「ひとひら」とは薄くて平らなもののいちまいのこと。「ひとひらの雪」や「ひとひらの花びら」などと使われることが多いと思いますが、「ひとひらのひかり」と来ました。
遅足さんはこれまでも「ひとひら」という言葉を効果的に使われています。
ひとひらのわが子へつなぐさくらぶえ 20年4月
窯跡に拾うひとひら風のいろ 19年9月
さざんかやひとひら遠き訃のごとく 18年11月
どれも遅足さんらしい情緒あふれる句です。そして、今回「お水とり」の火にも「ひとひら」を使われました。
闇の中で一片の光から始まるお水とり。ロマンティックです。
「ひとひらのひかり」というひらがなの効果にまたしても魅かれました。
では、選句された方の感想です。
泉さん:暗闇の中、お堂から小さな光がともると いよいよはじまるという感じがする。
能登さん:小さな光から始まるドラマの幕開きを、静かに優しく表現しています。しかも殆どひらがなで表記し、「水」だけを漢字にして、火の祭典に見えるこの儀式が「お水取り」と言うことの、「?」も表していると思います。
晴代さん:ひらかな表示が少々気にはなりますが、確かに一片から始まりますね。
いかがでしたでしょうか?
遅足は東大寺んのお水取りには行ったことがないそうですが、想像でも遅足マジックは健在です。麗子