凍てつくような寒さ、都心は0℃を割り氷点下の世界であるが、多摩地区では3~4℃都心より低く、今朝は-3~4℃の世界である。
修行僧の始まりは5時代で未だ真っ暗、こんな時間に先ずは人影もない星の輝きをもろに感じる宇宙空間の世界でもある。
寒冷地仕様のボデイはこの寒さなにするものぞと粋がっていたが、しんしんと冷える寒さは加齢と共に年々、身に堪える。
恒例の朝の散策は幾つかなメニュウを用意し、定期列車の如く、決められたコースを行く。
その一つ、北の方角に街中を一回りするには、公園の中の崖を登らなければならない。その崖下は自然に湧き出た水が導水路から池を通って、放流される。
この水路が鳥や魚初め動物の棲息地で森を構成する、大事な、宝ものである。
殆ど雨が降らないこの時期も水脈は枯れることなく、水流の世界が生きている。
地下から湧き出る水だけに、年を通じて温度が余り変わらない。今からの極寒の時期は大気との温度差から水面から湯気が立ち上り、明らかに寒さを際立たせる。
公園の中は一部を除いて、自然の散策路で土の上に落ち葉の絨毯が敷きつめられ、直に大地を踏みながらの歩行である。所々、樹木の根が張出し、突起物もあるが、枯れ葉の絨毯に隠され足元が不安定で、一歩一歩足から伝わる感触を確かめながらの走行である。
平坦な道なら未だ良いが、どうしても坂を越えなければならない。突起物を確かめながらの登り降りであるが、枯れ葉の絨毯に隠され、足裏に突起物の当たりを踏み外すと、一瞬滑り、体勢が崩れ、重心を失う。倒れまいと身をかばう為にどうしても腰が引け、おっかなびっくり、の走行である。
只でさえ体を前かがみに折り曲げ、ひたすら視線は真下に集中し、倒れまいと神経を研ぎ澄ます。しかしこんな道にも時には登り降りで、人とすれ違うこともあるが、待機されていることに寸前まで気付かないこともしばしばある。
危険な坂を克服して、広々とした頂部に出る。赤、青、黄、色彩豊かな樹林帯に日が当たり、明るく輝いている。落ち葉一面に敷きつめられ、ザクザクと自然の感触を体感できる空間である。
この溢れる自然の中、人目を憚らず世間話に夢中になり大声で喋りながら群れ逢うばあさん連中も流石に、この寒さには現れなかった。
全く人気無く、一人占め、贅沢な気分でこの花道を抜ける。
自然の森からコンクリートで鋪装された日野バイパスの多摩平に出る。
金色に輝く銀杏並木に、大量な往復車両の喧騒な世界に入る。
森と隣りあわせの世界、静かな森の中から一変して、夢の世界から、けたたましい騒音に現実に引き戻され、夢から目が覚める。