副食のキムチ、ケジャン(わたりがにの漬け物)などなど、皿に盛りつけられたのが、次々に運ばれテーブルが瞬く間に満タンになってしまう。
この間、店のアガシ(お嬢さん)が手際よく、いっさいをやってくれ煮込んだ料理を取り皿に入れてくれる。
ん~んチャングムの王様気分になった様で総ての賄いを専属の女官がやってくれ、気分までがハイテンションになってしまう。(笑い)
目の前でぐつぐつ煮込んだカルビが出来上がり、取り皿に入れてくれる。サンチュに多少のミソを付け出来上がった具材を載せ、巻き込み口に運ぶ。
野菜と併せ、煮込み上がった具材が口一杯に拡がり、思わず「マシッソヨ」(美味い)の言葉が生れ、呼応するかのようにアガシの微笑みが返ってくる。
ドンドンと休む暇無く、口に運ばれ、具材も少なくなった頃合いをみはかり、春雨もどきを鍋に入れ、更に煮込む。牛肉の味がたっぷりしみ込み、最後の留めをこれで仕上げる。
併せて頼んだチジミは2/3以上も残し、テーブルの料理を前に、目だけは料理を追っかけるが完全にギブアップした。
頼んだ物は完食すると言う、伝来貧乏人の慎ましい家風は物の見事に壊れてしまった。
ビール2本と併せ、全部で65、000ウオン(約8、500円)でリッチな王様気分を味わえ、胃袋も満たされ明洞の繁華街を後にした。