575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

なつかしい岩瀬文庫   遅足

2016年02月14日 | Weblog
詩人・茨木のり子の没10周年の特別展に行ってきました。
会場は西尾市にある岩瀬文庫。

茨木のり子さんは大正15年、大阪生まれ。
6歳の時に西尾市へ。女学校を卒業する時まで、三河の地に。
女学校での成績表も展示されており、ほとんどが「甲」。
優等生の茨木さんは、軍事教練で、学友に号令をかけ、
自分の号令で皆が動くことに誇りを感じていた、という。

  わたしが一番きれいだったとき
  街々はがらがら崩れていって
  とんでもないところから
  青空なんかが見えたりした

「わたしが一番きれいだったとき」は、戦時中の体験に
基づいおり、こう続きます。

  わたしが一番きれいだったとき
  まわりの人達がたくさん死んだ
  工場で 海で 名もない島で
  わたしはおしゃれのきっかけを落としてしまった

  わたしが一番きれいだったとき
  だれもやさしい贈り物を捧げてはくれなかった
  男たちは挙手の礼しか知らなくて
きれいな眼差しだけを残し皆発っていった

    (略)

最後は、こう締めくくられています。

  わたしが一番きれいだったとき
  わたしはとてもふしあわせ
  わたしはとてもとんちんかん
  わたしはめっぽうさびしかった

  だから決めた できれば長生きすることに
  年とってから凄く美しい絵を描いた
  フランスのルオー爺さんのように
                ね

あれから70年。現代詩人の長女が亡くなって10年。
時代は曲がり角にきているという感を深くしました。


岩瀬文庫は、明治41年、西尾出身の実業家・岩瀬弥助が
創設し私立図書館。古典籍から実用書まで、約8万冊を収蔵。
私も、きしめんの番組を制作する時にお世話になりました。
今は建物も立派になり、西尾市の博物館として親しまれています。



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