575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

子に迷ふ道は親子の別れ道

2014年05月12日 | Weblog

義太夫「傾城阿波の鳴門・巡礼歌の段」の一節です。

「父親の十郎兵衛、母様はお弓と申します・・・」
子供の頃ラジオでしょうか?テレビだったでしょうか?
このフレーズ、記憶にはっきりと残っています。

昨日、愛知県図書館で義太夫の上演がありました。
知立市に伝わる山車文楽。
その人形浄瑠璃を支える義太夫の公演。
大夫も三味線も女性です。
聞き覚えた語りとあって、すぐに物語の世界に。

巡礼を実の子と知った母。
名乗ろうと思いますが、夫とともに追われる身。
名乗っては子にも類が及ぶ、と堪えます。
母と知らぬ子はめんめんと母恋し、と訴えます・・・
しかし母は心を鬼に、名乗らぬ決心を固めます。
いや、ここで別れたら、もう会えないかも知れぬ・・・
子を連れ戻そうと走り出す母。

感情はせき止められ、せき止められて・・・。
繰り返しの果てにカタルシスがやってきます。

なぜ古臭い物語に大人は涙を流して喜ぶのか?
子供の頃は不思議でした。
老人になった今、久しぶりに聞いて見ると・・・
感情の遊びを楽しんでいる自己を発見しました。

昔の人たちも感情の遊びを楽しんでいたのかも。
と、すればかなり高級な遊びではないかな?と思いました。

                    遅足




コメント
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