575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

ランボー全集全一巻や青嵐   栄猿丸

2017年03月21日 | Weblog
青嵐。青葉の頃に吹き渡る強い南風のこと。
それにランボーを取り合わせた句。
シルベスター・スタローン主演の映画ではありません。
19世紀末のフランスで活躍した早熟の詩人です。

パリで詩人のヴェルレーヌと出会い愛人関係に。
妻子を捨てたヴェルレーヌと生活を共にしますが破局。
ヴェルレーヌの撃った拳銃でランボーは入院。
この事件の後に詩集『地獄の季節』を出版。
彗星のように現れて消えていったランボー。
残された詩集は全一巻です。

句集「点滅」のなかの一句。
作者には珍しく青春の抒情あふれた句です。

作者は栄猿丸。1968年、東京生まれ。
若い頃から俳句に親しんできた作者。
ある時、写生に徹した句に出会って開眼。
身の回りのモノ、コト。なんでも詠み、旧仮名表記です。
この世代のなかでは珍しい作風です。
春の句をいくつか。
  
  繋がれて犬の糞りをるさくらかな

  春風や泣く子の顔をのぞける子

  蒲公英や三つ揃ひ着てヘルメット

  春の夜の時刻は素数余震に覚め

  監視カメラ毎秒一コマ花散るのみ

即物的で抒情をあえて排斥しているようです。
カメラのような眼差しですね。恋の句もこんな感じです。

  髪洗ふシャワーカーテン隔て尿る

  われを視るプールの縁に顎のせて

  ベランダに名月を見るふうんと言ふ

些細に見えることでも発見があれば俳句になる。
そんなことを教えてくれます。
                遅足



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