575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

椿は落ちる   鳥野

2013年03月26日 | Weblog
 ・ 巨勢山のつらつら椿つらつらに見つつ偲はな
   巨勢の春野を

万葉集・巻一 坂門人足の作。歌曲としても馴染み
深く、若き日の思い出も多そうです。

冬のサザンカを引き継いで、いよいよツバキの春。

ツバキは、花の楚々とした風情からも、艶々と輝く
葉の様子からも、風流の人に愛されて来ました。

自生種は南西諸島から、青森県までと広い。が、
早くから、鑑賞のための園芸種も手掛けられてい
て、移植も試みられていたらしい。それとわかる
歌も見えます。

同・巻二十 ・ あしひきの八峰の椿つらつらに
見とも飽かめや植えてける君     大伴家持

サザンカ散る、ツバキ落つ。厳然たるこの区別は、
ワタシへの戒めです。

三重県鈴鹿市の、椿大社。この美しい名を持つ神
社を訪れた日は、雪催い。石の階に真紅の椿が落
ちていました。

 ・ 斬首刑の跡形めいて椿落つ   鳥野




 



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