「北の国から」1982年に放映したと言われるから大凡30年も経つているが、BSで再放送されている。
30年の年月は地デジ化された今日、アナログTV時代の名残で解像度は低く、画質が悪いが、出ている役者さんも、30年前に引き戻され、野暮ったさと反面、実にみずみずしい。
主役の黒板五郎(田中邦衛)はあの風貌と独特の語り口の強い個性は此処が原点なので有ろうか。
未だ幼い純(吉岡秀隆)と蛍(中島朋子)は役者さんの原石を見るようで、ドラマの展開が少年、少女から大人に育つていくアルバムをそのまま成長の記録をたどるよう、壮大なドキュメントである。
こんな長いスパンを素材とした作品をテレビの前に釘付けすることは恐らく、もう生れることもないであろう。
ドラマは物溢れる、豊かな時代に敢えて背中を向けて、人里離れ、電気も水道もない原野の富良野の麓郷の自然の原野が舞台になっている。
キタキツネが時には顔を出したり、自然真っ只中の厳しい冬と雪解けの草木が芽吹くのどかな春など豊かな四季に全編を通じて富良野の麓郷の世界を鮮やかに捕らえている。
電気も通わぬこの地に、風車を造り、手作りの風力発電に成功し、電気の明かりが灯される。
生活に欠かさない水は遥か離れた沢から、一々手桶で担ぎ運んだが、導水管を敷設し、手元には何時も水が流れ過酷な水運びの重労働から解放される。
何も無い所だけに、こんな気の遠くなるインフラ整備から、始まり、無から有に克服して行く。
ボロボロの廃屋を根城に文明から完全に隔離された世界で自給自足の世界を挑戦的に生きて行こうと、僅かな村の協力者と孤軍奮闘する黒板五郎。
未だ幼い純と蛍が五郎の背中を見ながら、多感な歳をこの原野で過ごしていく生き生きとした三人の物語である。
明日の農業や酪農に志を持ち、厳しい気候と広大な原野に入植し開拓したが、折しもバブル崩壊がこうした最前線までひたひたと押し寄せ、建物を残したまま消え去って行く。
手塩にかけ、家族と同じように可愛がっていた馬を手放すまでに追い詰められ、遂に自殺してしまうなど、こんな過疎の世界でも、家族と集落から次々に生れる事件が、この物語を膨らまし、さて何が起きるんだろうと引き込まれてしまう。
これから手作りのログハウスへの挑戦が始まる。小生が横浜のマンションで暮らした折、同じマンションの同居したIさんも、定年後、北の大地でログハウス暮らしを着々と準備を進めていた。
その後、お会いする機会も無くなってしまったが、今頃、果たして夢が叶えたのであろうか・・・。
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