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唯一の楽しみ棚下での出来ばえショー
ずしんとくる手の感触から、重みを感じ「よしよし」とその成長ぶり
を確かめることが出来たが、幕引きを迎えた。
そんな優等生の中にあって、房の表面に張りを失い、萎んでいるもの
ある。
「おや!!何で」房に繋がる栄養の補給源となるつるの部分を見ると、
赤く腫れ上がっている。
細いつるの外皮の部分が腐り、大事な栄養補給を絶たれ、萎んでし
まった。
菌の発生とも思えるが、一度かかると越年するようで、たちが悪い。
かなり大きくなった房であるが、これ以上の汚染拡大防止に、涙を
飲んで、切り落とす。
じめじめした梅雨は菌の格好の繁殖時期、それに虫も活躍時期を
迎える。
近隣のプロ・アマチュア農園も一斉にふくろかけが始まった。
目の前の成果物を前にしかたなく、ふくろでお隠れになってもらう。
棚上に向かって、一つ、一つふくろかけの戦いが始まる。
最初は眼の前の房に向かって、ふくろをかけ、首の部分を絞って、
針金で縛る。
始めは機械的に被せていくが、徐々に棚の上に房があるなど、手
が思うように入らず、作業は困難になってくる。
「思わずいててて」と悲鳴をあげる。継続的な上向きの姿勢は肩
が張り、痛みと、疲れの根気の勝負。
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一日にで終わらず、日にちを越えて翌日までかかってしまった。
しかも、成長にむらがあり、ふくろかけの首の部分が弱いもの
があり、外側から針金で捻じるときに、首をねじ切ってしまう
、こともある。
一度袋をかけると、中身が見えず、そのままおさらばと思った
が、やはりそれでは寂しい。
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袋の一部が透明のフィルムが貼られ、二重構造になっている。
外側の袋を剥がすと袋を閉じたまま、フイルムを通して中身
が見える。
袋の中で窮屈そうだけど、一部は既に赤身を帯びた、育った
粒が見える
隠された世界がこうして覗き見が出来る。