575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

人間の息を揃える初謡  遅足

2017年01月17日 | Weblog
昨日は初謡でした。私の役は「芦刈」のワキ。京の貴族の従者です。
若君の乳母(ツレ)のお供で、難波の浦へ。
旅の目的は、乳母の別れた夫(シテ)を探し出そうというものです。
なかなか見つからず、逗留して探すことにします。

夫(シテ)は、落ちぶれて芦を刈って、売り歩いていました。
ある日、一行の前に現れ、面白く囃しながら、芦を売ろうとします。
そしてワキに問われるまま、御津の浜の由来を語り、笠尽しの舞を舞ます。
(この舞は能で演じられる場合は見どころのひとつです)
いよいよ、芦を渡す時になって、初めて昔の妻と知ります。
今の身の上を恥じて隠れますが、妻の呼びかけに和歌を詠み交わし、
心もうちとけ、再び結ばれるという物語。

貧困から夫婦別れを余儀なくされた妻が夫との再会を果たす。
シテは男性ですが、物語の本当の主人公はツレの女性です。
現代でも翻案すれば面白いドラマになりそう。

謡は台詞、独唱、合唱(地謡)と人間の声によるドラマ。
合唱はいきもの、全員の息が揃うと素晴らしい舞台になります。
人間が人間になってゆく過程で、息を揃えて行動することは不可欠であり、
合唱していると、その記憶がよみがえってくるのでしょうか。



コメント
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