・ もの思えば沢のほたるもわが身より
あくがれいづる魂かとぞ見る
ホタル、と聞けば思い出します。作者は和
泉式部。鞍馬山から流れ下る貴船川畔に歌
碑も建てられています。
式部は一条天皇の長保5年、愛し愛された
敦道親王を喪い、間もなく弟君、為尊親王
の寵を受け入れます。
中宮彰子に仕え、後に藤原保昌に嫁し、そ
の時の連れ子が小式部内侍。
激しい愛の遍歴に「浮かれ女」と誹られな
がら、歌に日記に、情熱のありたけを、燃
焼し尽くしました。
後世、藤原定家の選によるという「小倉百
人一首」には母子ともに、一首ずつが選ば
れています。
・ 浮名負いし和泉式部の魂美しと貴船の
歌碑に沢蛍棲む 鳥野