575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

ぐうたらを遺影の睨む冬座敷   立雄

2016年02月01日 | Weblog
作者の自画像だそうです。
どなたの遺影かは書かれていません。
多分、お父さんか、お母さん、或はお祖父さんか。
私を見下ろすコワイ存在です。

この句を読んで母の実家の遺影を思い出しました。
戦死した私の叔父さんの軍服姿です。
中国戦線に派遣されて、半年も経たぬ間に戦死。
二階級特進の上等兵の姿。機関銃で胸を撃たれたそうです。
祖父の肖像画とならんで、座敷を見下ろしていました。

  いまもある祖父の眼光冬座敷   浅田光代

以前は「遺族の家」と書かれた小さな札が
玄関先にかかっている家がありました。
遺族の家が少なくなって行くにつれて
戦争の記憶も薄れていきました。

  ふるさとの遺影古びて冬座敷   高畠陽子

         

叔父さんが豊橋の連隊に入営した日。
母は祖父と送っていきました。
見送って帰る二人に北風。
祖父の帽子がころころと転がっていく・・・
母の思い出です。

  入営を見送る父の冬帽子   遅足



コメント
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