575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

桜蘂哀しみふわり手の中に   えみ

2014年05月02日 | Weblog
花弁が散り、蕊が降り、やがて虫の番。
という摂理、と鳥野さん。

花びらが散ったあと、残った蕊も落ちます。
落花とはまた違った趣があります。
地に落ちた蕊を手に・・・
思っていたより柔らかく、雨に湿ったような感触が。

手の窪のなかに置いた作者。
その思わぬ軽さに命の哀しみを感じました。
生きていること、そのことの哀しみでしょうか?

桜蕊降る、は、花びらのあと、蕊を降らせ、葉桜にという
季節の変化を細かな感覚で捉えた季語のひとつ。
「哀しさ」というニュアンスが含まれています。

  桜蕊降る空っぽの車椅子  石山汀女   

蕊の軽さか湿りとかに注目されると、
哀しみと言わずに、良い句が出来ると思います。

                     遅足

コメント
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