かっての隆盛を誇った小樽は競うように立派なビルを建てたが、1次・2次大戦による国交や国政の変化に衰退の影を落とす。その代表の一つが今は閉鎖された日本銀行の小樽支店であった。東京駅の設計者辰野金吾らが設計し、ルネサンス様式が取り入れられ、イギリス製のらせん階段が取りつけるなど、贅の限りを尽くした建物と言われている。
正面玄関の2階のバルコニーから国旗がはためき、手招きしているようであり、恐る恐る門を潜った。
入った先は柱が全く無く、2階迄、吹き抜けの大ホール、見上げれば外周部には木枠で組まれたテラスと壁には装飾具が飾られ、ヨーロッパの神殿を思わす造りに驚く。営業窓口のカウンターがそのまま残されているが、それが何と大理石が使われている。
<お札の話し>
館内は圧倒的に札に関わることばかりであったが、普段小銭にしか持てない身分にお札は遠い世界であるが、こんな話が面白かった。
お札は誤って破断したり、或いは燃えてしまっても、その残骸があれば換金してくれる。
面積で2/3以上の場合は全額、2/5以上で半額戻ってくる。当然、専門家の鑑定が当然有る様だか、諦めずに救済されるのであろう。
これはアイヌの守り神シマフクロウをモチーフにした飾りものである。
大事なお札を守る役割として館内・館外に石膏で造られ装飾品として多数飾られている。
しかし、同じシマフクロウでもこれは素材として回収された古札を粉砕し固められ、成形されたものである。一生懸命、近寄ってその姿を凝視しても細かい粒子に、札の姿は微塵にも感じられない飾り物になっている。
果たして使われた貨幣は「ン千万」か「ん億」か、どの位であろうか?
こんなシマフクロウを枕に、せめて巨万の富の夢物語でも見たいものである。